第22話 初配信!! 前編


……


……


「…あー…あー…。き、聞こえてるでしょうか?」


俺は、時間になったので、待機画面から配信を始め、声が聞こえているかどうかを聞いてみる。

…やばい、心臓が張り裂けそうだ…。

心臓の音が直に聞こえてくる。


『聞こえるよー!』

『来たーー!』

『めっちゃ緊張してて草』

『声震えてる』

『ちょっと声が小さい気が…』


「あ、声が小さいですか!?ごめんなさい、すぐに直します!」


うう…やってしまった。ちゃんと設定はしていたはずなんだけど、ちょっと小さかったらしい。

俺は、オーディオインターフェイスをいじって少しだけ音量を上げる。


「あー…あー…どうかな?このぐらいで大丈夫?」


『大丈夫!』

『焦りすぎ草』

『ちょうどいいよー』

『完璧』


よかった、音量は大丈夫らしい。


…ふー…、一旦落ち着こう。楽しむって決めたんだから。緊張で焦らないようにしないと。


「音量は大丈夫そうだね。あと、ちゃんと俺は動いているかな?」


俺は、体を左に右に倒しながら、動いているかを確認する。これで動いていなかったりしたら大変なことだからな。


『動いてる』

『ちゃんと動いてる』

『かっこいい!』

『動いてるー』


「動いてそうですね。よかった」


よしよし、ちゃんと動いていそうだ。ひとまず安心だ。


「…では、遅くなりましたが、自己紹介をしていきますね。ちょっとやることが多くなっているので…どんどんとやっていきます!」


俺は、事前に用意しておいた自己紹介用の画面を、俺(宇多黒レン)に被らないように、かつ視聴者が見えやすいように共有する。


「まずは、名前とユニット名ですね。ユニット名はもう、俺の前の二人から聞いているとは思いますが…、この度ファミールの新メンバーとしてデビューすることになったRINGの宇多黒レンと言います。皆さんよろしくお願いします!」


『レン君ー!』

『よろしくねー』

『よろしく!』

『RING…!カッコいい!』

『…俺と同じ匂いがするぞ…』


「あ、皆さんコメントありがとうございます。えーっと…、一応性格的なことを言うと…そこまで陽キャラっていうわけでもないですし…なんなら少し人見知りなので、お願いします」


俺は一応、内面的なことも言っておく。これがどう言う反応になるのかはわからないけど…、言っておいた方が視聴者も俺がどう言う人物なのかわかってくれるだろう。


『…!仲間だ…』

『そっちの方が全然いい』

『少しウブな感じいいなぁ』

『それはなんとなくわかったな。始めの方でw』

『応援するよ!」


…なんか、暖かいコメントが多くて少し気分が良くなってくる。こういうコメントが多い方がこちらとしてもやりやすいから、本当にありがたい。

俺としても、内面的なことをいうのを少し心配していたから、コメントを見ると嬉しくなる。

…ただ、コメントの流れる速度が早すぎるんだよな…。ちゃんと見ておかないと読むことができない。


「では、次に行きますね。次は、誕生日、星座、血液型ですね。俺の誕生日は、3月7日で20歳になります。星座は魚座で、血液型はO型です」


ちなみに、20歳っていうのは、俺の実年齢もそうなんだが、宇多黒レンとしての年齢も20歳っていうことにした。…そっちの方が、忘れたりしなそうだからね。


『O型なのか!意外だ』

『3月生まれの魚座で一緒だ!』

『うわああ、あと一日遅かったら誕生日一緒だったのに』

『O型なのは意外だけど、ちょっと納得もできるな』

『20歳なのか。てことは晩酌配信を期待しても!?』


「あー、コメントの言うとおり、O型なのは意外だって良く言われますね。けど、結構大雑把だし…一人の時間も欲しかったりするから、自分だとO型だと思うんですよね」


『なるほど』

『自分もO型だからめっちゃわかる』

『私A型だけど、大雑把だな…』

『わかるわー』

『わかりみが深すぎる!」


「…おー!やっぱりわかってくれる人もいるんだ!?嬉しいなー」


……


……あ、喋り方が。


「…あ、ごめんなさい!思ってた以上にわかってくれる人がいて…少し喋り方をミスってしまいました…」


やってしまった…。初配信だから丁寧な言葉でやっていこうと思っていたのに…!

まさか、こんな序盤でミスってしまうとは…。



『全然大丈夫よ』

『むしろこっちの喋り方の方がいい』

『少し丁寧すぎてたから、こっちがいい』

『びっくりしたけど大丈夫だよ』

『そっちの話し方の方がええな』

『話しにくかったらそっちの喋り方でも大丈夫だよ!』


…あ、あれ?意外とこっちの喋り方の方がよかったりするのかな?俺的には、丁寧に話した方がみんなわかりやすいと思っていたんだけど…。


「…えーっと、ちょっとみんなに聞きたいんだけど…、こっちの喋り方の方がいいって言う人どのくらいいる?」


俺は一度、視聴者のみんなに聞いてみる。


『そっちがいい』

『どっちでも大丈夫や』

『話しやすい方でいいよ』

『俺的には今の方が聞きやすいし、コメントもしやすい』

『今の方がいいかなー』


おお…。予想以上に今の方がいいって言う意見が多いな。あとはたまにどちらでもいいって言う意見があるくらいか。


「…こっちの方がいいんだな…。…よし、わかった!これからこの話し方でやっていくね。もし、途中から話し方が気になったりしたら、またコメントお願いね」


正直これは予想外だったけど…、俺としてもこっちの方が話しやすいしな。それに、さっきもコメントあったけど、こっちの方がコメントもしやすい見たいだし。


「よし!時間もないから、どんどん次にいこうかな。次は…特技。俺の特技は、この格好とか、公式で上がっていた紹介PVとか見ればわかるかもしれないけど…、歌をうたうことだね。あとは、ピアノを少し弾けるぐらいかな」


『歌だ!』

『ピアノも弾けるのか』

『歌は知ってたけど、ピアノは意外』

『歌聞いてみたい!』

『ピアノ弾けるのかっけーなぁ』

『確か、もみじさんもそう言ってたな』


…やっぱコメントあったけーな…!

もう少しつめたい感じのコメントもあると思ったけど、今のところ俺の目には入らない。

まあ、コメントの流れが速すぎるから、俺の目に入っていないだけかもしれないけど。


「歌に関しては、正直まだ自信ないけど…、ファミールに入ることができたんだから、歌をもっと上手くしていきたいとは思ってるかな。ピアノもまだまだだけど…、少しずつ色々な曲を弾きたいとは思ってるよ」


そう、ファミールに申し込んだのは、実際勢いで申し込んだところあるけど、そこからファミールを知って色々な人の歌とかを聴いていくごとに、俺もファミールに入ったらもっと上手くなりたいなとはずっと思っていたからな。


『応援してるよ!』

『頑張ろう!』

『私たちはその過程を見ていくことができるのか』

『聞いてみたいなー』

『俺たちも応援してるぞ』


「みんなありがとう!えーっと、先に言っておくと、この配信の一番最後に歌とピアノを少しだけ披露しようとは思っているから、よかったら最後まで見ていって欲しいな」


『!?』

『よし、最後まで見ることが確定した』

『まさかの初配信でお披露目とは…』

『やったぜ!!』

『嬉しすぎる』

『楽しみーー』


…やばい、コメントの反応を見るとプレッシャーが一気にくるぞ。本当は一番最後に言おうとは思っていたけど、たまにコメントで聞いてみたい的なコメントがあったから、先に言ってしまった。

まあ、疲労することは絶対だから、いつ言っても同じか。


「と言うことでね、歌とピアノの披露などなどやることがまだあるから、どんどん次にいっちゃいますね」


俺は時計を見て、次の項目へと移る。

今の時刻は20時7分ぐらいで、意外と時間には余裕があるけど、一言質問コーナーをやるとなると、少し急いだ方がいいと考える。


「次はー…えー…ちょっとここでね、さっきまでは真面目感じだったけど、ここで一旦おふざけを入れます。えーー…ダジャレです』


『……』

『うん?』

『いきなりすぎやんw』

『なぜにダジャレ?w』

『草』

『まさかまさかすぎて笑うわ』


うん、やっぱこう言う反応になるとは思っていた。


「まあ、そう言う反応にはなるよね。けどねー…、結構自信あるダジャレだからね!受けるかどうかわからないけど…」


『マジか』

『ちょっと楽しみかも』

『どんなダジャレだ?』


俺的には結構自信があるんだよな。昔朝の番組で聞いたあのダジャレ…。どうか受けてくれ!


「ごほん…、では言います。……野口英世の愚痴、ひでーよ!!」


さあどうだ!





『……』

『……』

『……あはは…」

『…うん、面白いよ』

『…うん、次いこう』

『……これは忘れておこうかな』

『お、俺は意外と好きだぞ!』

『あはは……』


……

…え?さっきまでの暖かいコメントが…、一気に冷めたんだが?

もしかして…失敗したか?もう少し受けると思っていたんだけど…。


「………ごほんっ、よし!次にいくぞ!」


この流れはダメだ!元の流れに戻さないと…。

…くそう。もう少し受けると思っていたのにな…。


俺は、まだ乾いた笑いをしているコメントを見ながら、すぐに次の項目に行く。


「えーー…、次は…あ、これはみんな気になる人とかいるんじゃないかな?次はよく見ているファミールメンバーですね。…これをダジャレの後にやるのかって話なんだけどね…」


『それはそう』

『ダジャレの後にこれかいw』

『けど気になる!』

『誰が好きなんだろう…』

『これは気になるぞ!』

『さっきのダジャレとのコメントの温暖差よw』

『いいねー』


よし、さっきのコメントに戻ってきたぞ。

やっぱみんな気になったりするのかな?いろんなファミールのファンの人が集まってたりするだろうし。


「先に言っておくと、ファミールメンバー全員の配信を見たことはあって、全員の配信が好きなのでそれだけは覚えておいて!その中でもよく見ていたのは…、神楽坂ながい先輩、太陽先輩、来栖セン先輩、胡桃ひまり先輩、早乙女シンカ先輩かな。ながい先輩と太陽先輩は配信内容とかが好きでよく見ていて…、セン先輩、ひまり先輩、シンカ先輩は歌が本当に上手だから、よく歌配信とかを見させてもらってるね」


全員の配信を見たことがあるのは本当だ。まだまだファミールを知って日は浅いけど、書類審査が通ってから今日までで、ずっとファミールのメンバーの配信を見てきたからな。その中でも、配信を見ていて、内容が好きなのが、ながい先輩と太陽先輩、歌をよく聞いているのが、セン先輩、ひまり先輩、シンカ先輩っていう感じだな。

後者の三人は本当に歌が上手いんだよな…。三人の歌を聴いていると、自信をなくすって言うのは本音だけれど、先輩たちのようにもっと上手くなりたいと思うのも本音だ。


…ちなみに、少し前からファミールのメンバーの皆さんを先輩呼びしているんだけど、まだまだ慣れないね…。これも慣れていかないと。


『ながい君だ!!』

『太陽が好きなのはちょっと意外』

『歌が好きだと、その三人のメンバーが好きになるのはわかる気がする』

『ながい君と太陽君かー』

『俺と似てるな』

『センちゃん、ひまりちゃん、シンカちゃんは私も聞いてるー』

『おおー!ちょっと意外だ!』

『ながいファンの俺からしたら、好きだと言ってくれるのは嬉しすぎる』


おー、やっぱいろんなファンの方がいるんだな。コメント欄を見ていると、それをよく実感する。


「もう一度言っておくと、ファミールメンバー全員の配信を見たことがあるし、好きでもあるからそれだけお願いね。なんなら、全員の記念ライブとかも見たことあるので」


『わかってるよ!』

『ファミールメンバー全員面白いからなー』

『逆に全員のライブを見たことあるのはすごい』

『大丈夫だよー』

『俺でも全員のライブは見れてないぞw』

『それはすごい』


あれ?意外とすごいことなのか?

俺的には、ライブだけは全員分見ておきたいって言う気持ちがあったんだけど。


「まあ、俺は歌が好きだからね。ファミールの先輩方たちはそれぞれ歌にいいところがあるから、ライブは絶対に見ておきたかったんだよ」


ファミールの皆様は、男性でも女性でもそれぞれ特徴があるからな。聞いていて、どれもいいなって感じていたりした。


「えーっと、次が最後の項目になるね」


時間は8時15分少し前で、もう半分を過ぎようしている。この調子で行くと、20分ぐらいに自己紹介が終わるかな?時間的に5分ぐらいなら、一言質問コーナーができると思うから、一旦やる感じで考えておこうかな。その後に、歌とピアノを少しだけ披露して、終わるか。

うん、この流れでいこう。


俺は、次の項目である、ファミールに入ってからの目標へと移った。



——————————————————————


遅くなって申し訳ありません!やっと、やらないといけないことが終わったので、書くことができました…!


そして、22話、文字数にして約10万字でやっと初配信…。本当に長かったですねw

ここからは、配信だったり…、コラボだったり…、企画ものだったりをやっていこうと考えているので、これからもよろしくお願いします。




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