第5話【本編】秋野 阿香里②

「はーい、じゃあー、阿香里あかりのことーほしい人手ぇ挙げてみてー!」


 秋野あきの 阿香里のその男子が好きそうな感じに語尾を甘々に伸ばした呼びかけに最初に反応したのは全く予想外の人物だった。


「はい! 秋野 阿香里さん、私達のパーティーに入ってくれないかな?」


 乗崎じょうさき 麗夏れいかの突然のその発言に周りの連中は心底驚いているみたいだった。

 そして、それは誘われた本人、秋野 阿香里も例外ではなかった。


 秋野 阿香里は本人は隠しているが元有名子役で、今も天然の栗色の長いラビットツインテールが特徴的なアイドル顔負けの(アイドルとしてスカウトされたことも何度もあるらしい)激カワ女子(残念ながらちっぱい!)である。

 その秋野 阿香里がその最上級のかわいさも消し飛んでしまうくらい口をあんぐり大きく開けて驚いているのが俺は可笑おかしくてもう少しで吹き出してしまうところだった(吹き出してしまったら絶対彼女のプライドを傷つけることになっていただろうから我慢できて本当によかった)。


 それでも秋野 阿香里はすぐに元のアイドル顔負けの激カワフェイスに戻ってこう言ったのである。


「えーっ? 阿香里は男子のパーティーの紅一点こういってんになりたいんですけどー! そもそも乗崎さんってそういう人だっけ? そんな積極的に阿香里のこと誘うなんてなんかキャラとちがくない? それともほんとはずーと阿香里のこと好きだったんですかー? そうなんだー? そうだったんだー! へー! へー!」


 全くキャラと違う不格好な驚き方をしてしまった秋野 阿香里は自分のキャラをさらに自分でデフォルメしているようなちょっと訳のわからない感じのテンションになっていた。


 しかし、乗崎 麗夏はそのことは完全にスルーしてこう言ったのだった。


「ねぇ、秋野さんも私達と同じようにあの脳みそまで筋肉の3バカトリオにムカついてるんでしょ? ・・・・・・だったら私達のパーティーに入って女子の力を見せつけてやりましょうよ!」


 なんかいつの間にか俺まで遼也りょうや達にムカついていることにされていたが、訂正するほどの度胸はその時の俺にはなかったので仕方なく黙っていた。


 秋野 阿香里の方はというと、さすがに今度は口をあんぐり開けることはしなかったが、それでも乗崎 麗夏の発言に驚いているのは十分伝わってきた。


 だが、秋野 阿香里も本来は乗崎 麗夏に負けないくらい気が強いので、先程よりも早くこう切り返した。


「女子の力って、そのぼっち君がいるんだよね? 乗崎さんはなんかそのぼっち君のことを買ってるみたいだけど、阿香里は全然なんだよねー! 乗崎さんと仲間になるのはそりゃ魅力的だけど、あとはぼっち君だけで残りの一人も決まってないんでしょ? だったら・・・・・・乗崎さんには悪いけど、阿香里そのパーティーにあんまり将来性を感じないだよねー!」


 全く何も知らないとはいえ言いたい放題言いやがって!

 俺だって別に・・・・・・確かにアイドル顔負けの激カワフェイスの持ち主と一緒に旅すればおそらくめちゃくちゃ楽しいんだろうけど、そこまで言われたらその気も失せてくるってもんだ!


 そんなことを俺が密かに思っていると、乗崎 麗夏がこう言ったのである。


「ぼっち君のことが気に入らないんならしょうがないわね。秋野さん、あなたのことは諦めるわ。さっきの話は全て忘れて!」



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