♯25 大家ダニエル2

グスマン、チャービルはスキロスB棟に着く。

車を駐車場に入れると、2人はアパート内に入る。入るときはチャービルが持つ暗証番号を入力キーに入力すると、扉が自動で開くようになっている。暗証番号は2161で、「2」がB棟の「B」で部屋番号の「161」だ。ちなみにA棟は「1」でC棟は「5」だ。なぜかC棟だけは3と4を抜かして「5」となっている。恐らく、ダニエルの好きな数字で分けているようだ。


1回部屋に行こう、ダニエルが部屋まで来るって。


なんだって!? 物を持ってか?


そう、ホント優しいよな。


そいつ人間か?


どうみても怪物には見えない。ダニエルをお前お一緒にするな。


おれも人間だ!


いやお前は人間じゃない。


あっそ…… 。


2人はエレベーターに乗る。


なあ、ダニエルって何者なのかな?


と、グスマンが言う。


さあな? そういえば、お前彼女できたんだって?


え? ああ、誰から?


誰からって、ケリー以外にいるか?


だよな。


名前なんだ?


アニーだ。アニー・エーヌだ。


アニーか。なんか面白い名前だな。発音もしやすい、アニー・エーヌ。


だろ? それがさ、思い当たる節があってな。中々面白い。


そうなんだ。おっ! 着いたぞ。


と、エレベーターが止まり、2人は降りる。


このエレベーターの右手右奥がチャービルの部屋だ。

チャービルはその部屋の鍵を解除する。


2人は部屋の中に入った。


おほっ!? でたな、ピンクソファー!


と、グスマンが言う。


ああ、ピンクだな。 何でだろうな?


さあな、趣味だろ。


と、そこにコンコンとノック音が聴こえる。


来たみたいだな。


と、チャービルは扉を開ける。そこにはダニエルが居た。普通のおじさんだ。大体45歳~50歳だ。


やあ、ダニエル。


ビル、荷物持ってきた。でも、正直そんな無くて、ごめん。


と、2つの大きめのバッグをビルの部屋の中に置く。


いやいいんだ。しょうがないさ。


やあ、ダニエル。


と、グスマンが挨拶をする。


やあ、グスマン。


すると、ダニエルが謝ってきた。


済まないビル。


君が謝ることはないよ。


違うんだ、あの日料理しようと、火をつけたんだが、途中で買うものを思い出してつけたまま出たんだ。


なんだって!? 灯油じゃなくて?


灯油? なんの話だ?


いや…… おれの部屋から火事だって言ったからあの日、灯油を扉近くに置いたんだ。でも中もそんな入ってなかったし、あの日おれたち部屋に居なかったんだ。だから…… 。


灯油ね…… でも独りでに中が零れたりしないだろ。まあそういう訳なんだ。


まあでもしょうがない、なってしまったんだ。


なあ、1つ聞いていいか?


このピンクのソファーは?


と、グスマンがダニエルに聞く。


これは妻の趣味だ、建物もそうだ。


なるほどね。そのうちピンクのアパートが建ちそうだな。


と、グスマンが言う。


実際に新しいアパートはピンクだ。妻の希望。


聞いたか? ビル。


ああ、今聞いたよ。


おめでたいな。


まあとにかく、本当に済まない。


いいんだ、むしろ優しくされて嬉しい! てグスマンと話してたところだ。


そか、よかった。じゃあまたな。


ああ、またな。


ダニエルはビルの部屋から出た。


火事の原因はケリーの灯油ではなく、ダニエルが火をつけたまま出かけた事だった。


少なくとも灯油が倒れたことが原因でもあるが、それは誰も知らない。







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