第15話【本編】ドラゴンで同接2万人!?


「・・・・・・どっちでも仲良くなれるに決まってるじゃないか! カナタさえ戻ってきてくれるなら、どっちだってオイラはかまわないよ!」


 ビビのその言葉にカナタはとても喜んでいた。

 それでも、カナタはどうしてもビビに決めてほしいらしい。


「まだオイラに決めてほしいって言ってるんですか? ・・・・・・じゃあ、ネコとドラゴン、どっちだったらカナタと話をすることができますか?」


「どっちでも話すことはできるはすだよ」


「・・・・・・じゃあ、どっちの方がカナタが長生きできますか?」


 はっきりとはわからなかったが俺はこう答えた。


「それは・・・・・・やっぱりドラゴンじゃないかな」


 すると、ビビ・ケナーは決断良くこう言った。


「じゃあ、ドラゴン! 大勇者様、カナタをドラゴンに転生させてやってください!」


 カナタを[コドラゴン]に転生させると、まどいの紫の草原はなんの変哲へんてつもないただの緑の草原に姿を変え、すぐに女子達の声が聞こえてきた。


 その声がまだ聞き取れないうちに俺は全長40cmほどのかわいらしい薄紫色の[コドラゴン]に転生したカナタと少しだけ話した。


「本当に良かったんでしょうか? 自分なんかを助けたらあなたがあの邪悪で姑息こそくで執念深い魔物のターゲットにされてしまうのでは? そうなったらボクはどうおびすればいいかわかりません!」


 そんなカナタに俺は少しだけ格好つけてこう答えた。


「大丈夫だよ、もとから世界を救う気でここに来てるんだから」


 そして俺がそのくさい台詞を言い終わった後すぐに、

 

「トッキーまだその子肩車してたのー? ってか、何? その紫の生き物は? ドラゴン? ドラゴンなのー?」


 と、まず最初に秋野あきの 阿香里あかりの声がし、


「トキハル、今度はドラゴンになつかれちゃってんじゃん! ウケる!」


 と、次に古堂こどう 美冬みふゆの声がし、


も無事だったのね。よかったわ」


 と、最後に乗崎じょうさき 麗夏れいかに初めて名字で呼ばれた。



         ⚫



「みんなドラゴン好きだよなぁ! よっしゃ! 同接どうせつ2万突破! 登録者20万! バズったな! 完全に! あの筋肉バカトリオと迷ったけど、このパーティーにしてよかったぜ! マジで時岡くん、あんた、神かよ! ・・・・・・トレンド載っちゃってるぜ! あんたの名前と大勇者様! ああ、投げ銭キター!! 制作費に役立ててくださいだって! 本物の異世界だって信じてねえな、こいつ! まあ、それでも高額投げ銭もらえたからいいけど! コメントもメチャきてる! 速すぎて読めねえよ!」



         ⚫



 カナタが[コドラゴン]に転生し、惑いの紫の草原が普通の草原に戻ったことで、クラスメイト達も何日も草原をさまよい続けなくてもよくなったはずだった。


 だが、それが実は俺の手柄だということを知るクラスメイトはおそらく一人もいないだろう。


 だからせめてここにいる女子達には事実を告白してしまいたい気持ちにも少しはなったが、言ってしまっていいかビビとカナタにまだ確認できていなかったので俺はとりあえずは我慢することにした(心の声はそんなに頻繁に使うことはできないのだ)。



「ビビの知り合いのドラゴンでなんと言葉が喋れるらしいよ」


 俺がそう言うと、女子達は歓声を上げた。


 それからはずっとカナタが俺たちのパーティーのアイドルだった。


 女子達がカナタに質問し、カナタが誠実にそれに答えていた。


 早くビビとカナタを二人っきりにさせてやりたかったのだが、それはエルフの村に着いてからでいいとビビが耳打ちしてきたので(俺はなぜかまだビビのことを肩車してやっていた)、女子達の質問タイムが終わるまで俺はただ黙って歩き続けた。


 そして、そのなんの変哲もないただの草原を抜けて、エルフの村にたどり着いた時にはもうすっかり日が暮れていた。


 肩車をしていたビビをおろすと、すぐにビビはこう叫び出した。


「みんなーっ! 大勇者様を連れてきたよ! もう安心だからねっ! ・・・・・・あれ?」


 

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第15話も最後までお読みくださりありがとうございます!


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