11. 固有名詞について

 大学時代、第二外国語の選択がありました。

 ドイツ語、フランス語、ロシア語、中国語があり、わたしはドイツ語狙いでした。しかし受講制限200人からあふれてしまい、仕方なくまだ募集していた中国語を選択することになりました。

 ドイツ語、受講したかったな~。

 だってドイツ語、かっこいいじゃないですか。(←おい)

 ちょっと名詞に男性と女性と中性があるとかよくわかりませんが、響きがかっこいいので大好きです。

 英語で『デストラクションキャノン』っていう安直な武器の名前も、ドイツ語にすると『ツェアシュテルングカノーネ』になるんですよ。

 学生の頃から、ネーミングに困ったら一旦ドイツ語などの英語外の言語に置き換えるとか、よく使ってました。とにかく響きをよくするのに重宝していました。



 というわけで、今回は作中の固有名詞、ネーミングについてです。

 その世界観で、オリジナルの呼称・固有名詞を作ること、多々あると思います。

 SFでは兵器や機体の名前、ファンタジーでは魔法や技の名前、他には二つ名とか通り名、ミリタリーも交えるとコールサインやタックネームとかもありますかね。

 そんなオリジナルネーミング、作品を書く側はどんな風に考えて、読む側はどのように受け取っているんでしょうか。


 わたしの好みで言えば(そもそも、このエッセイが創作論なんて大それたものではなくてわたしの好みを綴っているだけなので遠慮することないんですが)、あまりにも作中固有名詞を増やしたくはないです。


 例えば、わたしが大好きな『ガンダムSEED』シリーズですが、多くの武装に神話等(他には騎士道物語とか)から取った固有の名称がつけられています。アグニとかシヴァとかスキュラとかミョルニル、フレスベルグ、アフラマズダ……。

 中には型番までがっつり設定されているものまであります。(以下その一部)


・MR-Q10 フラガラッハ3ビームブレイド

・I-710 エクスカリバーレーザー対艦刀

・M2000F ケルベロス高エネルギー長射程ビーム砲


 などなど。

 わたしが好きなSRPG・スーパーロボット大戦では、武装の詳細を見ると、例えばビームサーベルひとつ取っても、

・他のガンダム:ビームサーベル

・SEED:MA-M01 ラケルタ・ビームサーベル

 みたいに差があります。

 ま、わたしは大好き補正が加わっているのでそんなに気にはしてませんが!

 ……最初と言ってることちゃうやん。



 小説だと、15~20年前に『灼眼のシャナ』という、わたしが大好きなラノベがあったんですが、あれはまさに固有名詞の宝庫でした。

 人や物が存在するために必要な『存在の力』を喰らう、違う世界から渡ってきた『紅世ぐぜともがら』と戦う人々『フレイムヘイズ』のお話です。

 フレイムヘイズは『○○の○手』(炎髪灼眼の討ち手、万条の仕手など)という名前を持ち、『紅世ぐぜともがら』は真名と通称を持ちます(〝いただきくら ヘカテー〟の場合、〝頂の座〟が真名で〝ヘカテー〟が通称 など)。

 更にそれらは組織を作っているものもあり、『仮面舞踏会バル・マスケ』や『とむらいの鐘トーテン・グロッケ』など、独特の読みをするものも。

 フレイムヘイズや徒が使う魔法のような『自在法』や、『宝具』なんかもありました。

 22巻まで出た小説なので、敵味方ともに登場人物が多く、それだけ独特な固有名称も多かったです。厨二心をくすぐる素晴らしい作品でした。

 あとがきでは「『存在の力』にも固有名詞をつけようとしていたので止めた」という編集と作者のやりとりが書かれていましたので、これでも抑えていたんだな、と思ったものです。

 この作者の高橋弥七郎さんは、結構文体も難しいので、読むのにも通常の1.5倍から2倍くらいかかったのも印象深いです。恐らく『シャナ』を読まなければ、「赫」なんて漢字を知ることはなかったはずです。

 小説慣れしていない人に読ませたら、多分小説が嫌いになるんじゃないかと思うくらいの文章の書き方です。

 そこが大好きです、弥七郎さん。



 あれ?何の話してましたっけ?

 ああ、作中の固有名詞の話ですよね。

 極端な例を書こうとしたのに、好きな作品だったのでついつい……。


 

 さてさて、こういうネーミング、地味に難しいんじゃないかと思うんですよ。


 極端な話、造語にするか、神話あたりから持ってくるかだと思うんですが、セレクション間違うと、ちょっと白けちゃうかな、と思うことがあります。

 例えば、昔『フルメタ』の小説で、主人公の乗る機体〝アーバレスト〟の後継機の名前を募集していました。あとがきで募集されていた名前が明かされており、その中に〝オーディン〟というのがありました。

 思いました。

 ないわ~、と。

 後継機の名前は〝レーバテイン〟に決まりました。〝アーバレスト〟と同じ〝バ〟がかかってるのがポイントです。〝ヴァ〟にしないのはそういうことです。

 まず、なぜこの命名がいいかというと、元々この主人公機の系譜は武器の名前でを付けられていて、ARX-7〝アーバレスト〟に対してARX-6は〝ハルバード〟と設定されています。

 そうすると、やはり武器の名前がつくだろう、そして常軌を逸した性能の機体に神話から〝レーバテイン〟を持ってきたと。

 そこにいきなり神の、しかも結構メジャーな名前を持ってこられると、違和感です。仮に他の機体名が〝ロキ〟とか〝トール〟とか〝フレイヤ〟ってつけられていていたら違ったかもしれませんが、なんか「知ってるカッコイイの書いた」的な空気がちょっと気になります。

 それならいっそ、おふざけ候補に入っていた〝スーパーアーバレスト〟の方がよっぽどいいです。

 人によっては、パワーアップしたからスーパーがつく、という発想が昔のアニメくさいとか安直とか思うかもしれませんが、案外現実に即した名前だったりします。

 米海軍のF/A-18E及びF/A-18Fのペットネームは〝スーパーホーネット〟(F/A-18は〝ホーネット〟)ですし、F-14のペーパープランにスーパートムキャットというものがあったので、割と普通にあります。

 強化されたものに〝スーパー〟ってつけるの、意外とリアル志向なんですよね。


 そういえば、神話から取ってるけど馴染み過ぎたのありますね。

 バルカンって聞いたことある人いるかもしれません。ガンダムはじめロボットモノではお馴染みだし、だいたい機関砲のことバルカンって呼ぶ人多いですが、〝バルカン〟ってM61という機関砲の名前で、由来がローマ神話のウルカヌスの英語名なんで、神の認識すっ飛ばしてだいぶ馴染んでるな、と思います。



 あとですね、これすごく大事なのが、技名を叫ぶのか(声に出すのか)どうか。


 ごめんなさい、今回は脇道に逸れまくりです(>_<)


 一概に言えないですが、わたしはあんまり口に出してほしくないです。

 極端な話、攻撃の時に叫びたいなら「はぁぁぁぁっ!!」とかでいいです。

 技の名前はぼそっと呟くか、大技繰り出すときくらいで、普通の攻撃のときにわざわざ声高らかに叫ばんでも……というのが神在月ユウの感性です。

 またもスパロボでお話すると、戦闘アニメーションで「リニアレールガンッ」って叫ぶキャラ・機体がありまして、あれちょっと苦手です。

 だって、あれ個人の技量とか魔法とか一切関係ない普通の武器ですよ。他の事象に置き換えると「アサルトライフルッ」って言ってから撃つみたいなもんです。ちょっと恥ずかしいです。

 どうしても言いたいなら「リニアレールガン、セット」「リニアレールガン、照準」とか、手順を確認するような一言を挟んでもらえると結構しっくりくるんですが。

 あ、でも「ディスカッター乱舞の太刀っ!」とかなら好きです。

 半ばネタとして叫ぶ「究極ゲシュペンストッキック」なんてのもありますが、あれは本当に声優さん含めて笑うポイントとして受け入れてはいます。

 とかなんとか言っておきながら、基本魔法の名前を叫ぶ『なのは』シリーズを受け入れている(というか大きく影響を受けた、超大好きな作品です)ので、技名叫ぶ=嫌い、という方程式を一概に言い切れないのが、優柔不断なわたくしであります。

 単にスーパーロボットが嫌いな傾向にあるだけかもしれませんが。




 内容がだいぶとっ散らかりましたが、やたらめったに神話から取るんじゃなくて、神話モチーフにしても「○○○○ということから、それにちなんで△△△△という名を冠した」みたいな関連付けとかすれば、ちょっとは濃い目の味付けがマイルドになるんじゃないのかな、と最後に書こうと思います。




 どうか特大ブーメランが自分に返ってきませんように(*´人`*)





 代表作『君が手にする魔法の剣』の登場機体、星座から取ってるので人のこととやかく言えない神在月ユウでした。

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