作品解説
最後までお読みいただいてありがとうございます。
性的に目覚める直前の男の子。異性の裸に興味はあるが、それを悟られたくはない思春期の心情。それを「年上のお姉さんとの入浴」というシチュエーションで表現してみた話。裸を見る/見せることに限らず、いろいろな形での「恥ずかしい」を盛り込みました。
何気ない一言から、先輩女子と裸の付き合いをすることになります。小6男子と中2女子、現実ではなかなかありえないようなシチュエーションですよね。先輩が主人公をどう思っているか、何を考えて一緒に入浴しようと思ったのかは敢えて語りません。どう思っていようと、鈍感な男心ではどうせ気づいていないだろうから。
クライマックスの入浴シーンは特に力を入れて書きました。主人公の目で見たものをなるべく具体的に書いています。タイトルやあらすじを読んで興味を持っていただいた方はご満足いただけたでしょうか。挿絵こそありませんが、脳内で「先輩」の裸体を想像していただければ幸いです。
大人になりたい一方、まだまだ子供のままであるという葛藤。文中で何度も「母」に言及したのは子供らしさの表現。料理と食事のシーンを前後に挟み、ピーマンの味を好きになったことで大人になったことを表現できたのは我ながらうまくやったと思います。子供から大人になったと実感する出来事というのは人それぞれあるでしょうが、少しでも共感できる部分があれば上手く書けたと自負します。
地の文はもっと子供っぽい感じにしようかと思いましたが、それはそれで嘘っぽくなるので難しいところです。それでも、なるべく難しい語彙は避けて、年齢相応で無理がないように心がけたつもりです。「読書が好きな子ならこのくらいの言葉は使えるだろう」というラインを意識しました。
キュウリを塩もみするのは、つまりアレを手でしごくことの暗喩で、一つの大皿から野菜炒めを一緒に食べるのは同衾(一夜をともにする)のモチーフですが、主人公の視点では「気づいていない」ので文中では触れていません。読者が察する(なんとなくエロティックな雰囲気を感じる)ことができれば十分です。
ぬか漬けのエピソードは文量を盛るために後で付け足したものですが、結果として「風呂に入る理由」やら「ぬかの触感を通じた疑似接触」やら「早起きによる成長」などにつながりました。「糟糠(そうこう)の妻」という言葉があるように、ぬか漬けというのは極めて家庭的なモチーフでもあります。ただ、ぬか床という存在に馴染みがないとわかりにくいので、余計な部分だと感じた読者もいるかも知れませんね。
一緒に風呂に入った夜に精通(夢精)を迎える展開を思いつきましたが、はっきり書くと野暮ったくなるのでやめました。なんなら中学に入った時点でもまだ未通ということでもいいかも知れませんね。このあたりはご想像におまかせします。
初投稿から2年近くが経過しましたが、ありがたいことに今でも多くのpvが付きます。カクヨムに掲載しているほうでは、ついに累計pvが私が投稿した作品の中でトップになってしまいました。軽い気持ちで書いた短編が多くの方に読まれるのはやや複雑な気持ちもありますが、単純に嬉しいことは間違いありません。
最後に、ご意見・ご感想をお待ちしております。お楽しみいただけた方はもちろん、そうでない方のご意見もぜひ参考にさせてください。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話 矢木羽研(やきうけん) @yakiuken
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