第7話:ケイスケは私とエッチしたいんでしょ?

メルバの為に会社を辞めてしまった俺は、次の日彼女を連れてスーパーへ

買い物に出かけた。


メルバは地球へ来て即、ホテルに連れていかれただろうからスーパーなんて

入ったことがなかったんだろう。

コンビニへ行った時と同じように、珍しそうに各棚に陳列されてある食材を手に取ったりして、珍しそうにキョロキョロ見ていた。


迷子になってもいけないので、俺は右手にカート、ひだり手にメルバの手を

ひいて・・・ 食材を物色した。


そして、お目当の肉を買って、ある物とある物をさりげなくカートに入れた。

本当は精肉店へ行けばいいんだけど・・・スーパーのほうが安いし

給料入ってこなくなったから、親の仕送りだけで生活していかなきゃいけない。


俺ひとりなら、なんとかなるけど、人の血を吸うだけの彼女がひとり増えたからな。

節約もしなきゃいけないだろ・・・。


血を吸うだけの彼女って・・・って、そんな言い方したら、メルバが可哀想だな。

彼女がいてくれるってだけで、俺の生活にハリが出てるのはたしかだ。


なんて言うんだろう・・・ひとりぼっちで暗かった俺の家に明るい太陽が差し込んだ

みたいに・・・彼女は綺麗だし、眩しいし、暖かいし・・・何もしなくても

そこにいてくれるだけで俺にとっては、めちゃ癒しになるんだ・・・。


ハグするとめちゃいい匂いがするし・・・。

この匂いは男をダメにする匂いだ・・・メルバがいなくても、その残り香を

思い出しただけで、俺はヘタレになってしまう・・・もう胸がキュンって

なるんだ・・・。


俺は完全にメルバに恋しちゃってる。

苦おしいくらい・・・辛いくらい・・・悲しいくらい・・・切ないくらい・・・

なんて贅沢な悩みなんだ。

多少、血吸われたって、そっちの恩恵のほうが俺にとってはデカいから・・・。


メルバは何か、気になったものが見つかるとすぐに、つないだ手を離そうとする。


「メルバ・・・迷子になったらダメだから・・・手は離さない・・・いい?」


「んなこと言って、そんなのを理由にお前がメルバと手をつなぎたいだけだろ」


まったくクチの悪い桃だよ。


「こんなところで、行方が分からなくなったら、探すのが大変だろ?」

「だからだよ・・・下心なんてないよ」


「ほう〜メルバを見て何も感じないのか?」


「俺も男だからな・・・ビンビン感じてるよ・・・メルバに言わないだけで・・・」


「なんで?、何遠慮してるんだよ、なんで自分の気持ちを伝えないんだよ」

「中身はまだ薄いかもしれないけど、お前らお互い恋人同士って認め合った

んだろ?」


「たしかにそうだけど・・・メルバは恋人ってその言葉の意味、分かってる

のかな?」


「あのさ・・・ピーチに話しかけたら、全部、私にマル聞こえなんだけど・・・」


メルバはそう言って、俺をチラ見した。


「あはは・・・たしかにな・・・おれってバカだな・・・」


「ケイスケ・・・私はそこまで無知じゃないからね・・・恋人の意味くらい

分かるよ」

「ケイスケは私とエッチしたいんでしょ?」


「お〜い・・・声が大きいって・・・」

「そんなことここで言うなよ・・・・言うなら家に帰ってから言えよ」


「いいじゃん、別に・・・隠すことじゃないし・・・私の星なら、そんなのは

普通の行為だよ・・・なにこそこそしなきゃいけないの? 」

「お互いが恋人って認め合ったら、即エッチでしょ」


「ケイスケと私は遅いくらいだよ」

「ケイスケが私とエッチしたいって、なかなか言わないから・・・でもさ、

ケイスケが私を見る目・・・分かるよ・・・この人は私とエッチしたいんだろう

なって・・・」


「この場合は、メルバが言ってることが正しくて、理解できるな」


ピーチが横からクチを挟んだ


「いやいや・・・思わないわけないじゃん・・・俺はノーマルだからな」

「メルバを見てエロいことだって考えるよ」

「でもな・・・なんかさ、ひっかかてるんだよな・・・メルバが俺の彼女になってくれた理由がさ・・・血、吸わせてもらう代わりに彼女って・・・ 」


「もう、じれったい・・・・まだそんなことに、こだわってるの?」

「私、ちゃんとケイスケのこと認めてるよ・・・ちゃんとした気持ちで愛してるよ」


「エッチすれば、私がどれだけケイスケのことが好きか分かるよ・・・」


「だから・・・声がデカいって・・・」


「地球人は臭いモノには蓋をしろって人種だからな・・・」

「性に関しては俺たちの星に比べてかなり遅れてるんだよ・・・恋人同士の

大切なコミュだと思えばいいんだけどな・・・ 」

「性に関して、嫌悪感持ってるやつが多すぎんだよ」

「セックスだって飯食ったり、風呂入ったりするのと同じだろ?」


ピーチは偉そうにそう言った。


「こんなところで性に語ってもしょうがないだろ・・・俺たちは買い物に

来てるんだぞ・・・・さあ・・・買うものカートに入れたし、レジへ行くぞ 」


俺がレジで支払いをしてる間・・・ピーチとメルバは、商品台に並べられた

スイーツを物色していた。

(やっぱり女の子だな・・・色気より食い気か・・・)


あと俺がメルバに内緒で買ったもの・・・それは?何かって言うと・・・

それは鳥のレバーとトマトジュース。

鉄分大切だもんな人間でも・・・バンパイアでも・・・。


つづく。

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