悪役令嬢は王を殺す

【貴族街大広場】にて


「さあ、大連合・メセアよ。今こそ愚かな国王を殺すわよ」

 そう、マリアンヌが言った。(因みにマリアンヌは馬に乗ってます)

 その眼下には騎士団に魔導士団が勢ぞろいしていた。

 もちろん全員ではない。一部は国王の方に付いたり、戦いが怖くなり逃げ出したりした。

 しかしながら、大連合・メセアの集めた騎士団に魔導士団は全体の7割を超えており、その数は千を超えていた。


「「「「「「オオオオオオオオオオ~~~~~~~~~~」」」」」」

 騎士団に魔導士団の雄叫びが上がった。


「良い声ね。さあ、行くわよ。突撃~~~~~~」

 マリアンヌの命令で騎士団に魔導士団は王城に向けて進軍を開始した。


 その道を止める者は誰もいなかった。

 否、誰も止められなかった。

 誰が悪しき王を退治する勇者たちの邪魔をしようか。

 むしろ、賞賛した。

 皆が応援を声を上げる。

 歓声を上げる。


「頑張れ~~~」「頑張れ~~~」「期待してるぞ~~~」「悪しき王を打ち滅ぼせ~~~」「絶対に勝てよ~~~」「信じてるぞ~~~」

 と。


 そして、様々な人から声援を受けながら、彼らは王城の前に着いた。

 王城の扉は強固に閉じられていた。


「魔導士団、おやりなさい」

 マリアンヌの命令で魔導士達は詠唱を始めた。


「「「「「我が手に破壊の力よ集え、そして、放て、眼下に在りし、この扉を破壊したまえ。破壊魔法・破壊弾」」」」」


 ドン


 今まで一度も破壊されたことの無い強固であるはずの王城の扉は魔導士団の集団詠唱魔法の一発で破壊された。


 ドンドンドンドンドンドン


 ワザと大きく音を立てて騎士団が王城に進軍を開始する。


 その音はさながら死の宣告のようであった。

 王城に残っていたメイドも貴族も執事も庭師も料理人も傭兵も騎士も魔導士もその音を聞いたら恐れ一目散に逃げだした。

 何故ならそれだけ気迫が恐怖あったからだ。

 想像してみて欲しい。屈強な戦士が足を揃えてワザと音を出して進んでいるのだ。それの邪魔を出来るか?出来るわけがない?そんなことしようものなら殺される、いとも簡単にあっけなく殺される。そう皆の脳裏に刻み付けたのだ。

 だから皆、逃げる、一目散に逃げる。


 ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン


 激しく音を立てて騎士団は進んだ。魔導士団も進んだ。

 そして、誰にも邪魔されることなく王の間にたどり着いた。


「さあ、王を殺すわよ、ドアを開けなさい」

 マリアンヌの命令で騎士団がドアを開けた。

 そこにいたのは、全てを諦めて堂々と玉座に座っていた国王だった。


「ようやく来たか」

 死を覚悟した国王はそう口を開いた。


「ええ、来たわ。どうやら死の覚悟は決めているらしいね」

 マリアンヌが冷たくそう言った。


「ああ、余の負けだ。一思いに殺せ」

 国王は潔く負けを認めて目を瞑った。


「分かったわ。その潔さに免じて今ここで殺してあげるわ」


 マリアンヌはせめてもの慈悲でそう言った。

 何故なら今ここで国王を殺さなければ、国王は民衆の前に引きずられて石などを投げられて放置されて餓死、もしくは出血死するからだ。その他、拷問されたり。民衆の前でギロチン処刑されたりと。少なくとも地獄のような目には合ってしまう。

 そして、マリアンヌは腰に差してあったミスリル製の軽く切れ味の高い剣を取り出して国王の足に剣を突き刺した。


「ぎゃあああああああああ」

 国王の悲鳴が王の間に響き渡る。


「国王様、いえ、元国王。自分が楽に死ねると思ってるんですか?今から貴方は民衆の前に引きずられて石を投げられ。糞を投げられ、卵を投げられ、罵られて地獄を見た後、手足を切り落して、最後はギロチンですよ。まあ。それだけすれば民衆も貴族も納得するでしょう。その代わりと言っては何ですが、貴方の息子達は生かしてあげますよ。もしかしたら死んでいた方が幸せだったかもしれませんけどね、ハハハハハハハ」

 マリアンヌは笑いながら残酷な真実を国王、否、元国王に告げた。


「さあ、これを今から勝利の証としてこの愚かな元国王を民衆に晒すわよ。騎士よ。持っていきなさい」

 マリアンヌの命令で騎士が国王の国の中に無理やり気絶薬を飲みこませて気絶させた後、箱に入れて担ぎ上げる。


「さあ、新たな女王の凱旋よ。いくわよ」


「「「は」」」

 マリアンヌがそう命令を下すと騎士団と魔導士団は綺麗に敬礼をした。

 

 その姿は女王に付き従える騎士団と魔導士団そのものであった。

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