第40話【本編】ファーストキス!?

「・・・・・突然で悪いんだけど、ナージョ、君の能力を僕達に見せてくれないかな?」


 俺がそう言うと、そのナージョという名の娘はこくりと頷いた。


 すると、この村の村長らしき人族の老人がこう言ったのだ。


「大勇者様! ナージョの異能力はナージョ自身もうまく扱えない時があって、もしかしたら大勇者様に大変なご迷惑をかけてしまうかもしれません。それでもよろしいのですか?」


 それに対して俺はこう答えた。


「はい。仮に何か危険なことがあれば自分でどうにかしますので心配しないでください」


「・・・・・・大勇者様がそうおっしゃるなら。・・・・・・では、ナージョ、大勇者様におまえの力を見せて差し上げなさい!」


 この村の村長らしき人族の老人にそう促されると、そのナージョという名の娘はまたこくりと頷き、実に驚くべきことを言ったのだった。


「あんたはこれからあたしに接吻せっぷんをする。好きでもないあたしにあんたは接吻をする。・・・・・・ちなみにあたしはあんたが好きだ」


 ナージョという名の娘がそう言い終わると、俺はもう立ち上がっていた。


「トキハル? どうしたの? マジでこの子にキスする気なわけ?」


 そう言う古堂こどう 美冬みふゆの声がすごく遠くから聞こえてくる。


 本当はすぐ近くにいるはずなのに。


 これは催眠術なのだろうか?


 この娘は俺に言葉で催眠術をかけたのか?


 俺の体はゆっくりとそのナージョという名の少女の方へ近づいていく。


 すると俺が彼女にキスすることは動かしがたい決定事項だという気がしてくる。


 もう俺が生まれた時には決まっていた決定事項。


 そのナージョという名の長い黒髪の浅黒い顔をした娘は近くで見るととても美しかった。


「トキハル! どうしちゃったんだよ? マジでキスしちゃう気かよ?」


 遠くで古堂 美冬が俺に向かって叫んでいる。


 ナージョという名の娘は目を瞑ることもなく、じっと俺のことを見つめている。


 俺はだんだんとそのナージョという名の娘の唇に吸い寄せられていく。


 その薄ピンクのぷっくりした唇に俺はすでに自分の唇を無性に合わせてしまいたくなっている。


「トキハル!」  


 とすごく遠くで古堂 美冬が叫んでいる。


 もうすぐ俺はその声を聞きながら、そのナージョという名の娘と唇を合わせてしまうだろう。

 

 

―――――――――――――――――――

第40話も最後までお読みくださりありがとうございます!


ここまで読まれて、もしちょっとでも「なんかおもしろそう!」「これは期待できるかも!」と思っていただけましたら、作品フォローや★★★評価をしていただけるとうれしいです!


皆様からの応援が駆け出し作者の力にメチャクチャなります!


精一杯おもしろい作品になるように努力しますので、よろしければ是非応援よろしくお願いしますm(__)m


―――――――――――――――――――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る