第12話 焦燥感


 私は何がしたいのだろう、と募り迫る、焦燥感は刻々と迫ってくる。


 二十歳を過ぎた自分の肖像なんて微塵たりとも想像さえもできない私がいた。宿題も終え、夜は相変わらず、暇だから日記ばかりつけているけども、それも直線の毎日のように繰り返すと何となく、物足りなくなった。


 


 たまに高原駅から都城まで出かけてなかなか、買えないような珍しい本を買う。吉都線の別ルートから乗り換えて、鹿児島まで乗車し、鹿児島市内の大型書店まで行ったことがある。


 


 後日、それを友達に話したら、すごいね、と無条件に褒められた。夕べを泳ぎ回る電車に揺られながら私は車内で、百均で購入したノートを開いた。書きかけの小説はなかなか、進まない、と気は揉んだ。


 


 学校の作文でもなかなか、手古摺って書けないのになぜ、突発的に書こうと意気込んだのか、詳細な理由は当の私でも皆目、分からない。


 何もする予定がないから、という小さない理由も相まって、その執筆意欲に私は突き動かされるように駆られていた。


 


 学校でも懇切に話す相手は限られているし、夜は早く宿題を終わらせ、こんな無為な時間を有益に使おうとこの青春の証を何か、表立った文字という形になったら、私のアドバンテージが上昇しそうだと思ったのが最も適切な本心だったかもしれない。


 蛇足になるかもしれないけど補足すれば、学校にあるヤングアダルト小説をほぼ、読み切ったからだ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る