第20話【本編 感動回?】優しく語り掛けてくるんじゃねえよ! 

「・・・・・・君の話はいまいち納得できないな。・・・・・・本当にダタン君は裏切り者だったのかな? もし本当にそうなら、なぜダタン君はこの村の人達を裏切ったんだろうね? ・・・・・・君はどう思う?」


 俺がそう問うと、そのカルーバという名前の少年は絶句ぜっくした。


 すると、かさずビビがこう詰め寄った。


「黙るってことは何かやましいことがあるんじゃないのか?」


 そう言われて黙っていられるはずもなく、カルーバという名前の少年はすぐにこう言い返した。


「・・・・・・あるわけないだろ! ただダタンの野郎のことを考えてただけだ! ってか、こいつは本当に大勇者様なのか? 確かに顔は似てるけど、なんか弱っちそうだし・・・・・・」

 

 カルーバという名前の少年はその後もまだ話を続けようとしていたようなのだが、ここで乗崎じょうさき 麗夏れいかがこう口を挟んだ。


「また話をらすのね、あなたは! 今は時岡君が大勇者かどうかなんてどうでもいいでしょう?」


 俺も話を逸らす常習犯だったから一瞬ドキリとした(あと、俺が大勇者かどうかはどうでもいいと言われて少し安心したが、かなり傷ついてもいた)。


 カルーバという名前の少年も痛いところを突かれたという表情になっていた。


 それから、そこにいる誰もが次に誰が話し出すのかじっと待っているような時間が長く続いた。


 それを打ち破ったのはカナタだった。


 カナタは静かにそのカルーバという名前の少年にこう語り掛けたのだった。


「大丈夫だよ、カルーバ。この人は本物の大勇者様だから。僕が保証する。・・・・・・だからカルーバ、全部話してくれないかな? 君の知っていることを正直に、全部。そうすればきっと大勇者様が君の味方になってくれるから」


 カナタがそう言い終わる頃には、そのカルーバという名前の少年は両目から涙をこぼしていた。


「・・・・・・ずるいぞ! そんなかわいいドラゴンの姿で優しく語り掛けてくるんじゃねえよ、カナタ! ・・・・・・お前がそう言うんだったら信用するよ、その人のこと。・・・・・・全部話すよ。・・・・・・とても信用してもらえないような話を今から俺はするかもしれないけど、これから話すことは全部本当のことだから。親友のお前に誓ったっていい!」

 


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