6月

 6月に入ると、乾燥がひどくなります。雨がほとんど降らず、風が吹く度に畑の表土が飛ばされて、砂煙を巻き上げるのもままある話。


 そんな6月も変わらずトンネルねぎの収穫を続けます。これしか畑にないし、3月に植えた苗も、収穫できるようになるのは最短で6月末くらいです。それまではトンネルねぎで、なんとかもたせます。


 この時期になると雑草も元気になってきて、除草は欠かせません。白ねぎに絡まると、発育不良の原因にもなりかねませんので、雑草の処理は必須事項となります。


 しかし、世の中には役に立つ草というのも存在します。それが『緑肥植物』です。


 緑の肥やし、簡単に言うと、肥料となる植物を畑で育て、それをそのままトラクターでかき入れることによって、土壌をよくするというやり方です。


 田畑でレンゲやクローバーが一面に敷き詰められているのを見た方もいるかもしれませんが、あれが『緑肥作物』なのです。上記2種はまさにその代表例です。


 ちなみに、白ねぎ農家は緑肥として、麦かソルゴーを使用します。


 理由はズバリ、寄生虫対策です。白ねぎには『センチュウ』という根に寄生する寄生虫が存在し、これに寄生されると発育不良を起こして、小さな白ねぎしかできなくなります。


 しかし、このセンチュウはイネ科の植物を苦手としており、イネ科の緑肥を植えることにより、畑から寄生虫を取り除くようにしているのです。


 自分はソルゴーを緑肥として使用しています。畑を2年使い、1年休ませる。このピッチで畑を使用しており、その休ませている間に緑肥を植えて、地力の回復と寄生虫除けの両方を行うというわけです。


 寄生虫は土中にいるため、植えた後では対策が取れないため、白ねぎが植えられていない状態の畑の時に、何らかの処置をしなければなりません。


 6月だと、4月くらいに緑肥の種を撒いておけば、程よい大きさになって刈り取りやすくなるので、ここで刈り取り、トラクターで土の中に混ぜ込みます。この緑肥が分解されて新たな土となり、翌年の植え付けの際に肥料となるのです。


 連続して使い続けると、地力が落ちて、より多くの肥料をぶち込まねばならず、経費が上がる原因にもなりかねません。


 所持する畑の面積に余裕を持たせ、休ませる畑を計算に入れつつ、作付けを考えるのも、農家のやり方なのです。


 こうして6月もいつもの、収穫、出荷、畝上げ、植え付けも行っています。作業を進めつつ、いよいよ梅雨を迎えることとなります。


 雨で作業が遅延することもままありますが、ここで水を土が含んでおかないと、夏場の水不足になるため、我慢の一言です。


 たまに見える晴れやかな日差しが、何よりも恋しくなります。



           ~ 7月に続く ~

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