第14話【本編】ついに能力初公開!?

「・・・・・・もしかしてこの草原自体が魔物か何かなの?」


 もちろん『サーザントビアス』にそんな設定はなかったのだが、なぜかふっと思いついたので俺がそう尋ねると、ビビは俺の頭の上でこう答えた。


「さすが、大勇者様っ! そうなんです! この草原は旅人を迷わせたり、驚かせたりすることが大好きないたずら好きな低級の魔物なんです! ・・・・・・でも、心配しないでください。は命まで取ったりはしませんから」


 そんな全くの初耳(そんなことはこの『サーザントビアス』という超マイナーゲームの大ファンであり、過去99回もこの世界に召喚されている俺には珍しいことのなのだ)のビビの話に耳を傾けていると、不思議なことにいつの間にか女子達の姿が消えていた。


 それに気づいて俺がキョロキョロと辺りを探していると、


「大勇者様っ! いたずらをしてるだけですよ、心配しないでください! こら! 早く元に戻せ! ・・・・・ほんと悪いやつじゃないんですけど、かまってほしくてこんないたずらをするんですよ」


 俺はそのビビの発言になんとなく違和感のようなものを感じてこう言った(普段は無口なコミュ障のくせに異世界の住人とはなぜか俺は勇者モード? になってうまく話せるみたいなのだ)。


「随分肩を持つんだね。まるで昔の知り合いみたいに・・・・・・」


 すると、ビビは俺の頭の上で観念したように大きく息を吐くとこう言った。


「大勇者様にはやっぱり隠し事はできませんね。・・・・・・実は、はオイラの大切な友人だったんです。オイラはこの通りエルフでは人族だったんですけど、すごく馬が合って、だからいつも一緒にこの草原で遊んでいたんです。それで、それで・・・・・・」


 ビビの体がガタガタと震わしてそれ以上喋らなくなったので、俺はなぜそう思ったのかはわからないが、またふっと頭に浮かんだことを口にしてみた。


はこの草原で亡くなってしまったんだね?」


 すると、ビビは観念したみたいにこう話し出した。


「・・・・・・はい。オイラがいけなかったんです。人族とエルフじゃ、特に小さい子どもの時なんて体力にうんと差があるのに、オイラはそのことがわかってなくて、だからオイラがいけなかったんです! オイラと遊んでて事故で命を落としたんだから、はオイラのことを恨んでるんだ、きっと! この草原の薄い紫色はの髪の色にそっくりで、だからこの薄紫色を見るたびにオイラは・・・・・・オイラは・・・・・・自分自身を殺してやりたいような気持ちになってしまうんです!」


 ここで俺はずっとビビに伝えてやりたかったことを口にした。それは


「・・・・・・でも、の方は君のことを少しも恨んでいないみたいだよ。それどころか草原になった今も君のことをずっと見守ってくれているみたいだ」


 すると、ビビは心底驚いたような声でこう言った。


「どうして、そんなことが・・・・・・」


「・・・・・・わかるのかって? 僕は相手さえ心を許してくれたら〈心の声〉を聴くことができるんだ。今と話してるところなんだよ」


 話し始めたのは、「はこの草原で亡くなってしまったんだね?」とビビに尋ねた直後だった。


「カナタと・・・・・・本当ですか?」


 はカナタ・シュターレンという名前の少年だったのだ(もちろんこんな名前の少年は『サーザントビアス』には登場しない)。


 俺は〈心の声〉でカナタと話し合ったことをビビに伝えた。


「うん。・・・・・・それでね、のことを僕は転生させてあげようと思うんだ。どうやら悪い魔物の口車に乗ってしまって草原にされてしまったみたいでね、このままじゃいつかはもっと邪悪な草原になってしまうかもしれない。どうやらそれがその悪い魔物の目的みたいなんだ。だから、をこれから[コネコ]か[コドラゴン]に転生させようと思う。でも、どっちがいいかは決められないみたいで、君に選んでほしいって言ってるんだ」


 ビビ・ケナーは、何かを思い出していたのだろうか、一瞬沈黙してから目覚めた直後のような声でこう言った。


「・・・・・・えっ? オイラに?」


 ここで俺はカナタの思いをさらにビビに伝えた。


「どっちに転生したら君とより仲良くなれるかは知りたがってる」


 ビビは感情が高ぶっているらしく少し体を震わせながらこう答えた。


「そんなの・・・・・・どっちでも仲良くなれるに決まってるじゃないか! カナタさえ戻ってきてくれるなら、どっちだってオイラはかまわないよ!」



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