5歳の誕生日

「ミネル様5歳の誕生日おめでとうございます。」

「ありがとうございますオダマキ子爵。」

「こちらは私の娘のファンサイです。」

「オダマキ子爵家長女オダマキ・ジュフロイ・ファンサイと申します。」

「ミネル様はまだ婚約者が決まっておりませんでしたなぁ。」

「はい、そうですが。」

「貴族では、5歳で婚約者が居るのは普通です。そこで、私の娘のファンサイを

婚約者にどu

「ミネル様、本日はご招待ありがとうございます。それでは失礼いたします。」

「は、はい。」

嘘だろ、おい。あの子、子爵の足踏んずけて、黙らせた。

ファンサイ 恐ろしい子


転生してから約二年

俺は今、俺の五歳の誕生日を祝うパーティに参加している。

前世では、世界大会優勝パーティーやら、会社内でのパーティーやら色んなパーティーに参加してきたが、今世でのパーティーは初だ。

そのため、結構緊張していたのだが、思ったより普通である。

今も、様々な貴族やら、貴族の娘や息子に挨拶をされているが、特別な事は何も起きていない。

だいたい、定型文として、「ミネル様五歳の誕生日おめでとうございます。」って言われるので、「ありがとうございます〇〇△△様」って返すだけの簡単なお仕事である。しかも、まだの子供であるため、多少名前を間違えても、まだ子供だからと許される。まあ、そんなわけで、半ば作業の様な挨拶のため、今現在、こうやって考え事をしながらするぐらい暇である。

暇なのは、何も問題が起きていない証拠なので、ヨシとしよう。


「ミネル様。お誕生日おめでとうございます。」

「ありがとうございます。ベロニカ男爵様。」


ふぅ、終わった終わった。一ヵ月前に、家紋と家の名前とその家の貴族すべて覚えろと、シャルル母さんに言われた時は、無理だろ(笑)みたいに思ったけど、

今日、誰一人として間違えなかったし案外いけるもんだなぁ。

それにしてもかなり疲れたな、しばらく、俺のやることないはずだし、父上に言って、少し外の風にあたってこよ

「父上、外で少し風に当たりたいのですが。」

「そうか、しかし、うーむまあ良いだろう行ってこい。」

父上は少し悩みながら言われたが、何かあったのか?まあ良いや少し休もう。


「はぁ、疲れたなぁ。なんで身内だけのパーティーじゃだめなのかね

 前世では異世界の貴族に幻想を抱いていたけど、

 実際なってみると碌なもんじゃないな貴族。

 礼儀作法は完璧にこなさないと、舐められるし、何だよ5歳に何求めてんだよ。」

「やっぱり貴族って大変ですよね~。」

「そうそう、貴族はタイへ・・・・って、あなた誰ですかぁぁぁぁぁぁ。」

後ろを見ると明らかに、ガキくさい、白色の服を着た、少女が居た。

「ちょっちょっと、叫びすぎ、周りから奇異の目で見られちゃうよ。そんなんじゃぁ。」

「ああ、それはすいません。・・・・じゃなくてですね。あなた誰ですか?というか、何処から聞いてましたか?というか、なんで背後に居るんですか????」

どうしよう、異世界とか前世とか、実際なってみるととか聞かれてたら・・・・


「あの、トート家の息子さん、変な事言う子らしいわぁ。」

「ああ、あの。確かに私もそういう話聞いたわぁ。確か、前世だとか言っておられたんでしょう?トート家の当主のエレンスト様や、正妻のシャルル様も可哀そうだわぁ。」


なんて事になりかねん。見るからにガキっぽさしかないし、言動もガキだ。

って、この子どっかで見たことあるような気が・・・。


「申し遅れました。私、カラー聖国の第一王女兼聖女のカラー・ナデシコ・シエンと申します。トート公爵家三男のミネル様とは同年代という事で、今後とも仲良くしていただきたいと思います。」

その美少女は先程見せた、子供くささは一切消え、月明かりに照らされながら見事なカーテシーをしており、それはとても幻想的であった。

その様子は戦場に一輪の白い花が凛と咲いているようだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る