第8話 《ハンドルの付いてる車》でないと行けない公園
夫はブログを更新していた。
私は内容までは知らなかった。
1歳の頃に車を触らせていて、ブログ記事がある。
コメント欄もある。
私は買い物をしていた。
出産で体重が17キロも増量していたので、
衣類の物色にかなりの時間を費やした。
結局、体型が落ち着いてからの方がいいから、購入を断念したように思う。
その間に、夫は息子に車を触らせていた。
※
3歳の頃。幼稚園に通うようになった。
道すがら、公園を見かける度に。
手当たり次第に息子に遊んでみようと、
よく声を掛けていた。
飛行機公園で初めて遊んだ息子を、
鮮明に覚えている。
とても楽しそうに遊んでいた。
遊具のハンドルが破損しそうな程、
夢中になって、ガチャガチャ遊んでいた。
私は、そんな無邪気な息子に、
とても満足した。
数日後、息子が飛行機公園で遊びたい
と言うので、遊びに行った。
が、到着しても、車から降りようとしない。
相当ゴネられた。
「総司から遊びたいって言ったんだよ。
どうしたの?」
いくら説得しても、行きたくないと
言い張るばかりだった。
仕方ないので、私は息子を車に残し、
車のキーを外してから。
私だけ飛行機遊具の上で、
楽しそうに見えるように遊んでみた。
携帯を眺め、きっかり5分後に車に戻ると、
とても楽しそうに遊んでいた。
夢中になって、ガチャガチャ遊んでいた。
※
私の車のハンドルで。運転席で。
「こら!駄目でしょ!」
叱りつけ、飛行機公園で遊ぼうと誘ったが、
すっかりムクれて、話もしてくれなかった。
帰宅の為、エンジンをかけ、
ハンドルを操作しようとすると。
ハンドルが動かない!
車が壊れた…?とりあえず夫に連絡すると。
ハンドルロックとの事。
対処法を聞き実行してみるが、
なかなか上手く行かない。
何度も何度も試行錯誤して、
やっとハンドルが動いたのは
約30分後だった。
その夜。私は夫に事細かに説明し、
怖い怖いと話した。
夫は、あまり叱らないでやってほしい
と言ってたかな?
※
でも、今なら思うんだよね。息子は。
ハンドルの遊具のある公園で
遊びたかったのではなく。
《ハンドルの付いてる車》でないと、
行けない距離の公園を
指定したのだろう……って!
1歳の頃から、夫が
ハンドルを触らせてたから。
遊具ではない《ハンドルの付いてる車》で、
本物の車で遊びたかったのだろう……って!
私は狭い場所での駐車は苦手だから。
最寄りの公園は、徒歩とか三輪車だから。
車はあまり使わない方だったから。
※
…考え過ぎですか?…本当に?
不安でなりません。
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