第12話:元カノと別れて、たった1日しか経ってなかったの?

ってことで、ザッハトルテとミルフィーユは俺の家に住み着いてしまった。


ここに残ったのは、メルバのことが心配ってより、毎日の城勤めに

飽き飽きしてたのが本当の理由みたいだ。


これは長期戦になるな・・・いや、もしかしたら

あのふたりは死ぬまで自分の星に帰らないつもりかもしれない。

とりあえず俺は親父とオフクロが使ってた部屋を、ふたりに当てがった。


俺はメルバと何も気にせずラブラブでいられると喜んでいたのに・・・

やっかいな、おまけがついたもんだ。


それにしてもメルバがお姫様だったとは・・・そういうことは

彼女は何も話さないから・・・。


普通のギャルかと思ってた。

まあ、普通のギャルが星と星の友好関係を結ぼうなんて思わないわな。

ってか地球に血を吸わせてくれる彼氏を探しに来ただけじゃん。


そうだ・・・メルバとのこの交流企画って一ヶ月したら終了するんだよな。

え?、そしたら、メルバと俺の関係はどうなっちゃうんだ?


メルバは一時のアバンチュールの果てに自分の星に帰るのか?


いかんいかん・・・ダメダメ・・・そんなことはさせない。

メルバは俺の彼女だからな。


で、メルバに聞いてみた。


「あのさ一ヶ月経ったら異星人との交流期限が終わっちゃうだろ?」

「そしたら編集社がメルバを迎えに来るじゃん・・・」


「帰っちゃうのかよ?・・・自分の星へ・・・帰っちゃうのか?

俺を捨てて・・・帰っちゃうの?・・・」


「な訳ないじゃん・・・空気読めよ」

「ケイスケと私の間に流れてる空気・・・ちゃんと読みなよ」

「捨てるわけないでしょうが・・・」


「帰るわけないじゃん・・・だってもうエッチしちゃったし・・・」

「私の彼はケイスケ一人だし・・・」

「企画終わったってだけで、なんで自分の彼氏、捨てて星に帰らなきゃ

いけないのよ・・・もっとさ自分に自信持てば?・・・」


「ってか・・・それより、前から聞こうと思ってたんだけど・・・」


「ん?何?・・・」


「ケイスケって、付き合ってる彼女とかいないの?」


「え〜〜〜〜〜いまさら?・・・今更それ聞く?」


「一応ね、聞いとかないと・・・・・・それに私よく考えたらケイスケのこと

な〜んにも知らないし・・・」


「横からクチを挟んでなんだけど、俺は、いると思うな・・・」


「ピーチは参加しない・・・話がややこしくなるから、黙ってて・・・」


「ほいほい・・・」


「彼女なんているわけないだろ・・・」

「もし俺に彼女がいたら、異星人との交流企画に応募したりしないで家で

ラブラブしてるよ」

「暇だったから応募したんだし・・・」


「まあ、別れた元カノならいたけどな・・・」


「元カノ?・・・・」


「そう・・・桃香ももかって名前の彼女・・・」

「メルバとの企画に応募する1日前に、その彼女と別れた」


「え〜なに?、1日前って・・・それって、ホヤホヤじゃん」


「別れたイッキでしょ・・・舌の根も乾かないうちに、異星人との交流企画に

応募したの?」


「ダメかな?」


「たった1日しか経ってないんだよ・・・どういう神経してるのよ」


「だって別れた後なんだから、なにしようと俺の勝手、自由だろ」


「そうだけど・・・」


「そりゃ俺の過去にだって付き合ってた女のひとりやふたりはいたさ・・・」


「そういう問題じゃなくて・・・一度は好きで付き合ってんでしょうが・・・」

「心残りとかなかったの?」


「だって、なにが気にいらなかったか知らないけど、向こうから一方的にフって

来たんだもん・・・」

「元カノにしてみたら俺になんか未練はないんだから、待ってたって彼女は

帰って来ないでしょ・・・」

「ウジウジしてたって惨めったらしいだけだろ?」


「案外、淡白なんだね・・・ケイスケって」


「淡泊って・・・ほんとは桃香にいて欲しかったよ」

「別れるなんて、ほんの些細なことがきっかけだったりするからな」

「ま、彼女はなにも悪くなくて、俺が全面的に悪いんだけどな・・・」


「ま、たいがい悪いのは男って相場が決まってるけどね・・・」


「なんか俺、すっげえ悪いやつみたいじゃん・・・」

「だけど、フったのは向こうだからね・・・言っとくけど」

「それにさ、別れたのは企画応募する1日前だけど・・・抽選に当選してメルバと

会えることになったのは、ずっと後だからな・・・」

「元カノと別れてから、すぐに会いに行ったわけじゃないだろ?・・・」


「そうだけど、応募する1日前ってのが問題なの?」

「そのあとのことは関係ないから・・・」

「・・・なんかめちゃ不安になってきた・・・そういうこと聞くと・・・」


「なんでよ・・・俺たちは特別な関係なんだから大丈夫だよ」

「なんにも心配いらないよ・・・」


「とりあえず企画が終わる一ヶ月まではまだまだあるし・・・」

「いっぱい血吸って、いっぱいエッチできるだろ?」

「企画が終了した時点で編集社には、この企画から外れますって言っときゃ

いいんだし・・・」


「ケイスケ・・・浮気したら許さないからね・・・」


「え?浮気って・・・いきなりなんだよ

メルバの星の男の人たちって子孫を残すために、本妻以外の女性とだって

付き合ってるってザッハトルテが言ってたぞ・・・」

「そんなのは男の都合主義・・・身勝手・・・」


「浮気する気だな・・・」


「黙れ!!桃」


「これは俺とメルバの問題・・・余計なツッコミはやめろ」

「つうかさ・・・浮気なんかするわけないだろ?」

「俺を信じろよ・・・」


「彼女と別れたイッキなのに、私との交流に応募した男だからね、ケイスケは」


「なに言ってんの・・・交流の相手が、男か女かも知らないかったんだぜ・・・

狙ってたわけじゃないからな・・・」


「しかも、はじめてメルバに会った時は子供だったし・・・」


「とにかく浮気したら、体の血、全部吸ってやるから・・・」

「はいはい・・・浮気なんかしませんって・・・しつこいな・・・」


「それより、もっとも問題があるのはあのふたりだよ」


「ザッハトルテとミルフィーユのこと?」


「そうそう、あの方達がいると、ゆっくりイチャイチャもラブラブも

できないし・・・」

「正直。迷惑なんだよな・・・」


「じゃ〜ふたりとも消しちゃおうか?」


「え?なに_・・・消すって・・・消すって言ったか?、それどういう

意味だよ・・・」

「消すってさ・・・そんなぶっそうな・・・」


「だって。邪魔なんでしょ?」

「私もあの人たち、邪魔って思うもん・・・」


「だってさ・・・いくら邪魔でも・・・消しちゃうってのは・・・」

「ケイスケ・・・勘違いしてない?」

「消すって、殺すって意味じゃないんだよ」


「え?死んでいただくってことじゃないのか?」


「なに言ってるの・・・そんなことしたら犯罪じゃん」


「消すってのはね、私たちの星では、帰ってもらうっていうことだよ」

追い返すことをを消すって言うの・・・」


「あ〜・・・そうなんだ・・・びっくりした・・・」


「俺もメルバの星の風習、なにも知らないんだ・・・」


「ね・・・今夜、たっぷり教えてあげるよ・・・

だからケイスケも地球のこといろいろ教えて・・・ね、エッチしながら」


つづく。

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