エンドレスワーク!? 夏場の草むしり

 さて、農家の仕事で一番きつい仕事は何かと問われたら、間違いなくこう答える。


 “夏場の草むしり”だと!


 草が生えるということは、畑としては優秀な証拠である。栄養が土壌に含まれ、日当たりもよく、水はけもいいとなれば、植物が育つ条件としては申し分ないからだ。


 しかも、夏は高温多湿。水も日差しもあり、イネ科の雑草の伸び方は異常である。


 はっきり言えば、夏の畑仕事は、雑草の対処に費やされることが多々ある。


 除草剤を使えばいいが、それが使えるのは外縁部がせいぜいである。作物が埋まっている場所で使用すると、撒き方が下手だと作物に当たって枯れてしまうし、散布には細心の注意が必要だ。


 それでも、白ねぎと白ねぎの隙間に雑草が生え、本来ねぎが受け取るべき栄養を横取りする不届き者のなんと多い事か!


 しかも、一度取っても、一週間も経てばまた別の種から発芽し、再び畑を侵略しようとする。夏の間はこの繰り返しである。


 しかし、これをやらねば、白ねぎは雑草の中に埋もれてしまい、発育不足で出荷できなくなってしまう。ある程度成長したねぎなら草に噛まれて消滅、などということはないが、畑に植えた直後の苗は雑草に負けてしまうことも多々ある。


 草が伸びる7、8月に植える白ねぎは、冬から春先あたりの収穫になるため、もっともねぎの需要が大きい時期となり、ねぎの世話を怠るわけにはいかないのだ。ニーズに応えず、農家を名乗るなど、絶対に許されるべきではないからだ。


 そのため、とにかく、草むしりは続けていかねばならない。薬が使える場所は薬で対処し、人手でなければどうしようもないところは手で処理する。これの繰り返しだ。


 そして、雑草が伸びる時期とは、日差しが一番きつい時期でもある。炎天下の作業など、考えただけで気が遠くなる話である。でも、やらないわけにはいかないのがこの時期の辛いところだ。


 考えても見て欲しい。気温35℃超えの酷暑の中、ひたすら草を処理し続ける様を。汗以外にも、何かが体から抜け落ちている感覚を楽しむことができるぞ。


 しかも、その合間に出荷や畝上げ、農薬散布など、普段の仕事も待っているのだ。いくら日が長くて作業時間を延ばせると言っても、全然時間が足りないのだ。


 日中はなるべく外に出たくない、という気持ちもあるため、体調の具合も見ながら、それでもできるだけ草と戦わねばならないのだ。


 雑草への対処は、土中にある種の絶対数を減らすこと。これ以外にはない。


 畑は使い続けると、必ず土に含まれている雑草の種は減っていくものである。なぜなら、雑草を引っこ抜くということは、雑草が種を付ける前に処理するという事であり、その分は土中の種が減っていくからだ。


 あとは時間をかけて、ゆっくり畑を改良していくのだ。数年も使っていれば、かつての荒れ地であってもトラクターでかき回しているうちに、土壌も肥えていく。種も徐々に減って来て。耕作地に適した地形へと変わっていくのだ。


 そのため、開墾初年度は畑として使用せず、ひたすら定期的にトラクターで耕運をかけて、種を作る前の雑草をかき混ぜてしまうのがベストだろう。


 種が減っていけば、夏場の草むしりもマシになっていくため、根気よく土地の面倒を見れるかどうかが、夏場の作業に影響が出てくるのだ。


 結局、手間と時間を惜しんでは、折角の畑が台無しになってしまう。手を抜かず、油断をせずに面倒を見てこそ、いい畑ができて、そこから太ましい白ねぎが生えてくるのである。


 根気、継続、これこそ、農家に最も必要な心構えなのかもしれません。よって農業を始めたい方は、必ず“くじけぬ心”を装備してから、それに臨んでください。


 では、次回をお楽しみください~♪

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