第51話【本編】下の名前で呼ぶからね!

 とにかくなんか収拾がつかなくなってきたので、俺はこのタイミングで今回の選抜メンバーを発表することにした。


「ええっと、みんなの希望とかいろいろ考慮して、今回は・・・・・・案内役のダタンと、カナタ、それから乗崎じょうさきさんと秋野あきのさんと俺で行こうと思う! ダタンとカナタと俺で行ってもいいんだけど、二人にも経験を積んでもらいたいんだ! どうかな?」


 俺がそう尋ねると、乗崎 麗夏れいかがまずこう言った。


「もちろん私は賛成よ! ・・・・・・でも、乗崎さんっていうのはいかにも他人行儀よね? 命を預け合う間柄なんだからそろそろ下の名前で呼んでくれないかしら?」


「下の名前で?」


「そう! 下の名前で!」


 乗崎 麗夏は真剣な目で俺を見ている。

 どうやら冗談ではないようだ。


「麗夏・・・・・・さん?」


 と、俺が言うと、乗崎 麗夏はまたしても真剣な目でこう言ったのである。


「さんは、余計じゃない?」


 だから仕方なく俺はこう言ったのだ。


「えっ? じゃあ・・・・・・麗夏?」


「うん! それがいいわ! これからはそう呼んでちょうたい!」


「ああ・・・・・・うん、わかった」


 俺と乗崎 麗夏がそんなやり取りをしていると、秋野 阿香里あかりがこんなことを言ってきた。


「ちょっとー! それなら、トッキー、阿香里のことも下の名前で呼んでよー!」


「・・・・・・秋野さんも呼び捨てでいいの?」


「えー? どーしようかなぁ? どうせなら、あかりんって呼んでもらおうかな?」


「・・・・・・あかりん?」


「いいじゃん! いいじゃん! なんかやっとトッキーと打ち解けた感じするー!」


 秋野 阿香里がそう言うと、乗崎 麗夏が真面目腐った声でこう言った。


「呼び方ってやっぱり大事なのよ! チームワークを高めるためにも!」


「・・・・・・じゃあ、麗夏ちゃんも亜香里のことあかりんって呼んでくれる?」


「それとこれとは話が別よ! 秋野さん!」


「えー! 亜香里は麗夏ちゃんって呼んでるのに秋野さんって呼ばれるのなんか辛いんですけどー!」


 そこで俺は調子に乗ってこんな提案をしたのだ。


「今回の件がうまくいったら・・・・・・麗夏もあかりんって呼んであげるってのはどうかな?」


 すると、しばらく沈黙の時間があってから乗崎 麗夏がこう言ったのだ。


「・・・・・・リーダーの時岡君がそう言うなら、今回の件が無事うまくいけばそうしてもいいわ! ・・・・・・でも、そのかわりその時は時岡君のことも下の名前で呼ぶからね!」


 

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第51話も最後までお読みくださりありがとうございます!


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