第19話

だんだんと、だんだんとエアコンの冷房が効いてくるまで私達はラグもマットもカーペットもない狭苦しい部屋で裸で体育座りで向かい合っていた。

「ここ何畳?」

「聞かないで」。

真中は聞く。

「擦り付けていい?」

「なにを?」どこに?

沈黙。

「え?っ、え?」私は、しまった、と思った。

だけどすぐに気を取り直し、ちょっと涼しい汗をじとーっとかきながら、細い足を、少しだけ開く。

「どうぞ」

沈黙、するかと思ったら一射。

「秋ヶ瀬さん、あ、苗字しか読んだ事ない人とこんなことしてる」

真中まで変になってきた。

女子高育ちでも、大学でも男女の交わりはわかっている。ただ、ただ。実技!

「秋ヶ瀬さん」

真中の次に来る言葉、そのまた次に来る言葉がオソロシイ。

経験は?とか聞かれたら、


聞・か・れ・た・ら!!!


「彼氏、どうすんの」

「え?!」


真中に彼氏の事は伝えていない。

「毎日二人でLINEするらしいじゃん」「・・・・・・誰から聞いたの」

「小林さん。」

「やろう、真中くん。やれるとこまで!」

「えっ?!」

何言ってんの?!と真中は引いている。私だって引いている。しかし、どこかが何かが後には引けない。やれるところまでとはなんなのか。

「ベッドないね!布団は!ないの?!どうやって寝てるの?」

「・・・・・・パンツ一丁」

一丁って。私は、正気に戻りかけて、しかしようやく効いてきた冷房のおかげで目の前の人肌をロックオンした。

まだまだ二人で体育座りしている。

「擦って。」

「えっ」

「擦って」

細く長い脚を、恥ずかしげもなく開く。ただし、お風呂で自分のを洗う時くらいの開き具合。

開き具合!

もう、最後までやる気はない。ただ、一矢報いたい!真中が言う。難しいんだけど。


え?


いやだって、


見ないようにしていたものを見る。

見れば少ししごいている。


「やめてよ!」

「なにが?!」


私だって、私だって、BL漫画くらいの知識はあるんだ!それでも、真中になぜか愛着が湧く。説明が難しい。男なら誰でもいいわけじゃない。

真中は仰向けになってくれない、と言ってそれは絶対嫌、と速攻で被せる。真中が困惑している。

「じゃあ、近づく。」


「うん。」

真中も片足を開いて、私達はなんだか〈秘部が擦れるくらいに密着する二人〉みたいな彫刻、というかその人間ver.になってよく分からない裸体と人肌の。じっとり汗を互いにかいた身体の生殖器の接触果たした。間近で男の人のが勃っていくのを見てしまった。あとグロそうで見られなかったけど、伸びたところが余計に私の、私でもよく分かっていないところを擦る。とあるどこかへ押し込もうとしながら相手はもう、勘づいていた。これは子供同士のやだてはいけない、


真中が確信していた。

「ゴムないから、


〈ビクリと私はする〉


やらないけどさ。出さないし」


「濡れてないね。」

 

濡れ、る?



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