最終話:二人でずっと……


「ねえ、あなた。あなたは私なんかと一緒になって幸せだったかしら?」


「何を馬鹿な事を言うんだ、お前と一緒になって後悔した事なんて無いぞ?」


「ふふふ、嘘は下手ね。でもありがとう」



 清太と雫は愛娘の式の席でそんな事を語っていた。


 今、目の前では愛娘の静香が式を上げている。

 その様子を見ながら二人はそんな事を話している。



「僕らの結婚には沢山の人に祝福された。いろいろな人がいたけど僕らは結婚することを決めた。だから後悔なんて無いさ」


「そうね、二人で決めたんだものね……」



 そう言いながらこの二人は誰にも気づかれないようにそっと手をつなぐのだった。






 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇







 ―― 二十七年後 ――



「すまん……な、さき……に……逝く……」


「大丈夫ですよ、私もそのうちあなたを追っていきますからね。それまでに孫たちの成長をしっかりと見てあちらに行ってお話してあげますよ」



 清太の枯れた木の枝の様な手を取り雫はそう言う。

 

 病院のベッドで清太は最後にそう言って雫に笑いながら息を引き取った。

 周りにいる子供や孫たちは涙を流しながら悲しむが、雫だけは笑って言う。



「あなた、お疲れ様でした…… とても良い夫でしたよ……」



 そう言って優しく清太の額に手を当てて撫でる。

 その頃には流石に目元に光るモノが流れ出していた。

 しかし雫は笑っていた。

 二人が歩んできた時間は幸せだった。



 雫はそれでも微笑みながら、ただずっと清太の額を撫でるのだった。 



―― Fin ――

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結婚します! さいとう みさき @saitoumisaki

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