さて取り敢えず此方の想定通り、フェアドレーツェ殿下誘拐誘因までは成功した訳だ。後はこれを機にしてイェーガー・デァ・ドンクレン・ナハトが動き出すと、私もそれに呼応して動いて色々と愉しみましょう。

 それまでの間は大人しく拘束されておくとして、フェアドレーツェ殿下の位置だけでも把握しておこうかな。

 魔力封じの枷を嵌められてはいるけれど、この程度の精度では私の魔法を封じられないから、余裕を持って魔力を操作可能。

 微細な魔力を放出してアクティブな索敵を開始、発見。以外と近い位置にいるね。

 これなら苦労せずに合流して色々なイベントを体験できそうだ。


 一方その頃イェーガー・デァ・ドンクレン・ナハトの王都拠点である、ヨドヤ商会総合商会本館地下では、ジーブン・トーンライターが勢揃いしていた。

「主様の予定通りフェアドレーツェ第二王女の誘拐事件が発生しました。ですが、それと同時に主様も一緒に連れて行かれてしまったようです」

 とツェード。

「それに関しては問題ないとは思います。ボスであれば何が起ろうとも問題は無いのです」

「それもそうね」

 エーミがツェードに言葉を返す。

「なので、私達はボスがいない状況下でどうするべきかを考えるべきかと。アーラ、作戦内容に変更はあるのです?」

 エーミが今回の作戦指揮を担っているアーラへと質問をする。

「無いな。王都にある私達が把握しているウンシュターブリッヒカイト教団施設への同時襲撃作戦は作戦通り実行する。

 主様も予定通り動いた方がやりやすいだろう」

「では、作戦通り王都浄化作戦を実施すると言う事で良いですね」

 最後にツェードが言葉を発し、それに了承の意思をそれぞれが表わし、イェーガー・デァ・ドンクレン・ナハトの動きが今決定した。

 ヘェッツが攫われてしまうイレギュラーこそあったものの、ここに集う者達はヘェッツへの信仰にも似た信頼でもって方針の決定を行った。

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