第21話【本編 神回?】勇者を演じた少年!

「・・・・・・とても信用してもらえないような話を今から俺はするかもしれないけど、これから話すことは全部本当のことだから。親友のお前に誓ったっていい!」


 カルーバという名前の少年はそう宣言してから話し出した。それは彼の言うようにとても信じられない話だったが、それまでの彼の話よりもその場にいる誰もがその話の方を信じはじめている様子だった。


「ダタンは俺の目の前でこの村に現れた魔王に体を乗っ取られてしまったんだ。でも、俺たちはずっと目が合っていたからダタンは乗っ取られる寸前に声には出さずに俺に話し掛けてきたんだ。エルフは相性のいい相手とは目を合わせてさえいれば声を出さずに会話することができるんだよ。ダタンはこう言ったんだ。『どうにか君だけでも逃げ出してビビや頼りになりそうな相手にボクのことを裏切り者だと伝えてくれ。そうすれば躊躇ちゅうちょなくボクの体ごと魔王のことを殺すことができるだろう? だからボクのことをできるだけひどい裏切り者だと相手に思わせてくれ。ごめんな、カルーバ。こんなつらい役目を君に押しつけて。でも、これは村のみんなの命を守るためなんだ。今は生かしておくって言っているがそんなのはとても信用できるわけがない。頼んだよ、カルーバ。君は小さい時にやったこの村の劇でも主役の大勇者様を演じた男じゃないか。きっとうまくやり遂げられるよ。ボクはそう信じてる』 ・・・・・・俺はダタンにそう言われたのに、結局全然うまくやれなかった。・・・・・・大勇者様、これが俺の知っていることの全てです。どうかダタンのことを、村のみんなのことを助けてやってください! お願いします!」

 

 カルーバが全てを言い終えると、全員の視線が俺に集まっていた。もちろん緊張したけれど、俺は俺のことを信じて全てを話してくれたカルーバのためにもいつまでも格好悪く緊張しているわけにはいかなかった。


「カルーバ。ちゃんと話してくれてありがとう。君の言うように信じられないような内容だったけど、本当の話だってすぐにわかったよ。ダタン君のことも、この村の人達のことも僕が助けるから安心して! 辛かったね、一人で抱え込んで、友人を悪者にして、心を痛めて、それでも友人を救えない。そんな絶望の中に君はいたんだね。本当に辛かったね。でも、もう大丈夫だよ。僕が全部なんとかするから。約束するよ」



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