攻略対象No.4 アトロワ・ベロニカ・ジャガ

パーティ―生活4週間目

「「今回のパーティ―会場は♪四大侯爵家のうちの一つアトロワ家♪

アトロワ・ベロニカ・ジャガの♪誕生日パーティ―♪」」


俺もシエンもパーティ―生活4週間目で、パーティ―に慣れ・・・るはずもなく、

心身ともにボロボロである。

度重なる馬車での移動で体は軋むし、パーティ―ではいつも隙を捜して来る貴族たちのせいで気が抜けないし、心が休まらない。

そんなこんなで、シエンと来週のパーティーにさえでれば、一ヵ月後の年末のパーティ―で終わり。しかも、来年は社交界デビューの今年と違って出なければいけないのは10回程度だと励ましあいながら今日もパーティーに出る。・・・はぁ。


「ミネル様、シエン様、本日もお疲れ様です。」

「お疲れ様です。ファンサイさん。」

「お疲れ、ファンサイさん。」

パーティ―で何回も会ううちに友人となったファンサイと今日も挨拶をする。

それにしても、ファンサイは俺達が出るパーティ―にいつも俺達より早く来て、俺達が来れば毎回挨拶をしに来てくれるが、ファンサイはいつも来る時間が違う俺達よりどうやって早く来ているんだ?特に今回はシエンと俺達が一番乗りかもな、なんて言ってたのに・・・。まあいっか、今日は他に誰もいないし、ファンサイとシエンと始まるまで雑談するか。


「四大侯爵家のアトロワ家はさすがにロウワ―家程ではないが、四大貴族のうちの一つというだけあって、かなり大きいな。」

「「ですね。」」

「アトロワ家は四大侯爵家の中でも三大公爵家のロウワ―公爵家に近いというだけあって、装飾の雰囲気がかなり近いですね。」

「ファンサイさんも思われましたか?私も、ロウワ―家にかなり近いなと思いました。」

「俺もだ。まあアトロワ家はかなり装飾などの傾向が似ているが、ロウワ―家への義理立てか、単純に金がないのかは分らんが、ロウワ―家に比べてワンランク落ちるな。」

そんなくだらない雑談を三人で続けていると、会場は暗くなり、会場の音楽が止まった。

さぁ、パーティ―の開始だ。同い年最後の攻略対象様はどんな人かねぇ。


「みなさま、本日は私、アトロワ・ベロニカ・ジャガの誕生日パーティ―にご参加いただき誠にありがとうございます。存分にパーティ―をお楽しみください。」


「うーん、何処か他の側近候補と比べると一段落ちるような気がするな。」

「そうですね。私もそう感じました。」

「そうですね。私もお二人と同じで、そう感じました。何処か、言わされている感がありますし、ぎこちないですね。お二人や、ロウワ―公爵家次男ジュニス様や、王子様ラムール様に比べると、かなり頼りないというか、発展途上のような気がします。上の四人の兄姉は優秀だと聞いたのですが、あまり優秀ではないのでしょうか?」

「そうかもな。まあ、ここはアトロワ家で、俺達はここの客だ。あまりそういう話をしていると睨まねかねんから、やめよう。」

「そうですね。」

「分かりました、私は、パーティ―が始まったことですし他の貴族の方にあいさつ周りしてきます。」

そう言って、ファンサイはパーティ―会場地獄へ歩き出していった。

「ミネル様」

「ん?なんだシエン。なんかあったのか?」

「いえ、あんな事言ってますが、ファンサイさんも私たちと同い年にしてはしっかりしてますよね。」

「確かに、そうだな。ジャガ様も年を考えると、かなりしっかりしている方だしな。大半の子息が親に代わりに挨拶をしてもらっている中で、自分でしているのだからな。っを、客が来たぞ。」

「そうみたいですね。切り替えて頑張りますか。」

「そうだな」


そうして、様々な貴族と挨拶と多少の雑談がひと段落ついたところ

「そろそろ、挨拶に行ってよさそうだな。」

「みたいですね。行きましょうか。」

そう言い、シエンとパーティ―会場を進み始めると、


「ジャガ様は微妙だな。黄金世代の一人だと思ったが、期待外れだったな。」

「そうだなぁ。他の方々に比べて、幼い気がします。」

このような会話がジャガへ挨拶に行った人たちから聞こえてきた。


「あまりジャガ様の評判はよろしくないようですね。」

「そうだな。様々な所から聞こえてくるし、本当にあまり良くないのかもな。

っと。そろそろ本人に聞こえそうだし、黙ろうか。」

俺達は小声で、しゃべっていたのを止め、ジャガとの挨拶に臨んだ。


「「この度はお誕生日おめでとうございます。ジャガ様。」」

「っは、はい。ありがとうございます。シエン様、ミネル様。」

「同じ側近候補として、切磋琢磨していきたいましょう。」

「私も、同い年として、ミネル様の婚約者として切磋琢磨できればと思います。」

「はい。私も負けぬように頑張らさせていただきます。」

「それでは私たちはこれで、失礼させていただきます。」

「はい。今後もお楽しみください。」


ッチ調子に乗るなよ。多少できが良いからって言って。


去り際に、そんな言葉が小声で聞こえた


「かなり、大変そうですね。王子の側近として育てるのは。」

「そうだな。俺が誕生日が早いし、通例的にはお目付け役になりそうだが大変そうだ。」


ミネルの心は少し暗い気持ちになった。

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