第32話【本編】竜の上での魔法特訓!

「何、オタクっつーか、童貞どうてい丸出しみたいなリアクションしてんだよ! マジウケる!」

 

 古堂こどう 美冬みふゆはそう言いながらも彼女自身も少し照れているみたいだった。


 それに気づいたおかげでそれほど落ち込まなくて済んだわけだが、彼女に魔法特訓をしてあげる気力がちょっとがれかけたのも確かだった。


 でも、いつまでもしょげ返っているわけにもいかないので、俺はこう言ったのだ。 


「・・・・・・じゃあ、目的地につく前にちょっと魔法の特訓をしようか?」


「えーっ? こんな空の上で? トキハル、マジでスパルタじゃね? 童貞丸出しって言われて怒った?」


「・・・・・・いいから、やるの? やらないの?」

 

 さすがにちょっとムッとして俺はそう訊いた。


「やる、やる! やるからそんな不機嫌なつらすんなよ!」


「別に不機嫌になんてなってないよ」


「そう? ならいいんだけど。なんかトキハルって根に持つ系のにおいすんじゃん。だからちょっと心配になって。・・・・・・じゃあ、特訓頼むわ!」


 根に持つ系。


 何気にこれが一番傷ついた。


 でも、なるべく顔には出さないようにして俺はこう言った。


「回復魔法のイヤースルと攻撃魔法の小炎しょうえん。先にどっちを覚えたい?」


「そらやっぱ回復魔法じゃね? そっちの方が役に立ちそうじゃん!」


「じゃあ、イヤースルから覚えようか? まずは魔法銃を使わないで唱えてみよう。魔法は全てイメージが大事だからね。頭の中で怪我してる人のことを想像してみて」


「怪我してる? それって結構グロい怪我?」


「いや、イヤースルは回復魔法の中でも初級のものだから軽傷でいいよ」


「軽傷? ちょっと血が出てるくらい?」


「うん。それくらいかな」


「・・・・・・想像したけど、それで今度はどうするわけ?」


「その人を治したい、癒したいって強く思うんだ」


「なに! そんなんでいいの? 簡単じゃね?」


「いいね! 簡単だと思えることはすごいいいことだよ!」


「そう? ・・・・・・・癒したい、治してあげたいって思えばいいの?」


「強くだよ!」


「強く・・・・・・思ってるけどなんも起きねえじゃん? ヤベ! 才能ないんじゃね?」


 古堂 美冬がそう言った直後だった。


 彼女の両手が美しい緑色の光で包まれたのは!


「なに? これ? どうなってんの? トキハル? これ、あーしが出してる光なわけ?」


「すごいよ! ミフユ!」


「これってすごいのっ?」


 古堂 美冬がひどく驚いた声でそう訊いてきたので、俺もちょっと興奮気味の声でこう答えた。


「緑の光は最上級の回復魔法の色なんだよ! ひょっとしたらミフユは人一倍人のことを癒してあげたいって思いが強いのかもしれないね」

 

 

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