在宅勤務・保志

西しまこ

第1話

 今日も在宅勤務だ。コロナが流行ってから在宅勤務が奨励され、週に数日在宅勤務をしている。

「ぱぱー」

「紗良」

 二歳になる娘を抱きあげると、

「さらばっか、ずるいー ゆいもー」

 と、一つ年上の結衣がやってきた。

 在宅勤務になってから、娘たちと触れ合う機会が増えた。大きくなったら、どんな娘になるんだろうなあ。

 しばらく娘たちと遊んだ後、会議開始を知らせるアラームが鳴った。

「じゃ、パパはこれから会議だから、ママのところに行っておいで」

「はーい」

「ぱぱ、ごはん、いっしょにたべるよね?」

「おう」

「わぁーい!」

「わぁーい!」

 娘たちは高い声で笑い合いながら、軽やかに駆けていった。どうしようもなく、愛しさが増す。仕事も頑張ろうと思う。

 会議を終えてリビングに行くと、昼ご飯が出来上がっていた。

「うまそう!」

「ゆいねー、おてつだいしたんだよ! さらだ、つくったの!」

「おお、偉い、偉い!」

「さらもー」

「二人とも早く席につきなさい」

 妻の言葉に二人とも素直に返事をして、席に着く。

「奈緒、いつもありがとう」

「どういたしまして。午後も会議?」

「うん、今日はずっと会議かな」

「そう」

「いただきます!」

「いたらきまーす!」「いたらきま!」

 手を合わせてから食事をする。うん、いい子たちだ!

 昼休みは四十五分だから、さっと食べてコーヒーでも飲むかな。あ、でもきっと結衣も紗良も遊んでとせがむだろう。とりあえず、手早く食べてしまおう。

「あー、ふぉーく おちちゃったー」「ままー、おちゃー」「はいはい」

 我が家の食卓は賑やかだ。でも、とてつもなく幸せな感じがする。

「保志さん、食後はコーヒー飲むわよね?」「ああ。ありがとう」

 なんて気が利く妻なんだろう。娘はかわいくて妻は飯がうまい。ああ幸せだ。





☆☆☆☆☆

「金色の鳩」

https://kakuyomu.jp/works/16817330651418101263

「銀色の鳩 ――金色の鳩②」

https://kakuyomu.jp/works/16817330651542989552

「イロハモミジ」

https://kakuyomu.jp/works/16817330651245970163

「つるし雛」

https://kakuyomu.jp/works/16817330651824532590

よかったら、こちらも見てくださいね。

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在宅勤務・保志 西しまこ @nishi-shima

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