5月
5月! 世間はGWが始まって浮かれていることでしょう。
しかし、白ねぎ農家も浮かれつつ、必死になるのがこの季節!
浮かれる理由は、白ねぎの値段が上がるから!
必死になるのは、畑から白ねぎがなくなるから!
では、5月に入ると、なぜそのような事態になるのかをお話ししましょう。
先述しましたが、白ねぎも花を咲かせて、種を付けます。はっきり言いますと、花の付いたねぎは売り物になりません。なっても、加工用として買い叩かれるのがオチです。
そして、このGWを前後して、畑の白ねぎが一斉に花を咲かせてくるのです。
『春化』のところで話しましたが、寒さに連日当てられた白ねぎは花を作り出す準備に入り、温かくなってくると、花を付け始めるのです。その条件が重なるのが『畑で越冬した白ねぎ』で、育成最適温度になるGW辺りで花が開いてきます。
要するに、『春化』をリセットしたトンネルねぎを除けば、畑の白ねぎは一斉に出荷不適合の品に変わってしまい、花が咲き切る前に全部収穫してしまわないといけないのです。
自分を含め、この時期のねぎ農家は殺伐とした雰囲気になります。急げ、急げ、と。
そして、需要と供給の問題。冬が過ぎて需要が低下するものの、それ以上に供給量が低下するため、この時期は1年で最も値段が上がりやすい時期なのです。
よって、この時期の農家は浮かれます。もっと上がれ、もっと上がれ、と。
こうした状況の中、満を持して登場するのが、例のトンネルねぎです。この時期の白ねぎは花の開花を抑えたこれしかありません。
かつて、この5月後半から6月の間は、白ねぎの空白期間でした。
畑で越冬させた白ねぎは花を付けて売れなくなり、雪解けの3月に植えた白ねぎでは、育成不足で小さすぎます。そのため、この時期は出荷できなかったのです。
一応、『坊主知らず』という白ねぎがございまして、この品種は種ではなく、分裂して増えていくタイプのねぎです。つまり、種がないので花を咲かせず、GW明けでもお構いなしに収穫できます。
しかし、一本ねぎではなく、分裂して増えるねぎなので形が悪く、市場では不人気です。
そのため、トンネルねぎの技術が確立するまでは、この時期をのんびりすごすか、あるいは買い叩かれても『坊主知らず』を出荷するか、それは各農家次第でした。
ところが、トンネル技術によって、この時期でも一本ねぎを出荷できるようになると、みんながこぞってこの技術を取り入れ、今では、ぽっかり空いた空白期間も消えてなくなり、白ねぎ周年栽培が完成したと言ってもいいでしょう。
つまり! 年中働けるぞ、ということである。逆に、年中現金収入あるぞ、ということでもあります。最高ですね!
穴の無くなった白ねぎ農家に死角なし!
今日も、収穫して、出荷して、畝上げして、農薬撒いて、肥料もいれて、トラクターで耕運して、種も撒きます。
うむ、労働時間にも
~ 6月に続く ~
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