第3話 ヒュプノスの神殿


「なんやこいつら。さっきから鬱陶しいな!」


オオカミに絡まれ絶賛戦闘中


「そこか!オラッ!」


「キャアアン」


「グワァァア」


「やべキレてる。今ので4体目、残り6体か!やれんのか?やるしかねぇだろ!」


くたばれクソイヌが!


***


「あーマジで疲れた。あ、でも教会はあとちょっとで着くかな?あ、見えてきた。……でっっっっっか!!!」


すげぇ!近くで見るともっとすげぇ!かっけぇーぞ!どう入んだこれ?というか入っていいやつ?


「ま、いっか。し、失礼しまーす。」


扉でっか!何を想定して作ってんだこの教会


「おやおや、旅人さんでしょうか。どのようなご要件でしょうか?」


扉を開けると神父さんみたいな人がお出迎えしてくれた。なんか愛想良さそうな顔だ。


「職業を決めたくてここに来たんですけど。」


他のプレイヤーって見えないのかな?まだ最初のスポーンした時しか見てないけど。居ないだけ?……そんなわけないかw


「職業の決定ですね。ではこちらの部屋へどうぞ。」


「あ、はい。」


やべえコミュ障が発動してしまあばあばあば


「今からここにあります神像の前でお祈りをして頂きます。いくらでもお祈りしてくだされ。」


「わ、分かりました。」


えっとお祈りってどうやんの?ま、まあ適当に跪いて両手を繋げばいっか!というかいくらでもいいって………くわぁぁあ……やべ…

眠くなりだした。お祈り中に寝てもバレないよね?神父さんどっかに行っちゃったし。じゃあ……ま……あ……ちょっと………だけ。


……………

…………

………

……


やべえ寝落ちした!どんだけ寝てた?多分1時間くらい?というか今お祈り中じゃん!神への冒涜待ったなしじゃん!どうしよ。


「旅人さん。起きたかい?」


え、だれ?神父さんってこんな声だっけ?


「えっと、あなたは?」


「起きたみたいだね。ボクの名前はヒュプノス。眠りを司る神様だよ。」


「か、神様!?」


「そ。祈りながら寝れるなんて君すごいね!というわけで僕の力を貸したから伝えようかなって。」


「力を貸した?神様の?」


「うん。確認してご覧。」


そんなチートが許されるわけ。


プレイヤー名:リブラ(秤屋 出雲)

職業: 眠りの神の眷属

ステータス:Lv.3

HP:60

MP:20

STR:72(60×20%)

DEF:48(40×20%)

AGI:20

LUC:20

未振り分けステータスポイント:6

SP(スキルポイント):0

ST(スリーブタイム): 8

スキル:武術(睡魔流)、眠りの誘い、深眠


「わぁおなんか増えてらぁ。」


STってなんだ?


「良かった良かった。それについての説明だけど。眠りの誘いは自分より弱いやつは眠らせて強いやつなら眠りはしないけど眠くなるよーってやつ。相手が強ければ強いほど効きづらい気をつけてね。それと深眠は寝れば寝るほど強くなるよーってやつ。あと武術持ってたから寝てる時に襲われたら反撃できるやつに変えたからね。」


えぐくない?いや急に強すぎんだろ。何がなんでこうなった?あ、寝たからか!あはは


「なんか驚いてるところ悪いけどまだ弱いからね?というわけで少しお願いしたいことがあるんだけどね?」


「ん?お願い?まあ強くしてもらったし無理難題じゃなければ……」


「ほんと!?じゃあ『すごく眠れる寝具』お願い!」


☆ユニーククエスト

神に合う寝具を持ってこい。


毎日ずっと眠っているヒュプノスには気持ちのいい寝具が必要!しかし今ある寝具が壊れると換えの寝具がなくなってしまう。そこで『極上の寝具』を献上しよう。自分で作る。職人に作ってもらう。なんでもいいから極上の寝具を持っていこう。


達成時 職業『眠れる神の後継者』獲得。


「あれ?失敗したらどうなんの?」


「そりゃもちろん星を消すよ?まあでも安心してよ。いくら換えが1組しかなくても前回のがだいたい100年くらい持ってるし、次のも200年くらいは持つんじゃないかな?でも、なるべく早くお願いねー。……ふぁああ……いっぱい話したからか眠くなった見たい。じゃあちょっと寝るから寝具が作れたら教えてねー」


「あっはい。おやすみなさい。」


いやまさか神に会うなんてなぁー。いやーびっくりびっくり。ところで極上の寝具ってなんぞや?


*****

(運営サイド)


「緊急事態発生だ!」


「ん?何?」


「なんだなんだ?」


「1人のプレイヤーがヒュプノスの神殿を目指している。」


「嘘でしょ!?あれ時間経過でランダムにワープするやつじゃないの?それに教会に行ってない状態であそこに行かなきゃ行けないし全部知ってるやつじゃないと無理じゃねぇの?」


「いや、多分たまたまあそこにワープしたんだろう。今オオカミの群れと戦ってるんだが余裕で返り討ちだな。プレイヤー名は?」


「『リブラ』だそうです。」


「リブラ!?」


「急にどうした?」


「いや、多分ですけど……リブラは俺のリア友の可能性が……」


「マジか。じゃあ最悪こちら側に……いやまだいいか。ただ着いて祈ってもヒュプノスは出ないだろう。」


「忘れたの?ヒュプノスの神殿の可視化条件」


「そりゃあ覚えてるさ。睡魔が80%以上だろ?」


「そんな状態で祈りでもしたらすぐに寝ちゃうんじゃない?あそこくらいし。」


「いや、まさか、ねぇ。いきなり神級どころか神になるなんてねぇ。」


「どうだろうねぇ。」





「終わった!あいつ寝やがった!起きろ起きろ起きろ起きろ!」


「もう無理でしょ。諦めなさいよ。」


「いやだいやだいやだいやだ。初日からぶっ壊されてたまるか!」





「あら起きてたの?……時間は?お前が寝て10時間経ったぞ。今は現実では9時だ。そして『リブラ』もさっき目が覚めた。」


「リブラって誰?」


「ああ、お前が寝てる間に起こった最重要監視者の事だ。ちょうど神の眷属になったよ。…どうしよう。せっかく色々イベント用意してるのに。全部壊されるぞ!」


「まあ落ち着きなさいよ。それで彼女はどんな感じになったの?」


「最低でも中級神クラスのスキルを手に入れた。」


「………さて!二度寝でもしようかしら?」


「ふざけるな!俺も寝たいんだよ!最低でも3時間は見張っておけ!」


「はいはいりょーかいりょーかいっ」

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