第23話 初配信!! 後編


「次の項目は…ファミールに入ってからの目標だね」


これは正直、めちゃめちゃに悩んだ。

俺はこれまでにゲームをそこまでやってきたわけではないから、ゲームをたくさんやりたいとも思っていたし、企画とかを自分で考えたりもしたいなとも思っている。

その中でも、俺が思う一番の目標は…


「俺の目標は…やっぱりライブをやりたいっていうことかな」


『おお!ライブ!』

『ライブ!』

『いいねー』

『ライブっていうのはソロかな?』

『ライブはみたいな』

『…ライブでもダジャレとか言って、しらけさせるんじゃ…』

『RINGでのライブも見てみたい』


「えーっと、正直まだまだ先のことだから、そこまで考えていないけど…、最終的には、ソロライブをやってみたいなとは思ってるよ。でも、もちろんファミールの全体ライブにも出てみたいし、記念ライブとかもやってみたいなとは考えてるかな。……、ちなみに、ライブとかではダジャレは言わないから安心して!ちょっと、コメントが見えたから一応言っておくけど!」


そう、さっき少しコメントを見ていたら、ダジャレを言うんじゃないか?みたいなことが書かれていたからな。さっきのダジャレは少し面白さを入れないといけないと思って入れたんだけど…、うん、大失敗したね。

目標に関しては、色々とやりたいことはあったけど、やっぱり俺はソロライブをやってみたいと言う気持ちがある。ファミールの中にも何人かソロライブを経験している人もいるから、その人たちのように俺も歌ってみたいんだ。俺がよくみていたファミールメンバーでもある、セン先輩、ひまり先輩、シンカ先輩の3人は全員やっていた。


『ソロライブかー…!』

『先は長そうだけど、応援するぞ!』

『頑張れー』

『ソロライブか!』

『応援するよ!』


「みんなありがとう!頑張るよ」


やっぱコメントあったけーなぁ。

こう言うコメントのおかげで頑張れるんだろうな。

正直、俺もまだまだ先のことだし、ソロライブができない可能性も全然あるから、少し心配だったけど、コメントを見ていると、どんどんやる気が湧いてくる。


まあ…



『むずかしくないか?』

『無理だと思うなー』

『厳しいね』


こう言う少し冷たいコメントも目には入るけど…。

でも、こういうコメントも俺を思ってコメントしてくれているのかもしれないしな。俺もソロライブをやることがとても難しいと言うことぐらいは知っているから、こういうコメントもちゃんと受け入れていこうとは思っている。

少しダメージは受けるけどね…!



「……あ、もう一つ目標というか…、やってみたいことがあるから言っておこうかな」


俺は、ファミールの先輩方の記念ライブ等をみて感じていたことを、今思い出した。

これは、シズさんともみじさんに初めて会った時にも少し話していた気がするんだけど…、みてくれている人達にも言っておきたい。


「なんか、ちょっと恥ずかしいんだけど…俺さっき、先輩方のライブを全部見ているって言ったよね。そのライブを見て感じたことがあるんだけど….俺、昔から複数人で歌を歌うっていうことをしてこなかったんだよ。ずっと一人で歌っていてね…。だから、先輩方達と一緒に歌を歌いたい、できるだけ多くの人たちと一緒に歌いたいって感じるんだよね。もちろん、同期の二人ともね!」


俺はずっと思っていたことを口にする。

これは、ファミールを知って、先輩方のライブを見てからずっっと思っていたことだから、伝えておきたいって思っていた。



『ぜひとも、我が推しとコラボしてください』

『その目標…いいね!』

『おお…なんか…、少し感動しちゃったw』

『メンバー多いから、全員とやるのは先が長そうだな』

『これは、ファミールメンバーそれぞれのファンも嬉しそう』

『ファミールメンバーは多いぞーw』

『ぜひみんなと歌ってください!』

『楽しみにしてます』

『俺たちも聴けるの楽しみにしてる!』


そうなんだよなー…。ファミールのメンバーって100人以上いるから、全員と歌をうたうのって絶対大変だし、時間もかかるんだよな…。


「みんなの言う通り全員とうたうのは大変だし、時間もかかるかもしれないけど…、それでもできるだけ多くの人と歌ってみたいな。それに…!一対一じゃなくても、複数人で歌うっていうのもいいしね」


そう!複数人での歌うっていうのも夢ではあったからな!ライブとか歌ってみたでも複数人で歌っているところもあったし。


『複数人もいいなー』

『RINGでの歌ってみたもみたい』

『複数人!』

『それも全然ありだな』

『どんどんコラボしてくだせー』


「…まあただ、一つ問題があるとすれば…、さっき言った通り、俺が人見知りなところかな…。多分、先輩方とかを誘う時とか、多分めっちゃ緊張するし…、誘うまでの時間とかも長くなっちゃいそうなんだよ…』


これが一番の問題なんだよなー。なんなら、RINGの二人でさえまだ少し緊張してるんだからな。


『一番致命的なところが問題で草』

『そこは…頑張ろう!』

『やっぱ俺と同じだな!』

『そこが問題かー…』

『まあまあ、案外いけるで。みんないい人だし』

『私も人見知りだから、それめっちゃわかる』

『まあ新人だから、ここ数ヶ月は難しいかもしれないけど…、慣れていけばいける!』

『慣れてきてから頑張ればええで』


みんなのコメントがありがたいなー…。コメントのみんなのためにも頑張っていかないよな。

…初めはまだ緊張もするし、少し誘っていいのか?みたいな感情もあるから、コメントのいう通り、慣れてきてから…。


「みんなありがと!時間はかかるかもしれないけど…、頑張るよ」


よし、ここで…みんなの前で言ったんだから、できるだけ多くの人と歌えるように努力していかないと。…ただ、もしかしたら、この初配信を見ているメンバーの方に聞かれているかもしれないのが、少し恥ずかしいな…。


俺は、自己紹介で発表したいことも全て言えたので、もう一度時間を見る。


「…よし!これで自己紹介も終わったし…、次のコーナーに行きますか!」


時間を見ると、もう20分だったから俺はすぐに次に用意しておいた、一言質問コーナーに行くとする。

多分、そこまで長くはやれないけど…一言だから、意外とやれるのではないかと考えている。


「次にやるのは…一言質問コーナー!」


俺はそう言いながら、パソコンの画面を専用の画面に移し替える。


『質問コーナー!?』

『おおお!』

『時間大丈夫か?』

『一言質問?w』

『一言でいうだけの質問コーナーか?』

『面白そう!』

『いいねー』


「えーっと…このコーナーの説明を軽くすると…まあ、めっちゃ単純なんだけど、みんなのコメントでの質問に俺が一言で答えるってだけだね。だから、詳しく聞きたいっていうのには答えられないかもしれない。けど、時間は短縮できるから、結構多く答えられると思うよ」


俺はその名の通りのことをやるだけなのだが、一応コーナーの説明をしておく。

どれだけの数を答えられるかはわからないけど…、時間の限りできるだけ多く答えるつもりだ。


「ならもう早速やって行こうかな!みんな、どんどん俺に聞きたいことをコメントしてくれ!」


よし…、このコーナーで一番重要なのは、どのコメントを拾って、答えていくのかだ。もしかしたら、少し危ない系の質問だったり…、ちょっと大人向けの質問だったりがくるかもしれないけど、そういうコメントは申し訳ないけれど、拾わないようにしないと。

ファミールの方からも、そういうところは気をつけるように言われているからな…!俺は注意しながら、コメントを見ていく。



『好きなボカロ曲!』


「好きなボカロ曲は…、ヘブン!みんなも聴いてみてくれ。次っ!」


『ヘブンは神曲』

『聴いたことないからきいてみる!』

『あれ感動するんよな…」



『頭はいい?』


「頭の良さは、普通…かな…。一応20歳だから少し大学の知識があるぐらい」


『よし、ファミールの方なら上の方確定だな』

『ファミールの中にはまじのバカもいるからな…』

『大学までの知識があるだけで、もう上の方だわ』



『最近みたファミールメンバーは?』


「えーっと…、シンカ先輩の歌って見たで、”夏の時間記録”を聴いてたかな。俺も好きな曲だったから」


『いいねー!』

『本当に声がいいんだよねー…、シンカちゃん』

『シンカの歌ってみたはどれも神曲!』



『コラボしたいファミールメンバーは?』


「コラボしてみたいのは…、全員とコラボしてみたいけど…、太陽先輩かな。ちょっと話してみたいこともあるからね」


『おお!まさかの太陽か』

『話したいこと…?』

『陰と陽な気がするんだけど…大丈夫か?w』



『男性ですか?』


「……えーっと、性別は男だけど…。え?今聞く!?」


『草』

『俺も女だと思ってたから助かるわ』

『あなた、男だったのか……』



『一人暮らし?』


「うん、俺は一人暮らしをしてるよ。ペットもいないから、本当に一人だね」


『一人暮らしって意外と大変なんだよな…』

『ペットもいないのか』

『私も一人暮らししてみたい…』



『RINGの由来は?』


「あ、そう言えば言ってなかったか。宇多黒レンのR、和泉もみじのI、凪威シズのSをとって繋げて、RINGにした感じかな。あとは、つながりを意味するっていう理由からもこのユニット名にしたね」


『ちゃんとした理由だ…』

『めっちゃ納得できるわ』

『確かに、3人にめちゃ合ってる』



『背の高さは?』


「そのうち、公式の方にも載るとは思うけど…、俺の公式の背の高さは、172cmだよ」


『もう少し高いかと思ったな』

『私的にはちょうど良すぎる』

『高すぎないのもいいなぁ』



『一番好きな公式は?』


「…公式?それって数学とかのでいいのかな…。えーっと、今パッと頭に思い浮かんだのは、オイラーの公式かな」


『…思ってたより、上の方の公式がきたな』

『…オイラー…。レンくんのこと?レンくんの公式?』

『これはちゃんと大学行ってますわ』



『一番好きな漢字!』


「好きな感じか…。やっぱ歌っていう感じかなー。一番好きなことでもあるし。それと優しいの”優”、笑顔の”笑”も好きだな」


『なんか…納得できるな』

『まだレンを知って、20分ぐらいだけど…ちょっとわかる』

『歌と優と笑か…。いいな』



『好きな歴史上の人物』


「歴史上の人物かー……。やっぱ織田信長かな。理由は俺でもよくわからないけど…有名だしね」


『信長かー』

『俺なら豊臣秀吉を選ぶかなー』

『確かに、歴史上の人物で好きな理由とかって難しいかも』



『野口英世の?』


「……野口英世の愚痴ひでーよ!!」


『………』

『…アハハ……』

『オモシローイ…』



『この空気をどうにかしてください』


「…俺も、コメントに言わされたみたいなところがあるんだけど……、じゃあ、もう一個のお気に入りを…。うーん…明日の天気って何だろうなー…。あっ!明日の天気は雪ですのう!」


『……』

『…あれ?もう夏なんだけど……』

『…ちょっと寒いから、一旦ブラウザバックした方がいいかもな…』



『もう一度言います。この空気をどうにかしろ』


「…はい…皆さんすいませんでした!!俺の何の面白くもないダジャレで空気を壊してしまいました…。…今言うのも何ですが、さっきなんでダジャレを入れたかと言いますと……俺そこまで面白い話しとかができないから、少しでもみんなに笑ってほしくてダジャレを入れました…。その結果が…こんなになっちゃいましたけどね!!』


『ちょっと可愛くて草』

『そんなこと考えんでもいいのにw』

『まあ…正直面白かった』

『正直ちょっと笑ったよ』

『配信してくれてるだけでいいんだよ!』

『…ちょっと面白かったよ』

『普通にダジャレなくても面白かったでw』


「…み、みんな…。ありがとう」


めっちゃ優しいやんけ!もうみんなのことが大好きになってしまいそうだ…。こんなに温かいコメントをくれてありがとな…

…ただ、面白かったって言っている人は、なぜその時に言ってくれなかったんだ?その時に言ってくれた方が俺も嬉しかったと思うんだけど…。

これが…、コメントの団結力というものなのか…?


……


「あっ!もうこんな時間か!ごめんね、最後の方はもう一言質問コーナーではなかったけど、一旦ここで終わるね。また、後日の配信で少し話そうと思ってるから、その時に詳しいことは聞いてくれ」


俺が時間を見ると、もう25分を過ぎようとしていたから、すぐに最後の準備に移る。曲は短めにまとめていたから、最後までは弾けて歌えそうだ。


俺は隣に用意しておいたピアノの方に移って、マイクもすぐそばにセットしておく。

ちゃんと、聞こえるかどうかは、マネージャーと事務所の方に協力してもらって、事前にチェックしてもらったから、そこは大丈夫なはずだ。

本当にありがとうございます。鈴木さん、事務所の方々…。


「じゃあ今から、俺の特技でもあるピアノと歌を披露するね。ちょっとミスとかあるかもしれないけど、そこはあまり気にしないで欲しいな」


『大丈夫だよ!』

『楽しみだー』

『やばい!楽しみ!』

『何歌うんだろう…』

『最後まで楽しむぞー』


コメントのみんなも楽しみにしてくれている。


(ふーーー……)


俺は一旦深呼吸をする。

みんなが楽しみにしてくれているんだ、俺もその期待に応えられるように精一杯頑張ろう。


「それでは、聴いてください。ヒューズ」


俺が面接の時にも社長と鈴木さんの前で引いた曲。

それを今見てくれているみんなにも披露する。

俺はゆっくりと弾き始めた。


………

……


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢



「……ふー…。ちょっと短かったけど、これで歌とピアノは終わるね」


一応ミスせずやれたけど…やっぱ緊張したなー…。

面接の時と同じぐらいの緊張だったかもしれない。


俺は時計の方を見て、時間を確かめる。


「…って!やばい、もう時間だ!えーっと、最後に少し話させてね。今日は俺の初配信を見にきてくれて本当にありがとう。結構緊張してたんだけど…、コメントのみんなに助けられたよ。明日は、公式の方でRINGの3人で出るから、そっちの方も見にきてくれな。じゃあ、またね!」


俺はそう言い、すぐに軽く作ったエンディングの画面に移して、配信を終了した。

最後はもう時間がなくて、コメントとか読めなかったけど…、そこはもうしょうがない。時間は守らないといけないからな。


………


「はー…、疲れたけど…楽しかったな」


うん、俺が思っていたよりも楽しく配信できたかもしれない。それも、見てくれている視聴者のおかげだな。まあ、緊張していて、少し焦ってしまったこともあったけれど…それもいい思い出になるだろう。


「…よし!明日からも頑張るぞ!」


俺はそう意気込み、明日の準備をし始めた。




………

………

………



ちなみにその夜、スマホでY(旧ワイッター)を見たところ、俺たちRINGの3人と、ヒューズ、そして何故か野口英世もトレンド入りしていた。


今は令和なんだけど…、なんでトレンド入りしてるんだろうなー(棒読み)


——————————————————————


初配信が終わりましたね。次からは、RINGでの公式放送です!

もし、誤字脱字等があれば報告よろしくお願いします。

そして、よければ星評価(レビュー)の方もよろしくお願いします!


最後に、コメントなどの配信形式でもし、アドバイスなどがあれば教えてください!僕も初めて書くので、こんな感じでいいのか少し不安なので…。

よろしくお願いします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る