第10話【本編】ある少女との出会い!?

「・・・・・・ねぇ、どうせだったらこの世界を誰よりもたっぷり味わいくしましょうよ!」


 魅惑的みわくてきな大きな深緑ふかみどりっぽい瞳を潤ませて乗崎じょうさき 麗夏れいかはまるで誘うように俺達に言った。


 そしてそれに唯一反発したのは、やはり秋野あきの 阿香里あかりだった。


「何言ってるのー? 麗夏ちゃん! 阿香里は元の世界に絶対帰りたいのー! 絶対に絶対に帰りたいのー! 阿香里たっぷり味わい尽くしたりなんか絶対しないんだからねー!」


 しかし、古堂こどう 美冬みふゆの反応は全く違っていた。


「まあ、こうやって武器ももらったわけだし、ちょっと冒険者 稼業かぎょう一儲ひともうけしてどっか雰囲気良さげな片田舎かたいなかに家とか建てて流行はやりの異世界スローライフ楽しむのもありなんじゃね?」

 

 そう言う古堂 美冬は安斎あんざい遼也りょうやが持っていたものより小振こぶりな魔法銃を二丁にちょうもプレゼントとしてもらっていた。もしかすると古堂 美冬は近い将来その2丁の銃を使いこなし、違う属性の攻撃魔法を同時に使える2属性魔法銃士(上級職)になれるかもしれない。


「じゃあ、冒険者登録所みたいなところ行ってみようか? 私もこの世界でどれだけ自分が戦えるのか知りたいわ!」


 そう古堂 美冬の意見に同調した乗崎 麗夏は青色の美しい宝石がヘッドに埋め込まれた魔法の杖のようなものをプレゼントされていた。しかもその杖は実は剣のさやにもなっていて、美しい細身の剣が隠されていた。乗崎 麗夏は魔法の才能も剣術の才能も持ち合わせているということなのだろうか。もしかしたらかなりレアな剣術師範魔法使い(中級職業)か魔法剣士(上級職)の適正があるのかもしれない。


「職業登録所はー? 阿香里、魔法使いになりたいんだけどー!」


 そして秋野 阿香里のプレゼントボックスには剣が2本も入っていたので彼女はおそらく魔法使いよりも二刀流剣士(中級職)の適正がある可能性が高い。もしかしたら二刀流魔法剣士(最上級職)に・・・・・・なんてことはさすがにないか。


 この世界の常連の俺から見ても、この3人はかなり個性的な能力の持ち主であるように思える(その能力が揃いも揃って2wayなのは彼女達の二面性を表しているようで密かに少しゾッとしてしまってもいたが)。


 とにかく冒険者登録所に行くという案は誰も反対のしようがなかったので(実際この世界には冒険者に仕事を紹介してくれる冒険者登録所とほぼ同じ役割も持っている冒険者 組合ユニオンという場所があるのだ)、まずは出発してその道中どうちゅうで出会った誰かにその場所を訊こうという話になった(もちろん俺はその場所を知っている)のだが、その誰かがなんと出発した直後に現れたのであった。


「ああ、やっと会えた! そこの冒険者御一行様、どうかわたくしたちの村を救ってくださいませ!」

 

 紫色の草原から急に現れて、そう言って俺達に泣きついてきたのは、まだ幼女ようじょと呼んでもいいくらいの銀髪の幼いエルフだった。


「かわいー! 超かわいいんですけどー! ねぇ、あなたエルフさんなのー? 阿香里の妹ちゃんにならない?」


 秋野 阿香里にそう言われると、その幼いエルフの少女はひどく真面目な口調でこう言ったのだ。


わたくしたちの村を救ってくださったらあなた様の妹にでも召し使いにでもなんでもなります」


「ほんとー? 阿香里の妹になってくれるのー? うれしー! 阿香里ずーっとあなたみたいなかわいい妹が欲しかったんだー!」


 秋野 阿香里がそこまで言った時に、その幼いエルフの少女と俺は初めて目が合ったのだが、その瞬間エルフの少女は固まって動かなくなってしまった。


「どうしたのー? 男の人見るの初めてなのー? じゃあ、怖かったよねー! ごめんねー!」


 秋野 阿香里がそう言うのをその幼いエルフの少女は完全に無視して、しばらくの沈黙の後、俺のことをじっと見つめてこう言ったのだ。


「・・・・・・大勇者様なのですか? ああっ、やはり大勇者様なのですねっ! わたくしたちを救うためにまたその高貴なる御身おんみを現してくださったのですね!」


 そう言いながら、その幼いエルフの少女は大きな薄紫うすむらさき色の瞳から大粒の涙を流し始めたのだった。


 

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