第4話 最高の休日の過ごし方

ブーッ

アニメを見ていると、スマートフォンからメッセージを知らせる通知が来た。

いったいこの神聖な時間を邪魔するのはどこのどいつだろうか。

どうでもいい内容なら、着払いでフィギュアをそいつの家に送ってやろうと思ったが送信者の名前を見たらそんな考えは一瞬で消えた。


エイミー・クレア


気分的には宝くじが当たったくらい嬉しい!

この気持ち男子ならみんな一緒だよね


「光さんご相談があるのですが、今から大丈夫でしょうか?」


「もちろん大丈夫だよ!」


たとえそれが地球の裏側だろうが女の子の呼ばれれば行ってしまう、日本の悲しいモンスター。それが俺だ。


「ありがとうございます、では11時にここのカフェでどうでしょうか?」


送られて来たURLを見るとここからそこまで遠くないようだ。


「了解、じゃあ11時に」


ヤッホー!女の子と二人でカフェとかこれはもうデートと言っても過言ではないだろう。

急いで部屋に行き着替えを始めるが、


「どんな服を着ればいいんだよ・・・」


ゲームならある程度勝手が分かるがリアルの服となると専門外だ。

この前クレアから貰った服は何種類かあったがどれが正解か分からない、最初から服に効果とか、相性ボーナスとかあれば悩まなくていいのに。

そんな事言っていても時間は勝手に過ぎていくのでネットで調べて似たような組み合わせで選んでいく。


「あれだな、よく見るデート前に服悩みすぎて散らかすやつ」


普段はアニメの中の光景が自分に起こっていることに、何か面白さを感じる。

慣れてない事の連続に戸惑いながらもクレアが来てからの日常は楽しい。


そんな事を考えながら身だしなみを整え終わり家を出た。

平日とゆう事もあり比較的早く目的の場所に着いたが、建物が俺のよく行くカフェと違う。

間違えたかと思って先ほど送られて来たURLから店の情報まで見てみるとここで間違えないようだ。

いつもの服で来ていたらやばかったな。

建物の雰囲気も入り安さよりも、雰囲気を重視しているようで落ち着いている。

別に高級店とゆう訳ではないだろうが、それでも普段使っているチェーン店しか比較対象がないからどうしても入りずらい。


入りたくない気持ちを抑え、深呼吸をして扉を開ける。


カランカランと心地よい鐘の音とコーヒーのいい匂いがする。


「いらっしゃい」


店のマスターと思われる白髪のおじさんが気さくに笑って挨拶してくれてホットする。


愛想笑いを浮かべながら軽くお辞儀をし、周りを見渡すとクレアとテッサ見つけた。


クレアと目が合うと笑顔で軽く手を振って来た。


一方テッサと目が合うと軽く会釈するだけで、後は無愛想にこちらを見つめるだけだ。

西洋的な格好いい顔立ちに、銀色の美しい髪が肩まで伸びていて凛とした佇まいに自然と目が吸い寄せられる。

そんな事ならさぞかしモテるだろうと思っていたが、どうもテッサの事で頭がいっぱいのようで、初めて会った時の第一声は「クレア様に近寄るな!」であった。

春香などの女性にはそこまで警戒心がないのだが、男性とゆうだけでどうやら警戒されてるようでずっとこの調子である。


二人の座っているテーブルに座る。


「お待たせ」


取り敢えずテッサの警戒心を解こうと毎回気さくに話しかけてるのだがどうも上手くいかない。


「今日のテッサさんのラッキーアイテムはダンベルらしいぞ」


「なんですぐそうばれる噓をつくのかしら」


「そうなんですか、なら帰りにダンベル買って行かなきゃですね!」


「クレア様、騙されないで下さい、あいつの冗談です!」


「あら、そうなんですか?」


「はい、冗談です」


「これだからこの男は危ないって言ったんですよ」


毎回この調子である。


「ちなみにクレア様の今日のラッキーアイテムは私です」


「お前もクレアさんの人の良さを使って騙そうとするな」


「お二人ともすっかり仲良しですね」


「それはないです」「絶対あり得ません」


ニッコリと笑うクレアに同時に訂正を入れる形にになってしまった。

これ以上何か言われる前にとテッサが話題を変える。


「えっと、そういえばクレア様今日は相談があってこいつを呼んだんですよね?」


「そうでしたね、ではそろそろ本題に入りましょうか」


「相談があるんだっけか?」


コホンと咳払いし、姿勢を正すとゆっくりと話し始めた。


「実は休日の過ごし方が分からなくて困っているいたんです」


「休日の過ごし方?」


聞かれてる意味が分からず何と言っていいか分からず言葉に詰まる。


「言葉通りの意味よ。クレア様は昔から多忙でねあまり自由な時間がなかったし出来る事も限られてたのよ、それがいきなり知らない国で自由にしていいとなれば当然の事態ね」


確認の為にクレアを見るとうなずいてるためその通りなのだろう。


「それならテッサさんが教えてあげればいいじゃん」


「そうしたいのだけど私も読書かクレア様かスポーツかクレア様しか趣味がないから

限界があるのよ」


「クレアさんは趣味じゃないだろとゆうのは置いておいて、確かにせっかく日本にいるんだしもう少しいろいろ体験して欲しいな」


「光さんは普段どんな事をしてるんですか?」


「そうだなー、ゲームとか漫画とかアニメかな」


「いいですね、日本ぽくて!」


「日本の文化や日常も学べるから丁度いいかも」


まあ、作品によっては誤って日本を理解してしまうかもしれないがここは水を差すべきじゃないだろう。

だがそれに水を差すのが一名。


「そんな低俗な物をクレア様にさせないで、何かあったらどうするのよ」


「ほう、お前はやった事の無いものをやる前から否定するのか?」


「やらなくてもニュース等を見てれば分かり切った事だ」


俺は普段持ち歩いてるカバンからPCを取り出して二人の前に置いた。


「なら今この場で少しアニメを見てみるのはどうだ?クレアさんもそれで興味が出たら続けてみればいいし」


「今見れるんですか!」


「うん、アプリは入れてあるからすぐ見れるよ」


止めたそうにしているテッサだったが、こうもクレアが楽しそうにしていると強く言えないようだ。


「なにかおかしいと思ったらすぐ私が止めるからな」


「分かってるよ」


どの道最初に触れる作品は刺激が少ない物のほうがいいだろう。

俺は国民的アニメを再生した。


タイトルは海産物一家である。


でっででででででん ドン。


お馴染み曲が流れている中、暇なのでコーヒーを飲みながら待つことにした。


これなら日本も学べてアニメの面白さも分かるだろう。


しばらく二人を眺めているとおかしな事が起こった。

クレアは時折笑ったり驚いたりハラハラしたり。まあこれは正常な反応だと思う。

しかしクレアは何故か号泣したかと思うと、急に考え込んだりかと思えば泣き始めたりで二人共同じものを見ている反応とは思えない。


取り敢えず一話が終わった所で二人に感想を聞いてみることにした。


「クレアさん、このアニメはどうだった?」


「微笑ましくていいですね、みんな温かくて優しくて。家族とか友達とかなんだかいろいろ分かった気がします!」


「好評のようで何よりだよ、そしてテッサさんは?」


さてこれが問題だ、どんな感想を持ってあんな表情になっていたのか見当がつかない。


「私が間違っていたわ。何てことない日常の中に我々が考え無ければいけない社会問題を暗に匂わせ、しかしそれでも物語として楽しく終われるように作っていて、またそこに複雑な人間関係やその人一人一人の考え方を合わせていく事で物語に深みを出し大人も楽しめるとは。素直に打ち明けたいが様々な思いが葛藤して打ち明けられず、ついにはそれが明るみになった瞬間なんて涙無しでは見られなかったわ」



「うん、よく分からないが面白かったってことでいいかな」



そんなこんなしていたらカランカランとまたベルが鳴った。







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