独自文化
・命名法則
ファミリーネームには宝石や鉱物、特に自身の邪視によって石化させた際の宝石・鉱物名となる例が多い。バジリスク語での発音をそのまま名乗る場合もあれば、対応した言語に翻訳して名乗る場合もある。
また、何らかの事情によってファミリーネームを継ぐことを禁じられた者(その多くの場合はウィークリングとして生まれた者)たちは、「ストーン」、もしくはバジリスク語で「無価値な石ころ」を意味する「レキィ」をファミリーネームとして名乗らされることが多い。
ファーストネームには「ビスク」や「ポトフ」といったスープの名前やそのベースとなるものがつけられることが多く、これもまたバジリスク語での表現であったり、各言語に対応して翻訳されたものを名乗る場合がある。
その由来は諸説あるが、他種族よりも水分に敏感に反応する性質上、液体の経口摂取の効率が非常に高く(つまり液体状のものに対する味覚が非常に鋭い)、スープ類に対して強いこだわりを見せる事に何らかの関係性があるのではないかとされている。しかし、詳しい事はバジリスクたち自身もわかっておらず、これといった決め手を欠いている。
またこの命名法則の為か、何らかの事情で素性を明かしたくないバジリスクは、前述の家名の法則も交えて「スープ=ストーン」と名乗る事も珍しくない。これが我々で言うところの所謂「名無しの権兵衛」である。
ミドルネームを名乗る例はあまり多くないが、名乗る場合はファミリーネーム同様、宝石や鉱物に因んだものとなりやすい。
これは左右の眼で異なる邪眼が発現した場合や、第三・第四の邪眼に開眼した場合などに、それぞれの眼に対応する宝石・鉱物の名称が割り当てられるためである。
ここからもわかるとおり、ミドルネームのあるバジリスクは複数の邪視を司る非常に強力な個体である事がわかる。
・食文化
多くの毒物に対して耐性がある為か、他種族にとって「苦味」や「辛味」といった不快に感じる味への感覚が極端に鈍く、特に苦みに関してはほぼ感じる事がないとされている。
その一方で「甘味」「旨味」といった好意的に感じる味への感覚は非常に優れており、その中でも特に甘味を好むとされている。
そしてこの「苦味への無理解」と「甘味への多大なる信頼」の結果生まれた珍妙な種族特有の料理(?)が、「魔香草の砂糖漬け」である。
彼ら曰く、「他種族の様に時間をかけて下処理をして摂取するよりももっと効率的で手軽な摂取方法」とのことだが、毒物への耐性が強く苦みに疎い彼らだからできる芸当であるため、他の種族が軽々しく真似る事は決してお勧めしない。
この調理法(?)を生み出した賢者(大戦犯)は魔法文明時代初期のバジリスク「フォンドヴォー=ダイヤモンド=ヘリオドール」であるとされ、バジリスクたちの間では最も著名な人物であるとされている。
また、前述の通り液体状のものに対しての味覚には大変鋭く、特に主食とするスープ類には強いこだわりを見せる。
特定の味のスープ担当のシェフを複数用意するバジリスクも珍しくなく、また味への探求のため自ら厨房に立つことすらもあるという。彼らは大変な美食家である事がわかるだろう。
これはイグニスの加護の内、「芸術」の側面が強く反映されているのではないかと推測される。
・入浴文化
種族基本設定の項でも説明した通り、彼らには浴槽を使って湯浴みをするという文化が体質上の理由で存在しない。
その代わり、清潔な砂を温めたものを利用し体を包み込んで蒸す「砂風呂」の文化や、温めた岩盤の上に寝そべる「岩盤浴」の文化が広まっている。
特に、彼らは邪視によって材料の調達が容易であるため、岩盤浴は手軽に健康状態を保つ手段として広く親しまれている。
・芸術文化
個体によって美的センスがかなり異なるものの、造形品や美術品、宝飾品といったものには一定の美学を持ち、また少なくない関心を寄せる傾向がある。
特に彫像に関してはバジリスク特有の嗜みと言っても良いほどの基礎教養として染みついている事が多く、石化による彫像作りはバジリスクにとって馴染み深い芸術活動の一つであると言える。
自分たちの言語の特徴的な言い回しについて誇りを持っている部分があり、バジリスク語を用いての文芸作品の品評会も盛んに行われている。
但し、他種族言語からすればかなり難解かつ冗長に感じる事が多く、バジリスクと他種族との間に決定的な文学的美意識の食い違いがある事を強く印象付けさせていると言ってもいいだろう。
また言語に関しては、特に「バジリスク語で直接的な表現を用いて物事を伝える」という行為は非常に稚拙であるとされる。
だが、あえてそのような直接的な表現を使う事で笑いを誘ったり、面白みを見出したりする、一種の「お笑い文化」が存在する。このため、力や知力で純粋なバジリスクに引けを取るウィークリングの一部の者は、自身が生存するための手段として「お笑い芸人」となりバジリスク社会での地位を築き上げる、という道を選ぶこともある。
・学習文化
バジリスクは独自言語による高度な文法性を確立している事からも読み取れるように、非常に知力の高い種族である。
そのため知識欲も非常に高く、様々な書物を集め知識を蓄えたり、数多くの実験を行いその結果を書籍に書き残したりと、自己研鑽に余念がない。
また、フィールドワークと称して各地に旅をし、その土地特有の文化や風習を学び取ろうとする個体も少なくない。
蓄えた知識をバジリスク同士で高め合う事にも余念がなく、バジリスクのみで構成された学習施設も存在する。
これは所謂「学校」と呼ばれるものであり、入学の門戸は広く開かれている一方で、所謂「卒業」の概念が存在しない。これは「不要と感じたならばいつでも自ら出て行っても良い」という風習がどこの学習施設にも存在するからである。個々の自由を尊重するバジリスクらしい風習であるともいえるだろう。
その為、在学年数が1年足らずで出て行ってしまうものもいれば、何百年と在籍し続ける学生もいたりと、その在学歴は幅広い。
このように非常に学習意欲の高い種族である為か、無知無学である事を恥とする傾向がある。
バジリスクたちが魔物化した姿を「醜いもの」と認識しているのは、この形態になった際に彼らの知力が著しく低下する事もその背景にあると考えられる。
・宗教文化
最も多く信仰されているのは蛮族らしく「戦神ダルクレム」である。熱心な信者はその教えのままに積極的に人族や対立部族との間に戦いを挑もうとするため、脅威となり得るだろう。
また、自由を貴ぶその気質から「風来神ル=ロウド」の信者も非常に多く、ダルクレムに次ぐ形で広く信仰されている。この信者は人族文化への理解がある者も多く、比較的友好的と言えるだろう。
その他の第二の剣に連なる神々も信仰されているが、生息域や彼らが苦手とする水に関する神聖魔法の内容からか、「海掠神エイリャーク」の信仰者は極端に少ない。
意外なことかもしれないが、知識を研鑽するという性質上「賢神キルヒア」を信仰するバジリスクも存在する。その割合はむしろ多い方であり、ル=ロウドの次に信仰されているのはキルヒアであるという説も存在する。
第三の剣の神である為その信託を受け取る者はほぼいないとされるが、稀にその信託を受け取りキルヒアのプリーストとして覚醒する者もいる。
このように、変わり者が多い種族である為か、第一・第三の剣に連なる神を信仰するバジリスクも一定数おり、極稀にその信託を受け取りプリースト技能に目覚める個体も存在する。
このようなバジリスクは、蛮族社会と完全に決別し人族社会の一員として生きる事を選んだ、奇特な個体である。
その一方で無神論者のバジリスクも存在し、信仰に対し否定的な態度を取る者もいる。
バルカンの様に「神ではなくイグニスそのものを信仰する」という訳でなく、全く何も信仰しないのである。
蛮族としては勿論ラクシア全体としても完全なる無神論者はかなり珍しい為、その特異性は極めて異質に見える事だろう。
穢れを多く内包する上位蛮族である事もあってか、アンデッド化防止の観点からその葬儀はかなり迅速に執り行われる。
ほぼ例外なく火葬が行われ、遺体を焼く炎が派手で大きなものである程、またその炎が長期間燃え続けている程、良い葬儀であるとされている。
これもアンデッド化防止の観点から根付いた風習であるとされる。
【SW2.5雑記】ラクシア非公式読本 キルヒアコラム 子供戦車 @ChildChariot
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