第7話 え…ご、合格…?!

2023年 4月下旬


面接を受けてから、約一ヶ月ぐらいが経った。


俺は、もし落ちてしまった時用にどんな仕事やバイトがあるのかをネットを見て探している。

いつ、どんなふうに結果が自分に伝わるのかもわからないから、それがわかるまで、俺は仕事やバイトを探す以外にもいろいろとやっておきたいことがある。


その一つが、過去にあげた歌ってみたの動画をもう一度見たり、そのコメント欄をもう一度に見ること。

確かに俺は登録者数、視聴者数どちらも少なかったけれど、それでも毎回見てくれている人たちがちらほらといたのだ。コメントも毎回してくれて、「応援しています!」「歌うますぎ」「この人は有名になるな」などたくさん(数十件)の応援コメントをしてくれていた。多分、このコメントがなかったら、すぐに辞めていたと思う。それぐらい、視聴者のみんなのコメントに助けられた。


「…せっかくだしありがとうの意味を込めて、コメントを返しとくか」


ここまで応援して来てくれたんだから、これぐらいのことはしておこう。


……


ピンポーン



「ん、宅急便か。今行きまーす」


ちょうど、全員にコメントを返し終わった頃にチャイムが鳴った。そんなにコメントはなかったから、そんなに時間は経っていない。

…なんか自分で言って少し悲しくなるな…。


俺なにか注文したっけな…、まーもらえばわかるか。


俺は配達員の方から、何やら封筒のような物を受け取った。封筒はとても薄く、そこまでたくさんのものが入っているとは思えない。


「なんなんだ、これ。開けてみるか」


俺は封筒を開けた。

そこには…


————————————————————

伊東蓮様


この度は、vtuber事務所 ファミールの面接を受けてくださり、誠にありがとうございます。

こちらで、議論を続けた結果、

あなた様を合格とさせていただきました。

他の方との顔合わせや、配信のやり方、その装置などの説明等、話さなければならないことがありますので、今から一週間後の土曜日の午後2時頃にまたこちらにおいでになってください。場所は、従業員が案内しますので入り口までお願いします。


————————————————————


………………

…………

………

……


ファミール事務所からの紙。

そしてそこには…


「ご、合格…?」


………


「…いよっっっっしゃーー!!!」


マジかよ!マジで合格できちゃったよ!

正直、ずっと音沙汰なかったから、終わったのかと思ったけど…、本当によかった!


初めは、正直めっちゃ軽い気持ちで書類を送ったけれど、それが通った時からは、ファミールのことについてや、配信、動画などを見たり、面接の練習や、ピアノの練習に時間を費やしたりと結構な努力をしてきた。

だから、ほんっっっとうに嬉しい。


「はーー…、この紙一枚でご飯何杯もいけるかもな…」


ま、ご飯なんか食べないけどね。


「って、もう仕事とかバイトとか探さなくてもいいのか」


そう、合格したのだから、もうバイトや仕事などを探さなくても良くなったのだ。さっきまで調べていたのだが、もうその必要はない。


それと、俺にはもう一つやらないといけないことがある。


「…歌い手を辞めないとな、」


これはもう、合格していてもしていなくても決めていたことだ。

確かファミールは、副業として今の仕事をやったままでも大丈夫だったと思うが、俺としては、合格したのだから、vtuberの方に力を入れてやっていきたい。それに、歌ってみたならvtuberでもあげられるし、もう少し歌の練習をして、そっちで動画をあげてみたいとも思っているからな。


「ただ、少し申し訳ないな」


少ししかいなかったと思うが、毎回聞きに来てくれている人が、ちらほらといるのだ。それに加え、コメントでも俺のことを褒めちぎってくれている。

そんな人たちもいるのに、いきなりやめるのだから、その人たちに少しだけ申し訳なさを感じる。


…ただ、


俺もここでいきなり辞めるのは、流石に酷いと思うので、考えた末にこうすることにした。


「最後に歌ってみたをあげて、そこのコメント欄で辞めることを書いておこう」


まだ、歌う曲などは決めていないが、大体頭の中に候補は浮かんでいる、最後の歌ってみたなるんだからね。

この曲で、歌い手としての歌ってみた最後の曲。少しだけ、力を入れて作っていこう。



よし、そうと決まれば、まずは来週の準備をしつつ、歌ってみたの準備をしていこう。

来週はまだ、顔合わせと話を聞くだけだからまだそんなに準備はいらないだろう。

それに俺はファミールのことについて、めっちゃ詳しいというわけでもないのだから、もっと配信や動画を見てもおかないと。


歌ってみたに関しては、vtuberが始まる頃にはあげて、そこでお終い。

最後の歌ってみたなのだから、細かいところまで頑張っていこうと思う。

多分、そんなに時間はかからないと思うけどね。


「…それにしてもvtuberか」


頭の中で、自分が配信している姿や、雑談している姿を思い浮かべるが…

どんな感じになるのか正直想像もつかない。


けど、これだけは言える。


「めっちゃ楽しみ」


そう、絶対に楽しい。これだけは言えると思う。ファミールの方の配信を見ててもみんな楽しそうだったしね。

まー、もしかしたら配信以外ではめっちゃ大変とかあるかもしれないけど。


「…よし、まずは来週だな」


顔合わせもあることから、少し緊張しているが、俺は準備をし始めた。


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


5月上旬 土曜


今日が、紙に書いてあった集まる日だ。

俺は面接以来2回目のファミール事務所。


うん、今思っても相当大きいな、ここ。今日から、ここでvtuberとして働くのか…、少し感慨深い。早く慣れていかないと。


俺は面接の時と同じ入り口に向かう。

確か、入り口あたりで従業員の方が案内してくれると書いてあったはずなんだけど。


「ようこそ、ファミール事務所へ。伊東蓮様でお間違いありませんか?」


「は、はい。間違いありません」


入り口に入ってすぐ、女性の従業員の方が声をかけてくれた。けど、なんだろう。なんか見たことあるような気がするんだよな…


「わかりました。申し遅れました、今日案内する鈴木と申します。」


あ、そうだ。面接の時に、社長の隣にいた方だ。


「えっと、伊東蓮です。今日はよろしくお願いします」


「はい、よろしくお願いします。では、他の方が待合室でお待ちしているので案内します。」


「わかりました」


多分、他の方っていうのは、俺と同様に合格した人たちだよな…。そして、同期になる人たちでもある。


緊張する…、けどそれ以前に少しだけ楽しみでもある。

どんな人達がいるんだろう。

俺はそんなことを考えながら、鈴木さんに着いていくのであった。


————————————————————


すいません、大変遅くなってしまいました。

久しぶりに小説を読んでいたら、書きたくなったので、今日からまた少しずつ書いていこうと思います。不定期になるかもしれませんがよろしくお願いします!

結構時間が空いており、辻褄が合わない場所があるかもしれませんので、そこはコメント等で教えください。


また、僕自身、vtuber事務所にそこまで詳しいわけではなく、どれくらいで合格が決まり、決まってからどれくらいで初配信などもわかっておりません。なので、そんな早いわけないなだろうと思うかもしれませんが、そこはご了承ください。












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