第15話:承認欲求の強い女。

「もう、知らないっ」


そう言ってメルバは、ふてくされたまま、俺の部屋から出て行って一階の居間の

ソファで寝てしまった。


(怒らせちゃったな・・・やっかいだよな)


とうぶん機嫌直してくれそうになさそうだ・・・。


次の朝・・・

俺はこっそり起きてメルバが寝てるソファへ・・・。


ピーチ起きてるか?


「起きてるよケイスケ・・・」


「ピーチ、メルバはエッチできないくらいで、なんであんなにキレるんだ」


「 メルバは承認欲求が強い方だからな・・・」

「否定されたり拒否られたりすると過剰に反応するんだよ」

「ケイスケにかまっててほしいんだよ、 いつだって安心してたいんだ」


「難しいんだな・・・別れた元カノよりやっかいだよメルバは」


「なにかと人の動向が気になる年頃なんだよ」

「とくに自分の彼氏となると・・・四六時中かまっててもらいたいんだろ」

「まあ、お嬢様で育ってるからな・・・わがままなところもあるんだな」


「普通の女より機嫌とらなきゃいけないんだな・・・」


「ま、そうだな、このまま放っておいたら、余計意固地になっちゃう

可能性ありだな 」


「謝るのはいつも男のほうか・・・まあエッチ途中でやめたのは俺だからな・・・

しかたないよな・・・ 」


「そもそもは俺たち種族は地球人とは馴染めないのかもな」

「ここで暮らすには無理があるのかも・・・」


「今回の企画だって、ある意味メルバのチャレンジみたいなものだったからな」


「まあ、ピーチはメルバのことよく分かってるからな・・・」


「でも俺はメルバを愛してるんだから、うまくやっていけると思うけどな」


「ケイスケはそれでいいんだと思うけど・・・メルバの性格が問題なんだよ 」

「喜怒哀楽が激しいんだ」


「これから先だって、また同じようなトラブル起こすかもな」

「成人してるったって、精神的にはまだ子供だからな・・・メルバはもうすこし

大人にならなきゃな・・・」


「あ〜それはたしかに言えるな・・・元カノも子供じみたところあったからな 」


「ケイスケって・・・まだ元カノのこと忘れられないんじゃないのか?」


「ピーチ・・・そんなことあるわけ・・・」


「それほんと?」


「あ、メルバ・・・起こしちゃったか?」


「ケイスケ・・・元カノに未練あるの?・・・ヨリを戻したいって思ってるの?」


「そんなわけないだろ・・・今、愛してるのはメルバだけだよ」

「元カノとは過去のことだから・・・」


「私と、元カノと比べたりしてない?」


「そんなことしないよ」


そう言ったが・・・心のどこかで、時々元カノのことを考えてた自分がいた。

たしかに元カノとの思い出はいっぱいあるからな・・・。


でも、いまさら何を思っても時間は戻っては来ないだろ・・・。

すぎた過去は取り戻せない・・・それが現実。

もし、未来や過去を行き来できたら、きっと人間は堕落していっちゃうよ。


「なあ、俺が悪かったから機嫌直せよ」


「もう直ってるよ・・・私だってウザいばっかの女じゃないからね」


「悪かったな・・・エッチ止めたくらいで、キレるなんて思わなかったから・・・」


「人間の女って、どうなの分からないけど、私にとってはエッチは特別な行為

だからね 」


「エッチって言うか・・・血を吸うってことがだろ?」


「まあ、そうだけど・・・」


「そうだ・・・今夜、約束通り飲みに連れれってやるよ」

「二階のお邪魔虫のふたり、放って行ったらあとで文句言われそうだから、

ついでに連れて行ってやるか?

金はザッハトルテに払わせときゃいいし・・・地球へ来るために金くらい

持って来てるだろ?


「居酒屋から帰ってきたら、昨夜の埋め合わせするから・・・な?」


つづく。」

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