第20話

私は帰りの電車に乗っていた。


あの後二人で涼しい冷房の効いた部屋で各々の順序で脱いだ服を巻き戻すみたいに来ていった。

真中に経験があるかどうか聞く。

「いやっ、・・・・・・」と間が空いたあと。

「大学入って、初めての飲み会で年上の先輩にラブホテルにお持ち帰りされた」

ツッコミどころがあった。ラブホテルは家じゃないからお持ち帰りじゃないじゃない?と。そうなると

「あとは?」

無言。

腰の動かし方とか知ってる?今度はこっちが問いただしたくなった。前戯は?指は?でももう、何も聞きたくなかった。私の知識はBL漫画。TL漫画はきゅんとしないのだ。ただスマホで広告をながめるだけで。

帰り支度を済ます。

ろくに乱れもしなかった髪。それを揺らして振り返る。

「貴重な冷房、ありがと。」

真中は微笑んだ。

「男の家に行く時は気をつけて」

もう何も聞きたくないかも知れないけれど大事な事だから聞いておく。駅までのジワジワした暑さの中飛び出した。


来ている服が、自分の服じゃないみたい。

肌と衣の間に何かをずっと感じてる。揺れる電車。お昼過ぎ。車両には私しかいない。なんだかすごく言い表しがたい、オトナになりかけた、でもこいびとじゃない、わたし、涼しい、今とても。でもなのむあっとした暑さのなか、脱いで。裸でくっつきあい、ちょっとひりつく秘部に、真中の男性の、性器が。私は常識もかなぐり捨てて彼氏に電話した。この日この時間の講義があれば彼はスマホの電源から切る。何もなければ直ぐに電源を入れる。つながった。


在有、なに、どうしたの?


前に撃退してくれたストーカーの事でも心配してくれているのだろう。


私は、

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