第4話 何でもオーダーメイド

 いつの時代も自分専用のものを欲しがる人々はざらにいる気がする。


 もっぱら、化粧品もファッションも全てが他の人といっしょは嫌だとつっぱって、自分だけの世界を作ることに命をかけているかもしれない。


 そもそも、当然のことではあるが、企業は個別に対応したのではコストがかかって仕方がない。


 それゆえ、大量生産、大量消費を前提にものを作っているから、われわれとしては、ファッションに限らず、家電品、自動車、マイホームなど、どれもいっしょの規格のものを買わされて生きている。


 まあ、そうは言っても、同じ製品でも、グレードという形でより高級感のあるもの、より便利な機能のあるものは設定されているから、余分にお金を払って、できるだけ個性的にデコレーションして使っているにすぎない。


 そこで自分しか持っていないというものを欲しがる女性たちが不満をぶちまけた。


「何かを買うというのは満足を買うことよ!」


「自分にぴったりしたものでない限りは心からの満足はないわよね!」


「この製品は、どうしてオーダーメイドがきかないのかしら!買う側の立場に立ってないわよね!」


「ああ、早く、百パーセントオーダーメイドの時代がやってくればいいわ!」


「客の満足を考えるなら、どんな品物であっても、いずれは、きっと、何でもオーダーメイドの時代に向かっているのは間違いないわね!」


 ほう、いずれは、その人にぴったり合った、世界に一つしかないものを作るってのが当り前になる時代が、やって来るのかもしれないぞ。

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