悪役令嬢は第四計画へと進む
マリアンヌが自らの手でバルバッセロを味方につけてから1週間が立った。
その間にセリカの暗躍もあり、バルバッセロがマリアンヌの派閥についたという情報を武器に更に様々な貴族をこちら側の陣営に引き込んでいった。
元々がかなりの大きさを誇る大規模派閥であったが、更に大きくなり、今やこの国の貴族の実に半分以上がマリアンヌの派閥に入るという、マリアンヌのカリスマ性も相まってから当初の計画以上に貴族が集まった。
そして計画は第四計画へと移行する。
「さあ、セリカ、大分派閥が集まってきたわ。そろそろ第四計画に移行しましょうかしら」
マリアンヌは自室にして優雅にセリカが注いでくれた紅茶を嗜みながらそう宣言をする。
「そうですね。お嬢様、第四計画を始めましょう」
それに同意をするセリカ。
そんなセリカはそれはもう非常に悪い顔をしていた。
その顔を見て、マリアンヌも悪役令嬢に相応しい、悪い笑みを浮かべて言う。
「ええ、始めましょう。私こそが、そう私マリアンヌこそがこの国を支配するために。あのくそったれた王を、いや俗物を玉座から引きずり落とす為に、そして王家をぶっ潰す為に」
そう確固たる国家反逆の意思を見せつつ腕を高らかに上げて宣言をするマリアンヌ。
その姿は悪しき王を成敗せんとする革命軍のリーダーのような圧倒的なカリスマ性を感じるものであった。
否、実際に圧倒的なカリスマ性を放っていた。
マリアンヌにはそれだけの才能が自信が強い意志があった。
「そうですね。お嬢様こそがこの国を支配する為に。この国の膿を排除する為に。では、今から派閥の各リーダーに計画の実行を伝えますね」
そうセリカは言うと部屋を後にした。
―――――――――――――――――
マリアンヌが自らが王女となる為にセリカと共に考えだした計画は第五段階・第五計画まで分かれている。
まずは第一計画で馬鹿な第二王子に公約破棄される。
因みにこの婚約破棄の元となった平民の娘マリアはマリアンヌの手のものでった。
マリアンヌが適当に見繕った孤児を第二王子とその他を取り込ませれるように教育したのだ。
いや、正確に言えばセリカにそうした方が良いと助言をされ、とある孤児院にいた。マリアをわざわざ探し出していたのだ。
そして、第一計画で婚約破棄された後、第二計画では父親を殺してマリアンヌが公爵家の当主となる。
公爵家の当主となればその力を使い、第三計画で自分の派閥を広げて大連合を作り上げるに移行する。
この際に辺境の貴族を味方につけたり、裏工作をしたり、バルバッセロを味方につけるということを絶対にしなければならないという条件があるため、ある意味で本計画においてもっとも難しい所がこの第三計画であった。
第四計画では第三計画で作り上げた大連合を使って国王の引いては王家の悪評を広めて民衆をより多くの貴族を味方につける。
そして、最後の仕上げとして第五計画で騎士団と魔導士団を引き連れて王城に突入し。王子の身柄確保と国王の殺害を行う。
因みに国の奪い方は簡単だ。
今現在王家で継承権を持っている第二王子、第三王子、第四王子、第六王子の4人である。
それを全て殺す、もしくは幽閉した後、王様を殺す。そうすればこの国を支配する正当な権利を持つ者はいなくなってしまう。
じゃあ、どうすればいい?
王女に国王をやらせるか?
それは無理だ。元々王女は女性という事で継承権を有していない。その為王として必要な教育を受けていない。
じゃあ?誰がやる?国王の次に権力を持っている公爵家か?
そう。公爵家だ。公爵家になるのだ。有事の際は公爵家が王を代わりに行うのだ。そう決められているのだ。
ただ、今現在この国にある公爵家は4つあるのだが、そのうちの二つの当主はかなりご高齢でとてもではないが、国王を出来る器ではなかった。
となると残りは二つなのだが、片方の当主は年齢も40代と若く才能に溢れ武に優れているこの国最強の男にして王よりも王になって欲しいと民から望まれている【守護者・バルバッセロ】。
そしてもう片方の当主は第二王子に婚約破棄された哀れな令嬢マリアンヌであった。
この二つが上がった時に普通は誰もが前者を選ぶであろう。
しかし、それは無理なのだ。そう無理なのである。
何故ならば彼が支配する領地は王都からかなり離れた場所にあり、その場所は敵対国家である帝国のすぐ隣であるのだ。
彼は日常的に帝国が仕掛けて来る小競り合いを解決させないといけないのだ。
それが出来るのはこの国では才能に溢れて武に優れた、ディステリア王国最強の男たる【守護者・バルバッセロ】しかいない。いなかった。
もちろん彼が本気で王位を望めば、彼が王となることは可能だろう。
しかしながらもう既にマリアンヌが先手を打ち、彼は自分は王には絶対にならないと宣言している。そんな宣言した上でマリアンヌに対して非常に好意的かつその力を認めている。
自分は今の国王よりもマリアンヌのような確固たる信念を持った真なる王の器を持った人物にこそ仕えたいと、王家に対する反逆にみなされる為、大っぴらには言っていないが酒の席や他の交流のある貴族に対してそう言っている。
そして耳の早い貴族達は、【守護者・バルバッセロ】という最強の男がマリアンヌという令嬢を仕えるに値する程の偉大なる人物であると知ってしまっている。
つまり、第二王子に婚約破棄された哀れな令嬢マリアンヌからあの【守護者・バルバッセロ】が力を認めた偉大なる王の器を持った令嬢になるのだ。
という訳でもしも王が死に、他の王位継承権を持った人物がいなくなれば、王になるのは必然的にマリアンヌということである。
もちろん当たり前の話だが、マリアンヌが主導でこの国の国王を王子を殺しておいて大丈夫なのか?という疑問は浮かび上がる。
だがしかし、それは大丈夫なのだ。何故なら多数の貴族がそれを認めるからだ。
この国の国王は王子は腐っている。
様々なクズエピソードは色々あれど、一番有名なのは。今は亡き第一王子の話であろう。
今から10年以上も前の話しである。
元々は優秀で慈悲深い第一王子がこの国にはいたのだが、彼は平民の妾の子供であった。それ故に第一王子でありながら差別されていた。
しかし、それでもめげずに勉学に武に励み、様々な貴族から認められて、後ろ盾になってくれる貴族も多数いた。
そんな第一王子の母親はこれまた優しく勇気のある女性だった。
そして、優しく勇気がある故に自分の息子を思い平民の身でありながら国王に自分の息子の扱いを改めて下さいとお願いしに行き、平民如きが口答えするなと処刑された。
それが行われた時、第一王子は僅か6歳であった。
そして、それを知ってしまった王子は母親を殺された復讐と叫び、愚かにもたった一人で父親である国王にナイフを持って襲いかかり護衛の騎士に拘束された後、殺されてしまった。
もちろんこの事件は国王の手によって隠蔽されて第一王子は賊に襲われて死んだことになっている。
しかし完璧に隠蔽何て出来るはずもなく一部の貴族は知っている。もちろんそれを聞いて憤る貴族もいたがだから反乱を起こすかとなれば、起こせる貴族はいなかった。何故なら怖いからだ。反乱を起こして失敗すれば自分の首が飛ぶからだ。だから、心の内では怒り心頭であるが我慢しているのだ。
でも、そういった貴族は大規模な反乱がおこるとなれば喜々として協力してくれる。そしてマリアンヌが腐った王を殺そうとそれを良きことだと許すだろう。
もちろん、その他利権、利益の関係もある。
今現在国王は王家はかなりの財を有している。
そんな国王が死ねばその財はどうなる?マリアンヌに行くか?いや、違う、反乱の協力した貴族に貢献度に応じて割り振るのだ。
そういうエサがあれば、王が腐っていても傍観している貴族達は喜んで協力してくれる。
なるほど、こうやって色々と考えてみれば国王を殺しても大丈夫なんだ。一切の問題がないのだ。
今の所第三計画までこれでもかと言いきれてしまう程に順調に言っており、このまま何事もなければ全て上手くいく、そう断言できる状態であった。
――――――――――――――
そしてセリカが部屋を出てから暫く立つ。
セリカが第四計画を伝える為に派閥のメンバーをほぼ全員集め終わった。
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