♯24 大家ダニエル1

オレンジ色のスポットに当たる男、チャービル。


今日もベアン講演会場で本を語る。




「郵便配達人は二度ベルをならす」をご存じで? おれはこいつに違和感があります。読む前はふつうに郵便配達人がベルならして、逃げるストーリーなのかと思ってました。


でもどうだ? この小説は、殺人が絡むミステリー小説でした。作者のジェームズ・M・ケインは恐らくハードボイルド小説を書こうとしましたが、どうやら捻りすぎたようですね! 実はおれはこの作品が苦手です。映画も見ましたがおれには内容が難しかった! 


だっておれはベルダッシュするんだもん。楽しいですよねー!




と、チャービルは話す。




この話にお客さんは笑う。




今日のは得にウケがいいみたいで、いつも以上に笑ってくれる。




チャービルはいつものように仕事を終え、ステージから降りる。







チャービルはバーにいた。今日は珍しくお酒を呑んでいる。


飲んでいるのはカクテル、見た目はオレンジ色のカクテルだ。


カウンターで呑んでいると、レイラが話しかけてきた。


災難だったわね。


いやそうでもない、いい部屋に住めたし。


あら、意外とポジティブなのね。


おれはこんな感じだ。


今の家どこだっけ?


アーリントン、ミルビーロードだよ。


そうか。


今の家のほうが会場から近い、あと空港も。


そこにベアンが来る。


やあ! ビル! 災難だったな! 家。


やあ、ベアン。君もか。災難だったが、良い思いが出来たよ。新しい部屋は前より綺麗だし。


そうか。そりゃあよかった。じゃあもう行くよ。


ああ、またな! 俺も行くよ。


またね、ビル。


と、チャービルはバーを出る。


外に出ると、グスマンが居た。


やあ、グスマン、終わったぞ?


おい、待ったぞ。何してたんだ?


お酒を少々な。


珍しいな、紅茶じゃないのか?


今日はなんか呑みたかった気分で、オレンジ色の夕焼け呑んできた。


は? なんだそれ?


名前、わかんない。あそこ独特だろ? おれに合うお酒を頼んだ。


あっそ、ほら早く帰ろう。


と、2人は車に乗る。


車の中で2人は話をする。運転手はグスマンだ。


そういえば、今日あのダニエルがB棟にくるって。


へえー、ダニエルね。あの時から会ってないな。


そう、それであの火事から無事だった俺のものを持ってきてくれるって。


そうか、良かったな。


彼、妙におれに優しくないか? 新しい部屋みつけてくれたり、火事になったのに何も罵倒して来ないし、さらに無事だった荷物も持ってきてくれるなんて。


と、チャービルは言う。


お前の部屋から燃えたなんて、まだ決まったわけじゃないだろ。


でも、俺の部屋あたりから火事になったって、言ってたじゃないか。


たしかにな。


そういう優しい人がもっと増えればいいのにな。


そうだな、もう着くぞ。


と、グスマンは無料の駐車場に後ろから入れた。


なぜ、大家のダニエルはチャービルにそんなに優しいのか。これから、ダニエルと会う予定だ。







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