第17話【本編 衝撃回?】エルフの村はとても静かで

 エルフの村にたどり着いて、肩車をしていたビビをおろすと、すぐにビビはこう叫び出した。


「みんなーっ! 大勇者様を連れてきたよ! もう安心だからねっ! ・・・・・・あれ? ねー! どうしたの? みんな! 早くオイラのことほめてっ! ほめてーっ!」

 

 エルフの少女(?)ビビ・ケナーがそう訴えかけても村はシーンと静まり返っていた。


「みんなー! どうしたの? あっ! わかった! オイラのこと驚かそうとしてるんだね! もう! そんなこといいから、大勇者様が来てくれたんだよ! 早くみんな出てきてよ!」

 

 正直言って、すでにこの時俺は何か嫌な予感がしていた。

 そして、それはどうやら俺だけではなかったみたいで、ビビが何度かそう叫んでいる間、何度も女子たちや[コドラゴン]に転生したカナタと目が合った。

 

 だから、きっとビビだって途中から気づいていたんだと思う。

 でも、それを認めたくなかったのだ。

 その気持ちはよくわかる。

 だって認めたら本当になっちゃうから。


 でも、いつまでも目をらしていたら何も始まらない。


 そう思って、俺は心を鬼にしてこう言ったのだ。


「ビビ! たぶんこれは非常事態だよ! ビビはこの村をどれくらい離れてた? ・・・・・・あと、この村には何人のエルフが暮らしてたの?」

 

 俺のその問いにビビはこう答えた。


「・・・・・・大勇者様に会うまで1時間くらいあって、それから1時間半くらい経ってるから2時間半くらいかな。・・・・・・村人は29人です、オイラを含めて」


 俺はその答えを聞いて素直に感じたことをビビに伝えた。


「そんな短時間でそれだけの人数の人を一気にどこかに連れていくなんて誰にでもできることじゃない。ビビ! この村は一体どんなやつらに狙われてたんだい?」


 そこまで話して、同じ場所にクラスの女子がいることに気づいて俺は急になんだか恥ずかしくなってしまった。


 でも、今は緊急事態なのだ!


 そんなことは言っていられない。


 だが、こんなに饒舌じょうぜつに喋っている俺のことを女子達はどう思っているんだろうかと自意識過剰な俺は緊急事態なのにそんなことを考えてしまっていたのだった。


 そんな不謹慎な俺にビビはひどく真面目な声でこう説明してくれた。


「・・・・・・魔王の手下です。このあたりの地域を新しく支配し始めたしょう魔王の手下どもが最近になって村の近くをうろつき始めていたんです。みんな怖い、怖いって言ってて、だからオイラ、今日、王都の冒険者組合まで行こうと思ってたんですけど、なぜかカナタのことを思い出して、方角は全然違うけど、ひょっとしたらまどいの紫の草原に行けば運命の冒険者に会えるんじゃないかって思って・・・・・・そしたら大勇者様に会えたんです。・・・・・・それなのに、ちきしょう! カルーバやダタンは何をしてたんだ! あいつらまで連れていかれちゃったのか? ・・・・・・どうしよう、大勇者様? オイラ、どうすればいいのかな?」


 

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