第11話:ザッハトルテにミルフィーユ。

俺の家に元老院ザッハトルテとかっておっさんとミルフィーユとかって言う

執事のお兄ちゃんが訪ねてきて、ずけずけと室内に上がり込んできた。


「ほほう・・・なかなかのお住まいですな・・・狭いですけど」


「狭くて悪かったな・・・あんたら城かなんかに住んでるんだろうから

ここはさぞかし狭く感じるだろうよ・・・」


「ま、そんなことは置いといて・・・早速ですが、姫はどこです?」


「ひ、姫?・・・ああ、王女様か・・・」


「メルバが姫ってな〜・・・未だに信じられないわ・・・」


「呼び捨てはやめなさいって言ってるでしょ、学習能力のない人ですね」


「あのね・・・今日まで普通にメルバって呼んでるのに今更、王女様とか

姫なんて呼べるわけないだろ・・・」

「なんで自分の彼女を姫って呼ばなきゃならないんだよ」


「彼女?・・・あなた方もうそんな関係になってるんですか?」


すると俺がなかなか上がって来ないと思ってメルバが二階から降りてきた。


「ケイスケ・・・遅いよ、何してるの?」


メルバ・・・やばいよ・・・パンツしか履いてないし・・・。


「姫・・・なんて格好してるんですか?」


「キャッ・・・誰?・・・誰よ・・・スケベ〜」


メルバはそう言っておっぱいを隠して後ろを向いた。


「誰って?・・・ザッハトルテですよ、姫」


「はあ?・・・ザッハトルテ?・・・なんでおまえがここにいるのよ」


「それより何か着てください・・・おっぱい丸出しでしたよ」

「私はいい目の保養になっていいですけどね」


「ちょ、ちょっと待って・・・服着てくるから・・・」


そう言ってメルバはまた二階へ上がっていった。


「ケイスケ殿、姫はいつもあんな格好で部屋をうろうろしてるのですか?」


「あ〜いや、たまたまね・・・さっきまで寝てたから・・・」


「そうなんですね、あのご様子なら姫はリラックスして生活してる

ようですが・・・」


「ところでケイスケ殿、姫があなたの彼女ってことは・・・もう姫に血を

吸われたんですか?」


「はあ・・・吸われましたね・・・」


「ってことはセックスも済んでるってことですな」


「え・・・血を吸われるってそういうことになるんですか?」


「吸血とセックスは同時進行で行われるのが通常の儀式です」


「儀式?」


「まあ、姫はもともとそういう友好関係を結ぶために外界へ交流を求めて

この地球へ来たわけですから・・・」


「そうなの?メルバの交流って・・・そういうことなんだ」


「申し訳ありませんが、地球人にとってありえない風習でしょうが

姫にとっては死活問題ですから、そこんところはよろしくお願いしますね」


「はあ・・・分かってますよ・・・充分ね」

「ところで、つかぬことをお伺いしますけど、あんた方もバンパイアなんすか?」


「あ〜我々の星では血を吸うのか女性だけです」

「男性は、そのような習性はございませんから、どっちかって言うと女性に

血を提供する立場でしょうかね・・・」


「なるほど・・・見る限りでは姫の交流はつつがなく進んでそうですね」

「早速、陛下にご報告しておきませんとな」


「あのメルバは連れ戻されるんですか?」


「まあ、たぶん大丈夫でしょう・・・メルバ様は特にお世継ぎという立場では

ございませんからね・・・そういう意味では自由ですかね」


「は〜そうなんだ・・・よかった・・・」


「メルバ様は陛下の30番目のお子様ですからな・・・世継ぎからは外れて

おられるのです」


「30番目?・・・メルバの親父って30人も子供がいるのか?」


「ま・・・国を預かる者としては常識ですな・・・そんなことは」

「かく言う私も、子供は10人おりますよ」


「一夫多妻ってわけじゃないんだろ?」

「一夫一婦制ですよ・・・他にお付き合いしてる女性がいるだけです」


「浮気してんじゃん・・・」


「我々の星では、そんなのは浮気なんて言わないんです、子孫を少しでも

多く残すことの方が大事ですからな・・・」


「ふーん戦国時代の侍みたいだな・・・」


「お待たせ・・・」


メルバが服を着て二階から降りてきた。


「で・・・ザッハトルテ、なんでおまえがここにいるの?」


「王様のご命令で姫のご様子をお伺いにはせ参じました次第です」


「来なくていいのに・・・うまくやってるんだから、心配ないから」


「そのむさ苦しい顔、見たくないし、邪魔しないでくれる?」

「ミルフィーユまで引き連れて・・・」


「ハ〜イ・・・ミルフィーユ、元気?」


「はい、メルバ様・・・元気ですっ」


「ミルフィーユ・・・彼女できた?」


「あ〜そのような甲斐性も暇もなくて・・・」


「ザッハトルテになんかくっついてたら一生彼女できないわよ」


「姫・・・なんてこと言うんんです、失礼な・・・ミルフィーユの面倒は

ちゃんと見ておりますから・・・」


「とにかく私はケイスケとうまくやってるから・・・とっとと帰って、

お父様にそう伝えて・・・」


「そうはいきません・・・私どももしばらくここにお邪魔させていただく

つもりで来てますから・・・」


「おいおい・・・あんたら、ここに居座ろうって言うのか?」


「正直言いますと私、毎日城勤めで実に退屈してたんでございますよ、ケイスケ殿

でもここは環境が変わって、なかなか面白くて楽しそうじゃないですか・・・

なあ、ミルフィーユ?」


「そうですね・・・姫のパンツ姿も見れましたし・・・」


「バーカ、むっつりスケベのミルフィーユ・・・あれは不意を突かれたからだよ・・・だからもう期待しないほうがいいぞ」


「ああ、ピーチさん、お久しぶりです」


「挨拶が遅いんだよ・・・俺を無視しやがって・・・」


つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る