第39話【本編】ナージョという娘

「・・・・・・確かに大勇者様のおっしゃる通り、この村には・・・・・・異能力を持った娘が一人だけおります。ナージョという娘で、その子は相手の未来の行動を決めることができるのです。 ・・・・・・その異能力が狙われているというのですか? ・・・・・・とにかくナージョに会ってやってくださいませ! すぐに連れて参りますので!」


 ターラカ村の村長らしき人族の老人のその話を聞いて俺は古堂こどう 美冬みふゆと驚いて顔を見合わせた。


 そんな能力は99回もこの世界に来ているが一度も聞いたことがなかったし、あの幻の傑作ロールプレイングゲーム『サーザントビアス』の中にも出てこなかったはずだ。


 100回目にして明らかにこの世界の仕様が変わってきている。


 もしかしたら今までの99回の経験は今回の世界にはあまり役立たないのかもしれない。


 俺はそんな不安を感じながら、ナージョという少女が現れるのを古堂 美冬と共に待っていた。




「お待たせしました、大勇者様! これがナージョです! ナージョ、大勇者様にご挨拶しなさい」


 村長らしき人族の老人にそう言われても、そのナージョという名前の少女はしばらく俺を見つめたまま押し黙っていた。




「ほら、ナージョ! 早くしなさい!」


 村長らしき人族の老人がもう一度そう促すと、そのナージョという名前の少女はやっと口を開いた。


「・・・・・・あたしはナージョ、なんかあたしに用か?」


「ナージョ! 大勇者様になんて横柄な口を! ・・・・・・すいません! 大勇者様! この子は少し人見知りなところがありまして、悪気はないのです、ほんとうに!」


「気にしてませんよ! ・・・・・・それより時間がないので簡潔に言いますね! ナージョ、君の能力がある魔王に狙われているみたいなんだ。君のことを僕達に守らせてくれないかな?」


 俺がそう言うと、そのナージョという名前の少女の顔は一瞬で真っ赤になった。

 そして、そのナージョという少女ははこう言ったのだ。


「・・・・・・そんなことを言われたのは初めてだ。ドキドキする。こんな気持ちは初めてだ」


 そんなナージョに俺は思いきってこう頼んだのである。


「・・・・・・・突然で悪いんだけど、ナージョ、君の能力を僕達に見せてくれないかな?」



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