♯17 話の行方

ベアン講演会で、チャービルは今日は朗読家として出演をしていた。


題材はロバート・シェクリィの「危険の報酬」だ。


この短編小説を2時間、朗読する。短編なのでそんな時間はかからない。お客さんは静かにチャービルの危険の報酬を聴く。辺りは少し暗い。ホワイトな照明がチャービルに当たる。


朗読はもう最終を迎えていた。


マイク・テリーはスタジオの時計に目をやった。「さて、そろそろお別れの時間となりました。次回のグレート・スリル・ショーのお知らせをご覧ください。それからどうぞご心配なく。ジム・レイダーはまもなくわたしたちと一緒にみなさんにお目にかかることができるはずですから」

マイク・テリーはにっこりし、視聴者に向かってウィンクした。「彼は絶対によくなりますよ、みなさん。なにしろわたしたちみんなが応援しているんですからね!」


と、チャービルはパタリと本を閉じる。


そして照明が消える。


暗闇からチャービルは「ありがとう」とお礼を言って舞台を降りる。


──────── ビーニーズにて


夕方、チャービルはビーニーズにいた。仕事がおわりタクシーでここまで来た。


チャービルはいつもの窓際のソファーテーブルでコーヒーを飲んでいる。


すると、そこにケリーとグスマンが入ってくる。


やあ、ビル!


と、グスマンが言う。


やあグスマン、ケリー!


は〜い♪ ビル。


と、ケリーが言う。


ケリーとグスマンはチャービルのソファーテーブルに座る。


ねえ、試合はどうなったの?


と、ケリーが2人にきく。


試合? 負けたよ、蛇にな。


と、チャービルが言う。


惜しいわね、準決勝まで行ったのに。


そうなんだよ、1位はテキサス・スネーク、おれらは2位。


実は野球の試合はこの前3日前にあった。準決勝までは順調だったが、決勝戦でライバルである「テキサス・スネーク」にまけた。


でも頑張ったわ。


と、ケリーが言う。


ありがとう、ケリー。


チャービルはお礼を言う。


ところでお前はどうなんだ?


なにが?


例の彼女だよ、あれから1ヶ月だ。


あー、ポーラね。別れたよ。3週間かかった。


よく別れられたな。


まあ、簡単じゃなかった。あの笑い方をいうのもあれだ。すきじゃなくなったって言って別れた。


上手くいかないものだな、でも笑い方があれじゃなきゃ完璧な女性だった。


と、チャービルが言う。


たしかにな。


グスマンに乾杯!


チャービルはアイスコーヒーをのコップをマドラーで1回チン! と鳴らしたあと飲んだ。


さて、おれ部屋戻るけど2人はくる?


ああ、行く。


私はちょっと…… 。


なにかあるのか?


いえ、とくに。なんというか、待ち合わせ?


待ち合わせ? て普通「?」付けないだろ。


なんでもいいじゃない! ほら、さっさと行ってよ。


わかったよ、行こうグスマン。


ケリーを置いて、チャービルとグスマンはビーニーズを出て、チャービルのアパートに向かった。


その際、チャービルとグスマンはケリーの待ち合わせについて少し思うところがあった。


ケリーは男友達とビーニーズで待ち合わせする予定だ。



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