忘れてしまいたいことが多すぎる(´;ω;`)ウッ…
物事というものは……いや、世論というものはいかなるときでも、賛否両論、相反する意見が
王様の心痛を察し、なるほど十二分に理解できるとする積極的賛同派、
さらにまた。
王令反対派も、決して一枚岩ではありませんでした。即時廃止を声高らかに主張する強硬派から、段階的に廃止への
すなわち。
王宮内も、法執行機関も、実務行政府も、そして民衆も、目に見えない壁に分断されてしまった……といっていいでしょう。
このような情況下で、かつて経験したことのない
「はぁ……ひぃ……ふぅ……」
と、大きなため息を立て続けに
その数日後のことでした。
突如として王宮から王様の姿が
そうです、なにもかもがいやになった王様は、自ら王位を捨てる覚悟で、旅に出かけたのでした。旅……といえば聞こえはいいものの、逃げた……といったほうが
王様不在を知った
「王は
と、触れ回りました。
“
何が起ころうと、ありえないことはありえない、と信じられていた時代
「王国の荒廃、この一線にあり」
とばかり、蜘蛛の巣のように張り巡らされた有形無形の分断線を撤去し、
……ところで。
旅に出た王様は、まず西の道をめざしたといいます。
西域には
「こらっ! おまえ、
空腹のあまり枝木にはさまるように倒れていた王様を見つけたのは、夜の
墓守の集落は
この時代には珍しく、丸々と太った王様のからだは墓守たちにはことさら
「・・・・・・?」
王様はなんと答えていいのか分からず、うーんと唸ったまま、へたり込んでおりました。二日食べていなかったこともあり、反論しようにも思考の扉が閉ざされていたのかもしれません。
「おまえ……
「・・・・・・?」
「このところ、やたらと
……東隣の国では政変が起こって内乱状態だと、陵戸長は語りました。北隣の王国でも、王位をめぐって臣下が三王子派に分かれて抗争を繰り返していたようです。各国を襲った流行り病による政情悪化は、病が癒えたのちも想像だにできないさまざまな
「大変な時代になった」
「すなわち、大いなるへんな時代だな」
どうやらこの陵戸長はなかなかの
「……墓荒らしのおまえを王都へ送ってもいいが、いま、都は罪人どもで
「・・・・・・・!」
王様は不思議で不思議で仕方ありません。なぜ、王都に罪人が急増したのか……その理由が
「あの馬鹿げた王令のせいさ」
陵戸長はいいます。
「他国の者は……それを伝え聴き、〈おめでとう〉を口にさえすれば都に送られ、牢の中で一日二度の
なんということでしょう。流行り病が
ただただ王様は
なにをおもったのか
「おまえに……頼みがある」
これまた質素な
「……おれが
つまりは、そうやって生き
「ほかでもない……頼みというのは、この娘を一緒に連れていってもらいたいのだ」
かれが手を叩くと、奥からひょいと出てきたものがありました。まるで墓場から現れた生きる
「ひゃあぁぁほぉぉおいぃ」
と、腰を抜かしました。王宮を抜け出てからは、こんなことの連続だったのですが、このときばかりは、肌が凍りつくほど恐怖に打ち震えたのです。
「そんなに驚くことはない……生きておるぞ……持ち物から察すると、
肩をさすられた王様は、なるほど、目の前のそれは、少女のようだと気づきました。
〈おまえのことはすべて知ってるぞ……〉
と告げられているかのように、王様には思えてならなかったのです。それが恐怖心の
「連れて行く……といっても、どこへ?」
はじめて王様は口を開きました。
「さらに日が沈む西方へ向かうと、
こちらの国の言葉を理解できないのか、それともそう装っているだけなのか、それは
「なあ、おまえは、『おめでとう』の反対のことばを知っているか?」
ふいに
「……? おめ……でたくない?」
「それではだめだ。おめでとうの
「おまえ様は……岩族がこちらの国を侵略しようとしているとかいないとか、そんなことを言っておったが、それは、どういうことかな」
前からの癖で、つい横柄な物言いになった王様は、慌てて言い直した。
「……どうか、この身にもわかるように教えてもらいたい」
「だから、おまえが、それを探ってくればいいのさ。できることなら、侵略を止める手立てを考えたらなおさらいい。それができれば、おまえに心の底から『おめでとう』と言ってやろうぞ」
意味ありげにほくそ笑んだ
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