副産物はクリスタルマネー?


侵略者を撃退し、新たな仲間の加入を祝う宴は終わった。最後のフィナーレは当然、俺とマリクリの融合だ。そしてついに俺はマリクリの”土魔法”を手に入れることができた。さらにはマリクリと融合したことで、ゴブリン10体分の能力を新たに獲得することができた。もう今の俺ならナラントンにすら勝てるかもしれない。


まだ奴と本格的な戦いをしたことがないので分からないが、いずれ本格的な対人戦への訓練のためにも、ナラントンとは模擬戦をしたいと思ってる。


まぁでも、今の俺がやるべきことはまず住環境の改善だな。


昨晩にマリクリと融合してから、寝る前の自室で魔法の使い方は一通り確認した。スキルを手に入れた際に流れて来た情報をもとにしてな。


取りあえず、狩り組が居なくなってから始めていこう。

あとそうだ。今朝、女の居る収容部屋に行ったら、俺がいつも可愛がってやっていた女が子を産んでいた。その子供はすでに居残り組の世話役係に預けてある。


子を産んで腹が軽くなったのか、いつも通り水浴びの為に連れて来た女の表情は、どことなく明るかった。あとコイツの仲間の女も無事に出産し終えたので連れてきている。ただコイツはもう俺の子を孕んでいるようだ。


既に少し腹が出てきてる。


仲間が交互に同じ男の子供を妊娠し、出産していく。それも目の前で。コイツらの気持ちを想像しただけで、玉と亀頭がパンパンに膨れて張り裂けそうだ。


ビンビンに反り立ったブツを女たちの方に向ける。


「おっ?」


すると直ぐに俺が可愛がっていた女が、膝をついてしゃぶり始めた。心配そうに声をかけた仲間を無視して、女は目を瞑りながら、巨大な俺の亀〇を唾液で溢れた舌で濡らしていく。


「ほっほほほ…これは中々ですな…」


なんだ?随分と素直になったもんじゃないか。それとも、妊娠した仲間が犯されないために、身代わりにでもなったつもりか?別に妊娠関係なく俺はヤッテいたはずだが…昨日、目の前で仲間が犯されたのがよっぽどトラウマになったのか?妊娠して臨月を迎えた自分が、まさか仲間からぶっかけ潮〇きをやり返されるとは思わなかったか。


確かに、あの時のコイツの顏はホントに笑えたわ。


「飲み込めよ」


根元までブツをぶち込まれた女は、何度もえずきながら、必死に俺の太ももの裏を両手で掴んで受け止めていく。女の喉が脈を打つよう何度もにうねる。俺から吐き出されていく体液を、女は有無も言わずに飲み込んでいく。だが直ぐに限界が来たようだ。喉と胃が”ぎゅぅ”とうねり声を上げたと同時に、逆流して来た精〇が鼻から勢いよく噴き出てきた。


「――ブッ…ぶごっっ…」


「こぼすな」


俺がそう命令すると、女は口の下に両手を広げて流れ落ちる精〇を受け止めていく。何度も命令したおかげで、女も少しずつゴブリンの言葉を覚え始めてるな。覚えてる単語がアレだが。


女が広げた両手は見る見るうちに満杯になった。俺が出すものを出し終えると、女は奥に詰まった残り汁を絞り切るために、口元を力を入れてすぼめながら、ブツを吐き出した。


最後に詰まった亀〇を吐き出した女は、きつい体液の臭いがする息を喉の奥から吐き出す。俺と女の体液が混じり合った白濁の汁が、女の口と俺の腰に一本の橋を架けていた。


俺が何も言わずに女の顔を見つめていると、女も俺の目をじっと見つめながら、手の平を埋めた大量の体液をすすり始めた。女は手の平にあった一滴の汁も啜っていく。


「きれいに掃除しろ」


そしてまたじっと見つめて来た女に俺が命令すると、女は素直に俺のブツに絡まった体液を吸い取っていった。


俺の命令にただ従順に振る舞う女の姿を見て、後ろに居た潮吹き二号は呆然と女の後姿を見ていた。俺が去った後で、二人が何を話すのか楽しみだ。女たちを洞窟の中に戻した俺は、狩りの準備をしている仲間たちの元へ行く。


「はーい、みんな全員集合!!」


俺が両手で手招きをすると、ゴブリンたちはガヤガヤ騒ぎながら俺の方まで駆け寄ってくる。一瞬でゴブリンたちに囲まれた俺は、今後の計画を軽く説明していった。


「俺からお前たちの為に家建てるから、みんなの小屋全部ぶっこわしちゃうけど許してね。大切な物があったら小屋から出して、洞窟の入り口辺りに置いといて。分かった⁉」


俺が最後に念を押すと、ゴブリンたちは一斉に頷きながら小屋の方まで走り去っていった。小屋から出て来たゴブリンは、干し肉やシャブの粉、狩りや作業に必要な道具、人間から奪った雑貨品など色んなものを手に持ちながら、洞窟の入り口まで歩いて行く。


「じゃあ陛下!行ってまいります!」


「おう!頼んだで」


そして狩りの為に地下通路を潜っていく仲間を見送った俺は、居残り組を洞窟の中にまで避難させた。ついに土魔法を使う時が来た。


魔法を手に入れてから新たに感じるモノがある。ナラントンはそれを魔力と言っていた。体の奥に渦巻くこの魔力は、俺の意志に従って世界の物質と現象に干渉できる。


魔力を両手に集中させていく。

そしてそこから地面に魔力を流し込み、粘土をこねる様に腕を動かすと、固い地面がますで水のようにうねりうねり始めた。俺が腕を上に伸ばすと、周囲の土を飲み込みながら、勢いよく地面が盛り上がった。


塔が出来た場所の地面が、吸い込まれるように傾斜ができていた。無から有を生み出す訳ではない。あくまでそこにある物質を操作できるだけだ。ナラントン曰く、例外があるとすれば火や電気といったエネルギーを操る魔法ぐらいらしい。だがそれも、本来は触媒を使って操るのだという。ナラントンや北の里のボスが使った火の魔法は触媒を使っていなかったが、あれは非常に強力な反面、大量に魔力を使うようだ。


ということは、ほぼワンパンで殺せたあの北の里ボスも、結構高レベルの魔法使いでもあったわけか。でもあの時はレベルが足りなくて融合できなかったからな、しょうがない。


しかしあれだな、これだと大量の土が必要になる。壁を建設した時は、マリクリが洞窟を掘ったときに生まれた土が、里の少し外れに捨てられていたので使ったが、もう既に使い果たしてしまった。


だから集合住宅を建設するには、大量の土を地面から抜き取らないといけない。でもそうしたら地盤が沈下してしまう。


「うーん…なかなか上手くいかないなぁ…」


建材に使う土さえ手に入れればいいわけだが…壁の外の土を使うにしても、壁が邪魔になる。最悪、住居を建設するときだけ壁の一部を取り壊せばいいが…壁の外は畑にしたいし、水路を引いて来た時に、水が氾濫しないための土手も築きたい。それに将来人口が増えて新しく里を拡張しないといけなくなった時の為に、外の土は出来るだけ使いたくない。


だからといって台地の土を使うのもなぁ。洞窟は大分入り組んでるから、下手に俺が穴をあけたら崩壊するかもしれねぇし……。


……あ、でもあれか…別に地下ならいいか。

斜めに一本道の穴を掘っていって、土を採取すれば問題ないよな。


「よし!そうしよう!」


さっそく台地の崖の方までいこう。洞窟の入り口は丁度、壁に挟まれた台地の中心地点にある。俺は洞窟の入り口から数百メートル離れた、里の南側に来ていた。すぐ隣には里を覆う壁がある。


魔力を流しながら両手を前に出した俺は、崖すぐ下の地面を鷲掴みにするように、拳を握りしめる。触れても居ないのに、両手の平に土を掴む感触がした。

そして俺は一気に掴んだ土を、体を捻って後ろ方へ放り投げた。


その瞬間――崖の真下の地面が物凄い勢いで盛り上り、地面から湧き出た石油のように土の塊がドバドバと宙を舞った。


前を振り返ると、開いた穴は数メートルほどだった。俺が後ろに手を伸ばしていると、そこから土が大地を揺らしながらドバドバと噴き出ていく。


勢いよく噴き出した土の塊は、俺の後ろに一瞬にして小さな丘を築き上げた。壁の囲まれた里の南半分が、一瞬にして大量の土に飲み込まれる。ものの数分で土の山は壁から溢れそうになった。


俺が慌てて魔力を腕から引くと、穴から噴き出た土の塊は、一瞬で力を失ったように、俺の手前に落下して来た。崖の真下の出来た穴からも土は噴き出てこない。


崖の下に出来た穴の中を見ると、底が見えないほど暗くて深い洞穴が、キレイなほど同じ角度を保ちながら斜めに出来ていた。


俺が前と後ろを交互に振り返りながら呆然とその光景を見つめていると、洞窟の入り口から、ナラントンとゴブリンたちが慌てたように俺の方まで駆け寄ってきた。


「陛下⁉これは⁉」

「…お前が…やったのか…?」


「家作るために…土掘ったら…さ…こうなったわ」


ナラントンもゴブリンたちも全員が口を呆然と開けながら、俺と俺の後ろにある光景を交互に見つめ返した。


「あっ!ていうか洞窟大丈夫だったか!」


俺がみんなに確認すると、今だ目にした光景を受け入れるのに時間がかかっているのか、俺の方を見つめながらゆっくりと頷いた。


「洞窟は大丈夫でしたけど…その…」

「俺たちが思っている以上に…リーダーはヤバいのかもしれない」

「まじでこの里に生まれてこれて本当に良かったわ」

「人間に生まれてたら終わってたわ」

「それな」


ゴブリンたちは呆然と、俺の後ろに出来たこの土の山を見つめながらなにか呟いていた。ナラントンは既に状況を理解したのか、すぐに洞窟の方へと歩き出している。


「今はちょっと外危険だからさ、みんなも中に入っていて」


「「「はいっ!!」」」


居残り組たちは一斉に敬礼をして、洞窟の入り口の方へ走っていった。敬礼なんて教えてないのに…本当に心の底から返事をすると誰しも敬礼をしてしまうのかもしれない。


「さて…じゃあ……ん?」


周りに誰も居なくなったことを確認した俺は、土の山の方を振り返ろうとしたが――視界の端に映ったなにかに気が付いた。脚元を覗くと、そこには紫色の巨大な結晶が転がっていた。ゴブリンの頭一つ分くらいはある。他にも拳サイズの結晶が辺り一面に散らばっていた。


「これって…洞窟の…」


マリクリが掘った洞窟で見られる結晶と同じ色と形をしている。洞窟の通路を少し削ればすぐに採れるため、俺たちゴブリンは綺麗な石だと思ってアクセサリーに使うぐらいだが、恐らく人間が資源として利用している鉱物と同じだ。


俺は急いで倉庫まで走ると、今回の戦いで奪った大量のランタンの内の一つを持ちだした。洞穴のほうまで戻った俺は、地面に落ちていた拳サイズの石を握りしめる。俺の握力で簡単に粉々になった石の欠片を、俺はランタンの中にある小さな口に欠片を填めた。


「やっぱりか」


すると予想した通り、ランタンが光り出した。まだ外が明るいので分かりずらいが、ちゃんと光を放っている。


俺はランタンを倉庫に戻すと、盛り上がった土の山を登っていく。下を見ると無数の紫色の結晶が太陽の光を反射していた。


どうしようか…まさか台地の下にもこの鉱物があるとは思わなかった。なんなら洞窟よりも多い気がする…。


取りあえず…土魔法でこの鉱物以外の土を操作して家を建てればいいか。俺は一旦、里の中心部に移動すると、また両手に魔力を流し始めた。


そして右にある土の山を魔力で固定し、反対の方へその一部を移動させていく。今度は移動させた土を魔力でこねくり回し、両手を動かしながら大まかな形を作って、頭の中でイメージした家の形に整えていく。


「これで…いいのか?」


目の前にそびえ立った三階建ての集合住宅を見つめて、俺はふいに声が漏れた。小さい頃にやった陶芸体験をイメージしてやってみたが…いくら魔法とはいえ、こんな簡単に作れるものか?


「お邪魔…します」


自分で作った家なのに…というか自分で作った家だからこそ信用できない。俺は恐る恐る中へと入っていく。一階の部屋は目の前に玄関を作ってある。住宅の真ん中は階段を作った。階段を登っていくと、二階に建てられた部屋に繋がる通路がある。


「一応、ちゃんと出来たか」


部屋の中を確認した俺は一階まで降りて、外からまた集合住宅を眺める。焦げ茶色の土で出来た家はまったく面白みがない。だから土の色に合うように、形だけは現代日本のアパートのようにシックな感じにしてみた。


「少し違和感あるけど…慣れればいい感じのオシャレな家かな?」


体に残る魔力はまだ余裕はある。一つ住居を作るのに消費した魔力量から考えると、50棟は余裕で作れるな。


俺は先程と同じように両手に魔力を流しながら、土を操作していった。それから数時間は経っただろうか。太陽は若干、西に傾いている。


「ふぅ…やっと完成したか」


細かな部分を操作するのがめんどくさかったから、全部同じ作りになってしまったが、それでも壁の端から端まで、きれいに等間隔で建てられた住宅街を眺めると壮観だな。これで壁の中の入り口付近と、壁周辺はゴブリンの住宅で埋まったな。


まだ魔力に余裕はある。新しい倉庫と、雨が塗った時に地面がぬかるむから地面を圧縮して舗装しよう。


俺は里の北側にある倉庫の所までやってきた。三つの小屋には食糧と日用品、そして武器を分けて保管してある。ただ武器に関しては大量に手に入ったので、濡らしたくない弾薬以外は、全部小屋の隅に山積みなってしまっている。


取りあえず、中にある食糧なんかを外に出さないと。


「みんな!!ちょっと来て!!」


俺が洞窟の入り口に向かって叫ぶと、中で楽しそうに騒いでいたゴブリンたちが、入り口からひょっと顔を出した。


「どうしましたか陛下」


ハーゼウがみんなを代表して俺に返事を返す。


「倉庫も新しくしたいから、ちょっと中の物全部出してくんね?とりま、洞窟の入り口辺りでいいから。すぐ終わるし」


俺がそう言うと、ゴブリンたちはすぐに倉庫の方まで走ってきた。ゴブリンたちは急いで倉庫の中や、近くに置かれてある物資を洞窟の方まで運んでくれた。


空っぽになった倉庫を俺は土を操作し、地面に飲み込んでいく。そして地面をミキサーのように渦を巻かせて、木材を粉々にしていった。これで森の開拓も簡単にできるな。


小屋を破壊し終えた俺は、掘った土を操作してまた形を整えていく。将来の事も考えて、この倉庫は三階建てにして、さらに地下も二階作った。これだけ広くすれば、人間から奪った大量の武器やアイテムも、大量生産していく芋も保管できる。


俺はゴブリンたちを呼んで、運び出していた物資を新しく作った倉庫の中に仕舞うように指示を出す。


「うわぁ…すげぇや」

「土魔法ってめちゃくちゃ便利だね」

「マリクリの時はなんにもやってくれなかったけど」

「リーダーをあんな有象無象と一緒にしちゃいけねえよ」

「それなぁ」


みんな新しく出来た三階建ての倉庫を、ポカーンと口を開けて、上を向きながら歩いて来た。そんなことしてると転ぶ…ほらな。


「早く片づけとけよ」


俺はゴブリンたちに指示を出すと、土の山があった壁の南側まで来ていた。


「結局、三分の一ぐらいは余ったか」


俺は魔力を腕から土の山に流すと、腕を上げて土の塊を宙に浮かせた。


「こんなに自由に扱えるのかよ」


宙に浮いた土の下を覗くと、そこには大量に積まれた水晶の山があった。その量は、最初に掘り出した土の山の五分の一ほど。つまりこの台地の下から掘り出した土には、体積あたり20%の水晶が含まれている計算になる。


この水晶にどれほどの価値があるのかはまだ分からないが、魔道具を動かす燃料として利用されているのを見ると、石油や石炭のように大量に掘り出せば、大金を稼げるかもしれない。


人間たちがこれを知っていれば当然奪いに来るだろう。出来る事なら奴らの手には渡らせたくない。


だとすると、もしエルフと友好関係を結べるなら、エルフにこの水晶を売って、稼いだ金で食糧や武器を集めるのもありだ。それに、人間と敵対しているエルフの国に奴隷制があるなら、そこから人間の女奴隷を大量に購入してゴブリンを増やせるじゃないか。そうすれば危険を冒してまで、ちまちま人間を襲いながら繁殖するよりも、よっぽど効率が良い。


俺は宙に浮かせた土を操作し、壁の南側に大きな倉庫を一つ建設した。一階建ての長屋だが、地下は三階建てにした。階層ごとの広さは、地上一階の三倍にしてあるしてある。


地下を掘って部屋を作った分の土が余ってしまったが、俺はそれを土魔法で宙に浮かせると、思いっきり南の方角へぶん投げた。


土の塊が音を置き去りにして、衝撃波を放ちながらとんでもない速度で吹っ飛んでいく。それから数十秒後、かなり遠くから微かに衝突音が聞こえた。


南に狩り組は居ないので大丈夫だが、確かゴブリンの集落が一つあったはずだ。当たってしまっていたら申し訳ない。まぁ生き残っていても、どっちみちこの里以外のゴブリンたちは全員、俺が融合して食っちまうつもりだがな。


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