第14話 終わらない金曜日

 八回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 九回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 十回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 十一回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 十二回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 十三回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 十四回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 十五回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 十六回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 十七回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 十八回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 十九回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 二十回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 二十一回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 二十二回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 二十三回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 二十四回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 二十五回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 二十六回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 二十七回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 二十八回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 二十九回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 三十回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 三十一回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 三十二回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 三十三回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 三十四回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 三十五回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 三十六回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 三十七回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 三十八回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 三十九回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 四十回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 四十一回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 四十二回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 四十三回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 四十四回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 四十五回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 四十六回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 四十七回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 四十八回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 四十九回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 五十回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 五十一回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 五十二回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 五十三回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 五十四回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 五十五回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 五十六回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 五十七回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 五十八回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 五十九回目の金曜日

 桜坂さんに告白された。


 どれだけ、どれだけ逃げても無駄だった。


 心が折れる。

 頭がおかしくなる。

 何度も、何度も同じ日を繰り返す。


 変わらない気候。


 同じ言葉しか喋らないテレビ。


 プログラムされた機械のような世界。


 この時を繰り返す世界で、俺と桜坂さんだけはレールを外れていた。


 もう……いやだ。


 時間は一方通行の方がいい。


 巻き戻すものじゃない。


 だが、何を説いても桜坂さんは聞き入れてくれない。


 俺と付き合うこと。


 その軸が一切ブレない。


 同じ日を繰り返すことに悲壮感などありはしない。

 ……いっそ、付き合ってしまった方がいいのだろうか。


 そんな思考が芽生えてしまう。


 …………いや。


 それはダメだ。


 付き合ってその後どうなる? 桜坂さんが別れてくれると思うか? 

 下手を打てば宣言通り、時間を巻き戻して一生同じ日を繰り返して永遠の刻を過ごすことになるかもしれない。


 この五十九回の金曜日を迎えるまでの間に、俺だって色々試行錯誤はした。


 俺と桜坂さんの過去に何があったのかを問い詰めた。

 過去の思い出話は聞けたけれど、それで何か思い出す事はなかった。

 特に意味はなかった。


 嫌われる努力をした。


 暴言を吐いた。


 暴力だって働いた。


 だが何をしても、桜坂さんに変化はなかった。

 俺のことを嫌いになってはくれなかった。


 病的なまでに俺に心酔した彼女を、どう対処すればいいのだろう。


 俺にはもう、わからない。


 何もわからない。


 逃げることしか、思いつかない。


 そして、六十回目の金曜日。


 本来なら、二ヶ月が経っている頃。


 俺はジリジリと鳴り響く目覚まし時計を止めると、重たい身体をゆっくりと起こした。


 ……桜坂さんはいない、な。


 その事実に一安心しているあたり、俺の脳みそは毒されていると思う。


 これまでの五十九回、桜坂さんはありとあらゆる形で俺と接触を図ってきた。


 シチュエーションを変更したところで、俺が桜坂さんに靡く事はない。


 だというのに桜坂さんは、あの手この手で告白してくる。


 今日もおそらく告白されるのだろう——。

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