第9話 夫と息子のマニュアル車のシフトチェンジ

息子が小2の頃。日曜日の午後に。


帯広市のグリーンパーク西側の公道。

コンビニのセーコマの横の公道で。


夫の車、白のスイフトのマニュアル車に乗り。

ダイイチで食料品の買い物をした帰宅途中。

夫が運転席。息子が助手席。私が後部座席で。


「母さん、見て見てー」

嬉しそうに助手席から、私に声を掛けて来た。

私は何が始まるのかと思い、注視していた。


息子は夫と、マニュアル車のシフトチェンジを始めた……。


息子は1速から6速まで、シフトチェンジをしていた!

そのタイミングに合わせて、夫はクラッチペダルを操作していた!


「何やってるの!危ないからやめて!やめて!」


すぐには声が出なかった。

そんな事が開始されるなんて、まさか思ってもみなかったから……。


一速から六速まで、シフトチェンジを完了させたけど。

私は四速目で、やっと制止の言葉が出た。


息子は不思議そうな顔で、きょとんとしていた。


夫は、気まずそうな顔で視線を反らしていた。

けど、私の様子が気になるのか、ルームミラー越しに確認していた。


凄くびっくりした。

事態がよく分からなかった。

自分の制止の声は、反射的に発音出来たけど。

その後は、何も言えなかった。

何も考えられなかった…と思う。


自宅に到着後も、何て言って危険な事だと伝えていいか分からなかった。

分からなかったから、伝えられなかった。


夫は、購入品を冷蔵庫にどんどん収納していった。

私がやると、夫にどこに収納したか分からなくなるからと言われてたから。


収納作業を眺めながら考えたけど、やっぱり言葉は見付からなかった。


夫と目が合い、夫が何かしらの言葉を発したけど。


言われた事は確かだけど。

何て言われたかが、思い出せない。


何て言われたのかな?

大事な事なのに、今も。全く思い出せない……。


そんな夫に。私も空返事をしてから。

それも思い出せないんだけど。


自室に戻ってからの事は覚えてる。

自室の扉を閉めてから、


何アレ!何アレ!何アレ!って思った。


宮崎アニメの

やな奴 やな奴 やな奴

に合わせたテンポだった……。

ビックリしてたんだと思う……。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る