第13話 流星図書館


 沸きあがるような読書意欲のおかげで、この前の全国模試の国語で上位進学校の生徒でも取れないような偏差値を出したら、普段、褒めちぎらないような先生たちが私の成績に口が開いたように驚いていた。


 このまま、頑張れば宮崎大学の農学部に推薦で行けるぞ、と三者面談で説明され、私は予想外の反応に委縮しながらも目を丸くするしかなかった。


 


 お母さんは私の将来なんて見向きもしなかったのにその模試の結果で私に期待を寄せながら話しかけるようになったし、お父さんは上を目指しなさい、と顔を高揚させながら言った。


 中学のときは全然ダメだった成績なのに今さら、何なのだろう、と思いつつも成績が鰻登りになって嬉しくない私もいないわけではなかった。


 


 お兄ちゃんは今年の春、無事、宮崎大学の看護学科に現役合格し、今は嘘みたいに平穏な大学生活を順風満帆に送っているけど、私はお兄ちゃんと同じ大学に通うんだから、と確認すると少々、複雑な気持ちになってしまった。


 


 今日は学校の帰り際に市立図書館に寄ろうと思い、通例通りの道草をした。


 高原町立図書館では前、近藤君のおじいちゃんが閲覧室で新聞を読んでいたけど近藤君が熊本に引っ越してから近藤君のおじいちゃんは今でも図書館へ新聞を読みに行くのだろうか、と心配をする。


 高校の終礼を受け、早めに切り上げて、私は中心市街地にある市立図書館に行った。


 

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