エンディング

 ビジネスホテルにいても、お家に帰り着いても、あたしの頭の中はみやびさんでいっぱいだった。


 あんな風にかっこよくなりたい。あたしも、あんな風にって思うと、止まらなくなって、場所も選ばず倒立したりして、ママに怒られた。


 タイムマシーンはもういらない。未来は、自分で作り上げる。


 あたしは体操部で流れるような音楽をスマホで検索した。げぇ。クラッシックじゃん。でも、うん。なんだ落ち着くかもしれない。


 もう今から、四月が楽しみでしかたなくて。


「ゆりちゃーん。お願いだから引越しの準備くらいしてよー?」


 あ。すっかり忘れてた。夢中になれるものに出会えると、こんな気持ちになるんだって、初めて知ったのだった。


 おしまい

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噴水と水風船と体操部のお話 春川晴人 @haru-to

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