第3話 断じて変態ではありませんっ
そのとたん。あたしとみやびさんの目があった。
「あなた何!? 部外者の侵入は禁止されているはずだけど?」
「えっと。あの――」
言い淀むあたしの代わりに、理事長先生が答えてくれる。
「彼女は四月からうちの学園に転入してくれるかもしれないのですよ。今日は見学だから、大目に見てあげてください」
「理事長先生がそこまで言うのならいいですけど。……あなた、変態? それとも、水泳部?」
「いや、あのっ。変態ではありません。水泳部でもないかな。でもね、水は好きっ!! ダメ、ですか?」
あたしはおずおずとみやびさんを上目遣いで見上げた。凛とした瞳。キリリと引き締まった唇。
「簡単だと思ったんでしょう? 水の中を走るのも。倒立して水風船挟むのも。なんなら、やってみる?」
「みやび、それはちょっとコクだよぉ。この子、水着じゃないじゃん」
「だけど、黙って見学してたんだし。その分、何かで払って欲しいわ」
「あた、あたし。倒立ならできます!! けど、さすがに水風船は無理かもだし。それに、一応スカートだし」
あたしはもぞもぞと制服のスカートのヒダを指でなぞった。
「けど、スパッツは履いているみたいじゃない? なんなら倒立だけでも見せてちょうだい」
「ちょっ、みやびぃー」
あひゃぁー。大変なことになっちゃった!!
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます