♯16 ブレインデッド

チャービルの部屋、ソファーに座ってチャービルは漫画を読んでいた。

作品は「アヒルはアヒルの子」だ。


そこにインターフォンがなる。


チャービルはすぐにボタンを押す。


インターフォン越しからはこう聞こえる。「グスマンとポーラだ!」


そう聞こえると、チャービルは答える。「こいよ」そういうと、鍵をあける。


少し慌てながら、紅茶を飲もうとお湯を沸かす。


そこにグスマンとポーラがやって来る。


やあ! ビル! 紹介するよ、彼女はポーラだ。


ポーラよろしく! 僕はトマト特殊捜査ビルだ。


と、ポーラとチャービルは握手を交わす。


え? なんだって? おまえ。


と、グスマンは言う。これには不思議がってポーラは笑わなかった。痛いやつだと思われた。


トマト特殊捜査チームだよ、グスマン。


あ、あ〜 そういう事ね。らしいよ、ポーラ。


は?


いまから紅茶を容れるんだ。アツアツのえーと、なんだって? レモンティーだ。


と、コップにティーバッグをいれる。


この匂いは?


これはティーツリーだ。


そうか。


すると、ぴゅ〜とケトルが鳴る。


チャービルはポーラを見ながらぼーとしている。


おい、お湯湧いたぞビル。


え、ああ。


と、チャービルはハッと動き始める。コップにお湯を容れながらポーラをふとみた。すると、コップからお湯が溢れてしまった。


おまえ! なにしてるんだ!? こぼしたぞ?


と、グスマンが言う。


え、ああ。


と、チャービルは言いながら濡れたカップを持ち、レモンティーを飲み始めた。


美味しいね。


すると、ポーラは笑い始める。


あっひゃひゃっひゃぁぁッッ!


首をうんうんと縦に振るチャービル。


ポーラ、悪いんだけど先に帰っててくれるか? 後で電話するから。この溢れたレモンティーおれが拭くよ。


優しいのね。わかった、またねグスマン。


と、ポーラは扉をバタリと閉めて、帰って行った。


残ったチャービルとグスマンは2人揃ってソファーに移動する。


同じ瞬間に2人は座り、足を同じ方向、右に組む。


そして汗がでているのか、ふたりはオデコあたりを手でフゥゥと拭いた。


暫くしてチャービルが言う。


あれはすごいな!?


すごいだろ!? だから言ったじゃないか!


と、グスマンが言う。


お前絶対変なやつって思われたぞ。


グスマンが言う。


なんというか、緊張しちゃってさ。


お前が緊張すると、僕って言ったり、変なこと言うからな。売れないコメディアンみたいだ。


せめて売れるコメディアンって言ってくれ。


いや発展途上のコメディアンだ。


もういいよ、それで。


で? どうするんだ? お前これから。


と、チャービルが聞く。


…… 別れる。けど、簡単にはいかなそうだ。


と、頭を抱えるグスマン。


たしかに、これは難しい。


ところでなんでティーツリーを?


浄化だ、浄化するためにしたが、効果はなかったようだ。


なるほどね。無駄だったか。


ああ。


もう帰るよ、どう別れるか考える。


と、グスマンが言って部屋を出る。


ああ、またなトマト伯爵。


それはお前だろ。


おれもだ。


と、グスマンは部屋を出た。


グスマンはあの彼女と別れられるのか。

相当難しい。



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