第21話 初配信前、RINGのやり取り
7月8日
……。
ついに…ついにやって来てしまった…。
「初配信日……!!」
やばいやばいやばい。
もう一週間ぐらい前からずーっと緊張してます。
ちょっと前まで、まだ1か月ぐらいあるから、色々準備しとかないとなーって感じだったのにな…。
一か月って早いものだ…。
しかも…、何あの紹介PV?力入れすぎでしょ。はじめ見た時、アニメか何かだと勘違いしちゃうぐらいだったからね。少しだけ、もみじさんとシズさんともイルコードでチャットしたけど、二人もだいぶビビってたからな。
「…まあ、やって来ちゃったものはしょうがない。vtuber人生に一度しかない初配信なんだから、楽しみながら頑張っていこう。色々準備してきたんだからな」
そう、事務所で少し初配信の準備をした後も、俺は家で準備を進めて来たのだ。
まずは、自己紹介で何をやるか。これは大体変わっていなかったけれど、一つだけ追加したのがある。
それが……好きなダジャレ。
……
え?なんでって思ったかもしれないけれど、理由はある。
まず、一通り自己紹介をやってみたのだけれど…、面白いところがなかったのだ!
まあ、自己紹介に面白さを求めてはいないだろうけど、俺としては少しは欲しいなと感じたから、ダジャレというのを入れてみた。
それに…、俺にはずっと昔に見ていた朝番組で、めっちゃ上手いと思ったダジャレがあるからな!
それをいえば、なんとか笑いを届けられるんじゃないかなって考えている。
……しらける可能性も十分にあるけれど。
なんなら、しらける可能性の方が高いとさえ思っているけど…、まあ、少しは面白さを出せればいいかな。
だから、俺が自己紹介で言うのは…
・名前とユニット名
・誕生日、星座、血液型
・特技
・ダジャレ
・よく見ていたファミールメンバー
・ファミールに入ってからの目標
この6個になるな。これを一言質問コーナーと、歌とピアノの時間を残して終わらせるんだけど…、正直、難しいんじゃないかって感じ始めてるんだよな…。30分って意外と早いと思うし…。最悪、一言質問コーナーは飛ばして、歌とピアノだけでも披露できるようにしておこう。
ちなみに、歌とピアノの許可は、マネージャーの鈴木さんと社長に聞いてみたところ、大丈夫だという許可をもらえた。何を披露するかは…お楽しみに。
「マイクとかオーディオインターフェイスとかもちゃんと扱えるようにしたからな。それに自己紹介の資料も頑張って作ったし、BGMとかもいい感じのを選んだからな。あとは、本番になって変なミスをしないようにしないと…」
やっぱり、本番にならないとわからないていうところもあると思うんだよ…、ちゃんと最後まで気を抜くんじゃないぞ…自分!
「初配信までは…今が14時だから…あと6時間ちょいか…。いや、シズさんの初配信が始まるのは19時だったから、5時間後か…」
長いのか、短いのかわからないな…。
あーーー、やばい。シズさんやもみじさんの初配信を見るっていうだけでも緊張してくる。
「…少し、イルコードでも確認しとくか。何か来てるかもしれないし」
緊張を紛らわすために、俺はイルコードを確認する。…まあ、俺のイルコードにはマネージャーの鈴木さん、シズさん、もみじさんの3人しかいないんだけどな。後、言い忘れていたけれどRING3人のグループも、シズさんが作ってくれた。たまに、チャットはするけれど、シズさんともみじさんが話す事が多い。
俺もちゃんとチャットは返してはいるからな…!
なんか、俺が混ざってチャットしてもいいのかなって迷った時は、スルーしているけどね…。
「えーっと…、あ、やっぱ鈴木さんからは来てるな。それと、グループか」
まずはマネージャーである鈴木さんからの連絡を確認するか。多分、初配信での注意事項みたいなことだと思うけど。
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◯マネージャー
レン君、こんにちわ。
遂に今日が初配信日日ですね!おそらく、今は緊張している状態かもしれませんが、レン君なら大丈夫です。準備してきたものを全て出せるように頑張ってくださいね。私も楽しみに見させてもらいます!
けれど、少し注意して置いて欲しい事があるのでそれだけ書いておきます。
一つ目が、配信時刻に遅れないという事です。これは大丈夫だと思いますが、一応書いておきます。
二つ目が、ミュートをしたままだったり、配信を切り忘れたりしないという事です。このあたりは、前に教わったので大丈夫だとは思いますが、これまでに忘れてきた人を結構見てきたので…一応書いておきます。
最後に三つ目なんですが…、楽しんでくださいという事です。エリスさんも言っていたと思いますが、最初で最後の初配信です。緊張はなさると思いますが、その中でも楽しんだ方が、これからのvtuber人生が明るくなると思います。ですので、最初っから最後まで楽しんでみてください!応援してます。
では、楽しみにしています!
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「鈴木さん…ありがとうございます」
なんか、心があったかくなるな。少しだけ、緊張が和らいだ気がする。
注意事項は大体予想していた通りだったけれど、これでも忘れたりしちゃうんだろうな…。時間は大丈夫だとしても、他のものは緊張のせいで忘れたりしちゃいそうだな。多分、鈴木さんが書いていた人たちも緊張のせいで忘れていたりしたんだろう。
「そして…楽しむか」
正直、俺的には難しいと思ってしまう。けど、エリスさんもいっていたが、楽しんだ方が楽になるというのはわかる気もするんだよな…。
…俺にできる限りで楽しんでやろう。そうだ、こう考えよう。俺の配信を見にきてくれた人たちと、コメントで楽しむ事ができるんだぞ?そんな機会を得られたんだから、楽しまないと損じゃないか!
よし、楽しみにしておこう。
……まあ、緊張は全然しているし、本番前になるとこの考えも緊張で消え失せてるんだろうけど。
俺のことは俺が一番知っているんよ…。
「…グループチャットでも見るか。少し見た感じ、チャットは来てたみたいだし」
俺は、RINGの3人が入っている、グループチャットを見る。
チャットが来てるのはわかってるけど、誰からだろう。
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⚪︎凪威シズ
助けて…、緊張で死んじゃいそうだよ…。
⚪︎和泉もみじ
わかります…。私も朝起きた時から、ずっっっと緊張しっぱなししです。
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「…二人とも俺と同じ状況なんだな」
まあ、二人も初配信を控えてるんだから、当たり前なんだけど。
けど、やっぱトップバッターのシズさんは俺やもみじさんよりも緊張しているんだろうな…。
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……
……
⚪︎宇多黒レン
俺も同じ状態です…。なんなら、昨日からずっと緊張してます。
⚪︎和泉もみじ
やっぱレンくんもそうですよね…。私は2番目なので、お二人よりは大丈夫かもしれないですけど…、一番初めのシズさんと、最後のレンくんはもっと緊張してそうですね…。
⚪︎凪威シズ
そうなんだよ…!なんで私が一番初めなんだー…。
ああ…、またお腹が痛くなってきた…。
⚪︎宇多川レン
確かに、一番最後で緊張してるけど、多分トップバッターが一番緊張すると思いますよ。だって…、シズさんお腹を壊すくらい緊張していそうですし、
⚪︎和泉もみじ
ですね…。シズさん、大丈夫ですか?
⚪︎凪威シズ
大丈夫だよ!けど、ちょっとお手洗いの方に…
⚪︎和泉もみじ
体調には気をつけてくださいね!
⚪︎凪威シズ
わかったよ!初配信までには絶対に治す。もみじちゃんもレンくんも初配信頑張ろうね!
⚪︎和泉もみじ
はい!頑張りましょう!
⚪︎宇多黒レン
頑張りましょう!二人の配信も楽しみにしています。
⚪︎凪威シズ
待って、そんなこと言われると、プレッシャーが…。
⚪︎和泉もみじ
私もお二人の配信楽しみにしています。特に、最後の方はいい配信をすると思うんですよね…。
⚪︎凪威シズ
ね!楽しみだなぁ。
⚪︎宇多黒レン
え?!そんなことを言われると俺にもプレッシャーが…。
……
……
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「もみじさん…、そんなこと言わないでくださいよ…」
マジでプレッシャーがすごくなったんだけど…。
まあ…、確かに俺も、少しプレッシャーを与えちゃったかなって思ったけど…。
それにしても、もみじさんがそんなこと言ってくるなんて…、なんかちょっとした冗談が言えるようになってて嬉しい。俺も、少しずつそう言うことを言えるようにしたいな…、今はまだちょっと緊張するからな。
それと…、シズさんは大丈夫だろうか。
やっぱり、トップバッターと言うだけあって、相当緊張していそうだし、体調には気をつけて欲しいな。お腹が治ることを願っていよう。
……
……
……
一方その頃…
紅葉沙耶(和泉もみじ)視点
「……レン君に焦点を当てちゃったけど…、いきなりすぎたでしょうか…。まだそんなに会ったわけでもなく、チャットもしたわけでもないのに、ちょっとした冗談を言っちゃったけど…。…でも、やっぱ同期になったんだし、こう言うことをどんどんと言えるようにもなりたいもんね。うん、大丈夫」
それに…、ああ言うチャットができて、少し楽しかったしね。やっぱこう言うことを続けていきたい。ふーー…ちょっと緊張がほぐれたかも。
初配信はやっぱり緊張するけど…、楽しもう。鈴木さんからもそう言う連絡が来たしね。
それに、同期の二人がどんな配信をするのかも気になるし、楽しみ。
よし…!頑張ろう!
倉井静(凪威シズ)視点
「ああ…、緊張するよ…」
こんなに緊張するのいつぶりだろう。面接の時も緊張はしていたけれど、ここまでは緊張していなかった気がするんだけど…
「お腹も痛くなってきてるし…、最近はこんなことなかったのにな」
それだけプレッシャーを感じていると言うことかな…。
確かに、初配信のトップバッターっていう一番重要そうなポジションだから、確かにプレッシャーはすごいけど、
「…ここまでお腹が痛くなるなんて、私ってここまで弱かったっけ…」
初配信までには絶対に治そう。そして、緊張はするだろうけど、見てくれているみんなと一緒に楽しんでやろう。鈴木さんからも言われたしね!
それに…、私が終われば、もみじちゃん、レン君の配信を見ることもできるし、楽しみだな。
私はそんなことを考えながら、お手洗いに向かって行った…。
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7月8日土曜日 19時58分
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「みんな、今日は本当にありがとうございました!明日も公式さんの配信に出る予定なので、また見にきてください。そして、次は宇多黒レンくんの初配信もあるので、是非見にいってください!では、ありがとうございました」
『もみじちゃん、ありがとうー』
『明日も楽しみ!』
『かわいかったよー」
『絶対見にいくよ!明日も楽しみにしてます』
『みんな、宇多黒レンを見にいくぞーー!!』
……
……
……
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……
「ふーーーー……」
シズさん、もみじさんと終わり、俺の初配信が始まろうとしている。
今俺は、初配信が始まるのを待っている状態で、時間になるとOPが流れるようになっている。
二人の初配信も見ていたが、二人とも大きなミスをすることもなく、初配信を成功させていた。俺も、それを見て少しホッとしている。
緊張はしている。けど、もうここまで来たんだから、やってやろうという気持ちも少し湧き上がってきている。
20時
待機画面から、OPに切り替わる。
「…よし、絶対成功させるぞ!」
俺はそう意気込み、初配信に向かい出した。
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長い間、待たせてしまって申し訳ありません。
少し休みをもらっていました。今日から、また書いていこうと思います。
そして、初配信をすることができず申し訳ないです!本当はやろうと思ったのですが、少し前のやり取りを書こうと思ったら、長くなってしまって…、次が初配信です!
また、長い間が空いてしまったので、もし辻褄が合わないところがあれば、報告のほどよろしくお願いします。誤字脱字等もよろしくお願いします。
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